中盤ではブルガリでプレーする加藤が初選出された。ただ、その実力は未知数だ。写真:田中研治

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 ロシア・ワールドカップの最終予選のイラク戦が6月13日に行なわれる。6月7日にはシリアとのテストマッチも控えているが、この2戦に臨むメンバーが5月25日に発表された。
 
 GKにはレイソルの中村、DFにはガンバの三浦、レッズの宇賀神ら目新しいメンバーが選ばれた。最も驚かされたのはブルガリアのベロエ・スタラ・ザゴラに所属する加藤の選出だ。正直、名前を聞いても「誰?」という感想だ。どんな選手なのか、みんなも気になるんじゃないかな。
 
 3月のUAE戦、タイ戦に向けたメンバー発表会見では、ハリルホジッチ監督は“経験”を重視したと語っていた。それなのに、今回は経験の浅い選手を数人、加えた。彼の選考基準は何を軸にしているのか、さっぱり理解できない。
 
 CBでは森重を外したね。理由はクラブでのパフォーマンスに満足できないからだという。だったらなんでFWに本田を入れたのか。確かに直近のボローニャ戦では、素晴らしいFKを決めた。でもあれだけだよね。シーズンを通じてベンチを温めていた選手を選び、クラブで結果を残しているレッズの興梠やフロンターレの小林を外すのは、理屈に合わないよ。要するに彼の選手選考には矛盾が多いんだ。
 
 ハリルホジッチ監督が考える“調子の良い選手”の定義とはなんなのか、一度聞いてみたい。興梠や小林は会見の説明だけじゃ到底、納得できないはずだよ。
 
 欧州組を選んでいるのは、視察ついでにフランスに帰る理由が欲しいだけなんじゃないかと勘繰りたくもなるよ。初選出の加藤にしたって「スタッフが現地で4試合見た」と、強調していたが、実戦で使うのかな。想像できるのはテストマッチのシリア戦で、数分だけピッチに立たせてお茶を濁すパターンじゃないかな。
 
 その意味でもイラク戦で注目したい選手はいないね。結局は初選出の選手はシリア戦で試され、イラク戦はいつもとあまり代わらないメンバーが並ぶはずだから。
 
 イラク戦は苦戦が予想されるよ。イラクは順位こそUAEより下だが、日本が苦手とするフィジカルで押してくる相手だからね。
 
 現に去年の10月にホームで対戦した際は、山口が終了間際に決勝ゴールを奪う、薄氷を踏む勝利だった。イラクは今予選でオーストラリアと引き分けているし、決して油断できない。
 
 それなのにイラク戦の前に、テストマッチとして対戦するのはシリアだという。その理由を「イラクに似ているから」と、ハリルホジッチ監督は説明するが、僕から言わせれば、両国はまったく似ていないよ。どちらかと言えば、ヨルダンあたりのほうが良いスパーリング相手になるんじゃないかな。ハリルホジッチ監督は、もう少し、アジア事情に詳しくなったほうが良いよ。
 
 日本は勝点16でグループBの首位に立っているが、イラク戦に敗れれば、サウジアラビアかオーストラリアに抜かれる可能性がある(サウジアラビアとオーストラリアは直接対決)。
 
 5月28日から海外組の7人を集めてトレーニングを開始するらしいが、シーズンを終えた海外組と、シーズン真っ只中の国内組のコンディションを擦り合わせる作業は難しいよ。テストマッチのシリア戦を含め、ハリルホジッチ監督がどんな準備をするのか見ものだね。
 
 A代表のメンバー発表が行なわれた一方で、韓国ではU-20ワールドカップが開催されている。ただ、すぐにA代表に引き上げられそうなのはCBの中山くらいだね。彼は体格で他国の選手に劣っていないし、落ち着いてプレーできている。でも、残りの選手は年齢を考えれば、これから急激に成長するとは考えにくい。
 
 注目の久保は、身体がまだできあがっていないとはいえ、少しチャージされると吹っ飛んでしまう。フリーマンとして前線で自由にプレーさせたら、違いを作れるかもしれないけど、世界を脅かすほどの能力があるとは感じられないよ。