なにわ筋線の予定ルート

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JR西日本、南海電鉄、阪急電鉄、大阪府、大阪市の5者は2017年5月23日、大阪市中心部を南北に貫く「なにわ筋線」について協力して整備すると発表した。総事業費は約3300億円で、開業目標は31年春。

1980年代から構想のあった大阪の鉄道新線がいよいよ現実のものとなるわけだが、

「なにわ筋線 本当に実現するんだ(驚)」
「なにわ筋線構想、ようやく実現か...」

と、ここにきての急展開に驚く声も多く挙がっている。

関空の外国人旅行者をさらに呼び込めるか

なにわ筋線は、JR難波駅と南海本線新今宮駅から地下を通って大阪駅北側の北梅田駅(仮称)に達する、およそ7.4kmの路線だ。一部区間をJRと南海で共用する。両社は線路幅が同じ狭軌(1067mm)であり、線路の共用に支障はない。開通後は、大阪市中心部から関西国際空港(関空)への所要時間が大幅に改善する。

地下鉄を使えば5分でJR博多駅に行ける福岡空港がいい例だが、空港から市中心部へのアクセスの良し悪しはその都市の評価に直結する。関空の空港アクセス線は、JR大阪環状線から乗れる「関空快速」、京都〜新大阪から直通するJRの特急「はるか」、南海「ラピード」「空港急行」が挙げられる。もっとも「はるか」はJR大阪駅をかすめるように素通りし、「関空快速」は大阪環状線内をぐるっと回り、しかもそのほとんどの駅に停車する。「ラピート」「空港急行」は「ミナミ」の難波どまりだ。

北梅田駅は大阪駅北側の再開発エリア「うめきた」に設置される。実現すれば大阪駅・梅田駅周辺の「キタ」と関西空港が1本でつながるというわけだ。北梅田から先はJR梅田貨物線を地下化して、なにわ筋線を走る列車は新大阪駅まで乗り入れる。

もっとも、速達性やアクセス向上より「運賃」を気にする意見も。銭勘定に厳しい土地柄だけに、当然といえば当然だが――。

「なにわ筋線には加算運賃が適用されるのでしょうか?」
「問題は乗り入れる車両と運賃の加算やな」
「地下鉄よりも高い運賃だと誰も乗らない」

全ての鉄路は新大阪に通ず!?

新大阪駅は、19年春のJRおおさか東線延伸開業により同線の起点駅となる。さらに北陸新幹線やリニア中央新幹線のホームも建設される予定。

訪日外国人観光客の急増により、存在意義すら問われていた関空は黒字化を果たした。関西における一大ジャンクションである新大阪駅へのアクセスがさらに良くなれば、関西経済の活性化にも好ましい影響をおよぼすことは間違いない。見方を変えれば、なにわ筋線復活の陰の立役者はインバウンドといえる。

なにわ筋線のもう一つの効果は、南海の長年の悲願だった「キタ」乗り入れが叶うことだ。同社は1950〜60年代に梅田駅までの路線建設を計画し、実際に免許を出願したものの、大阪市の抵抗にあって結局実現しなかった。

今回の発表には阪急も参加している。北梅田駅北側から分岐し、阪急宝塚線・神戸線・京都線の接続駅である十三駅へ向かう「なにわ筋連絡線」を検討するとしている。十三駅に地下ホームを新設して、JRや南海の狭軌に対応した車両でなにわ筋線に乗り入れる方向だ。

さらに同社は、十三駅〜新大阪駅の約2.3kmを結ぶ「新大阪連絡線」の事業免許を1961年に取得している。なにわ筋線以上に塩漬け状態だった「新大阪連絡線」計画だが、新大阪駅周辺にはその用地が既に用意されている。これらが実現すれば、阪急沿線に観光客を誘引しやすくなるし、沿線住民にとっても利便性が増す。ツイッターにも同様の指摘が投稿されている。

「阪急の名前がちゃっかりあって草」
「新大阪に阪急乗り入れるがちょっと便利だな」
「これまで新大阪から阪急沿線に他線経由でないと入れなかったのが、阪急沿線に観光客を誘引しやすくなる」