横浜戦は1-1の引き分け。いいプレーを選手たちは見せてくれたが勝ち切れず。ただ、「これだけやれるんだ」という手応えを全員が得られた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 仙台の渡邉晋監督による現役指揮官コラム『日晋月歩』の第11回。テーマは「ゲームコントロール」だ。10節のFC東京戦、11節の大宮戦と連敗して迎えた横浜とのアウェー決戦。28.5℃という気温とも戦わなければいけない中で、どのようなゲームプランを立てて臨んだのか。良いパフォーマンスを披露できた試合を振り返ってもらった。
 
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[J1リーグ12節]横浜 1-1 仙台/5月20日(土)/日産ス
 
 横浜を相手にアウェーで良い戦いをできた。本来であれば勝ち切らなければいけなかったとも思うが、「これだけやれるんだ」という手応えを全員が得られたことには大きな意義がある。
 
 自信も手に入れただろう。もちろん、勝てていればそれはもっと大きなものになったはずだが……。それでも、「やり続けたことは間違いではなかった」と感じられる90分間だった。
 
 この試合は、相手の出方を窺いながら進められたらいいと考えていて、その話は選手たちにもした。それを実行してくれたのだから、内容はもとより、成長につながるゲームになったとも思う。
 
 天気予報で「暑くなる」のは分かっていたため、それを覚悟してプレーしようという話をした。それを理解したうえで、「ボールを保持しよう」と。相手を動かせれば、主導権を握って戦える。
 
 ただ、ポゼッション率を単に上げるだけでは怖さがない。攻撃の優先順位を整理し、そのうえで大宮戦(11節)のような流れを相手に渡すミス、後ろ向きな失敗をなくす。前掛かりになり過ぎずに、しっかりとリスクマネジメントをしながら、きちんとゲームコントロールをしたかった。
 
 バランスを取るのは難しかったと思うが、選手たちの判断は軒並み良く、おかげで立ち上がりからビッグチャンスを作れた。しっかりと横浜を敵陣に閉じ込められ、90分を通して素晴らしいパフォーマンスだった。
 
 嫌な時間帯(45+1分)での失点は、うちのミスからカウンターを食らった形だ。残念ではあったが、良い戦いはできていたため、ハーフタイムに戦術的な修正はひとつもしなかった。
 10節・FC東京戦と11節・大宮戦では、自分たちがやりたいことを数多く表現していたが敗戦。その2試合とこの前半を受けて何を変えなければいけないか。主将の富田に問いかけたら、「最後に決めるか、決められないかです」と。
 
「その結果として2試合を落とした。これだけいいサッカーをできているのだから、最後のクオリティにこだわって後半を戦ってこい」。それだけを選手たちに伝えた。
 
 77分に同点ゴールが決まり(左CKから大岩一貴がヘディングでネットを揺らした)、勝点1を分け合った。勝利できなかったもどかしさもあったが、何より選手たちが楽しめたことは良かったのではないだろうか。
 
「楽しい」という言葉を使うと、捉え方によっては批判的な意見も出るかもしれない。それは重々承知しているが、プロだろうがアマチュアだろうが、サッカーをするうえで、楽しみがないといけないと個人的には感じている。
 
 では、その「楽しみ」とは何か。幼少期の「ボールを蹴る楽しさ」とか、「得点を決める楽しさ」という部分がすべての始まりのはずだ。経験を重ねて、サッカーを知る。そして本質での「楽しさ」を見い出してこそ、プロだと考えている。
 
 私の定義では「駆け引き」が、その要素の一つとして挙げられる。90分の流れのなか、ある局面でのプレー。そこでの駆け引きをいかに楽しめるか。横浜戦では、1試合を通して選手たちがその部分を楽しんでいたと思う。
 
 そのような意識でサッカーに取り組んでいけば、「もっとやろう」、「もっとできる」とポジティブに前に進んで行ける。12節を経て、「結果はこれから付いてくる」と思えた。今まで続けてきたことは決して間違っていない。そう胸を張って言える1日となった。
 
構成●古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
 
※渡邉監督の特別コラムは、J1リーグの毎試合後にお届けします。次回は5月28日に行なわれる13節・新潟戦の予定。お楽しみに!

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