清武ら“常連組”に大ナタも新戦力起用には疑問符 ハリル監督メンバー選考の意図とは

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森重、宇佐美、西川も落選 「彼らを完璧に外したわけではない」

 日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督は25日に東京都内で記者会見を開き、6月7日の国際親善試合シリア戦と13日のワールドカップ(W杯)アジア最終予選イラク戦へ向けたメンバーを発表し、これまで“常連”だった選手と新戦力の大幅な入れ替えを行っている。

 その一方で、新戦力の試合出場には疑問符がつく。

 GKでは西川周作(浦和レッズ)がメンバーから外れた。この最終予選では初戦から5試合にわたって正GKを務めてきたが、今回はベンチメンバーにも入らない選考外に。同様に、DF森重真人(FC東京)も落選した。そして、Jリーグの開幕に合わせてスペインからセレッソ大阪への復帰を果たしたMF清武弘嗣、さらに「独力で違いを作れる」と期待をかけてきたFW宇佐美貴史(アウクスブルク)もメンバーから外している。

 ハリル監督は、その全てに対して「現在のパフォーマンスでチョイスしただけだ」と言い切った。西川の浦和でのプレーでは、自身のパスミスが起点になる失点があったのは事実であり、今季公式戦20試合で無失点は4試合にとどまっている。森重のFC東京もリーグ12試合で12失点と悪い数字ではないが、個人的なパフォーマンスに満足がいかなかったようだ。清武は負傷でやや出遅れて復活の途上。宇佐美は4月22日を最後に公式戦から遠ざかり、今季ノーゴールでシーズンを終えた。

「彼らを完璧に外したわけではない。他の選手が良かっただけだ。より良い選手に資格があるということ。完璧に外したわけではない。しっかりトレーニングして良いパフォーマンスで席を奪えというだけだ。外したという言葉はあまり使わないでほしい。外したのではなく、より良い選手を選んだ。西川は先発だったが、パフォーマンスが良くなかった時により良い選手が入った。誰に対しても怒っていない。パフォーマンスで選んだだけだ」

 ハリル監督は、全体の“ラージグループ”からも外したわけではないと強調している。しかし、直近のパフォーマンスに問題があれば選手を躊躇なく入れ替えるという厳しさを見せた。

代表招集と起用はイコールではない

 その一方で、今回チャンスをつかんだ初選出のDF三浦弦太(ガンバ大阪)、DF宇賀神友弥(浦和レッズ)、MF加藤恒平(PFCベロエ・スタラ・ザゴラ)といった面々に試合出場のチャンスが訪れるかと言えば、それは別問題だろう。ハリル監督は、代表に呼ぶことと試合に起用することがイコールでない面を持つからだ。

 これまでにも、齋藤学(横浜F・マリノス)や高萩洋次郎(FC東京)など、直近のパフォーマンスが評価されて代表入りした選手はいた。今回は加藤の選出にあたってのハリル監督のコメントが、その狙いを示唆している。

「加藤は約1年追跡している。4回ほどスタッフが現地に行って見ている。この長い期間でいろいろな選手をトライした。たくさんの選手を呼んでトライした。つまり、私は直接目で見て彼の能力を判断したい。すぐにプレーする予定ではない。ただ、知りたい」

 ハリル監督に認められ、試合出場のチャンスをつかむには段階を踏む必要があるということだ。まずはハリル監督が直接指導するトレーニングで実力を見せつけなければ、出場のチャンスは回ってこない。そこで足りないと判断されれば、起用されることなく合宿を終える。すでに代表で実績のある選手たちと新戦力での扱いの差は明確だ。つまり、親善試合のシリア戦と言えども、テスト目的で簡単に起用に踏み切るかと言えば大きな疑問符がつく。

むしろチャンスは槙野や昌子ら既存の控えに

 逆に言えば“常連組”の次に続いていた、今までベンチに座ることの多かったメンバーへのハリル監督の信頼度は高いとも読み取れそうだ。これまでの“オーディション”を潜り抜け、継続的に招集を受けていながら起用が少ない選手たち。つまり三浦や宇賀神よりも、DF槙野智章(浦和レッズ)やDF昌子源(鹿島アントラーズ)にとっては、6月の2連戦は大きなチャンスと言えるだろう。

 新戦力が加われば実際のプレーを試合で見たくなるのが心情だが、まずはトレーニングでハリル監督の直接視察によるオーディションを受ける権利を得たというのが実際のところだろう。その難関を潜り抜け、出場チャンスをつかむ新戦力は現れるだろうか。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images