思わぬアクシデントによって、戦い方の変更を余儀なくされた。唯一のターゲットマンにして、ファーストストライカーの負傷退場……。エースを突如失ったゲームのなかで、若き日本代表は果たして何を掴んだのか。


早々に攻撃の要である小川航基が負傷退場する事態に...... 韓国で開催されているU-20ワールドカップ。5月24日にウルグアイとのグループステージ第2戦を戦った日本は0-2で敗れた。

 前半38分にロングフィード1本でディフェンスラインの裏を取られ、FWニコラス・スキアッカパッセに手厳しい一発を叩き込まれると、後半アディショナルタイムにはDFマティアス・オリベイラにトドメとなる2点目のゴールを決められた。

 日本にとって不運だったのは、もっとも代えの利かない選手を試合中、それも早い時間帯に失ってしまったことだ。

 前半15分すぎのことだった。FW小川航基(ジュビロ磐田)が着地の瞬間に左ひざを負傷し、担架で運ばれていく。その後プレー続行不可能の診断がくだり、FW久保建英(FC東京U-18)と交代することになったのだ。

 裏への抜け出しが得意なFW岩崎悠人(京都サンガ)にせよ、1.5列目で自由にプレーする久保にせよ、小川とコンビを組ませて補完関係を築くことが前提だったところがある。ここまで出番がないFW田川享介(サガン鳥栖)にしても、高さとスピードを兼備しているが、ターゲットマンではなくセカンドストライカーの色が濃い選手。少なくともこのチームでは、小川のバックアップというタイプではない。

 こうして日本は、いくつかの攻撃パターンを捨てなくてはならなくなった。サイドバックが攻め上がってアーリークロスを流し込む回数は減り、早めに最前線に預けてポストプレーによって時間を捻出してもらうようなシーンも見かけなくなる。

 一方で、特化されたものもあった。地上戦である。

 攻撃のビルドアップは、すべて後方からつないだ。「ゴールキックとかも全部、下でつなぐようにした」と岩崎が振り返るほどの徹底ぶりだった。

 日本がウルグアイゴールに迫れるようになるのは、後半に入ってからだった。ひとりひとりの球離れがよくなり、「前半はファーストタッチがうまくいかなかった」と言う久保の足にもボールがつくようになり、チームとしてフィニッシュへと結びつける回数が増えていく。

 後半10分にはMF市丸瑞希(ガンバ大阪)のループシュートをGKが弾き、それを久保が頭で狙ったが、バーを越えた。後半13分には久保の強烈なシュートをGKが弾いたところを、堂安律(G大阪)が頭で狙ったが、DFにクリアされた。

 後半22分には岩崎の放ったシュートがGKのセーブに遭ったが、こうした一連の流れに内山篤監督も、「後半は修正してバランスがよくなり、チャンスメイクしていたし、決定機も迎えていた」と手応えを口にした。

 ただし、ウルグアイが多少の余裕を持って対応していたのも確かだろう。日本をあえて自陣に引き込み、カウンターを狙うしたたかさがあった。DF中山雄太(柏レイソル)が悔やむ。

「ウルグアイには『自分たちに持たせている』という感じがあって、そこで一発があるのが相手の特長。それだけが本当に怖かったので、トミ(冨安健洋/アビスパ福岡)とコミュニケーションを取っていたんですけど、結局、失点してしまった」

 日本に攻め込ませながら、カウンターという鋭利なナイフをちらつかせていたのだ。加えて、90分間全力でプレーする必要などなく、いつ温存して、いつ出力するか、ウルグアイの選手たちは理解していた。

 まるで大人と同じサッカーをするウルグアイと比べれば、日本の攻撃はあまりに正攻法すぎた。久保と堂安が絡んだショートパスによるコンビネーションからの崩しが多く、リズムやテンポ、展開に変化や緩急があまりなかった。

「自分と(久保)タケだけの関係になっていたので、そこにもうひとり絡んでくれたら、というシーンもあった。そこはコミュニケーションを取っていきたいと思います」と堂安が言えば、攻撃を組み立てた市丸も「相手は中を締めていたんですけど、それでも中を通すためにどうしたらいいか、工夫が必要だったと思います。自分だけじゃなくて、味方を使いながら、サイドを使いながら、ワンタッチでの縦パスを増やせれば、試合展開はもっと変わっていたかなって」と反省を口にした。

 何度も裏を狙った岩崎の生かし方も素直すぎた。裏に抜け出す岩崎をそのまま使おうとするから見え見えで、ウルグアイのふたりのセンターバックに簡単に防がれてしまう。

 そうではなくて、裏を狙う岩崎をおとりにして相手ディフェンスラインを押し下げ、それで生まれたバイタルエリアのスペースを久保や堂安が使うといった工夫がほしい。ザックジャパン時代の岡崎慎司(レスター・シティ)がダイアゴナルランで相手ディフェンスラインを押し下げ、生まれたスペースを本田圭佑(ACミラン)や香川真司(ドルトムント)が利用したように――。

 32ヵ国が参加するワールドカップとは異なり、U-20ワールドカップは24ヵ国が4チーム・6つのグループに分かれて戦うため、決勝トーナメントには各グループ2位以内と、各グループ3位の上位4チームが進出できる。

 そのため、2勝1敗なら確実に決勝トーナメント進出が決まる。日本も次の対戦相手のイタリアも1勝1敗同士。イタリアもウルグアイと似たしたたかさを備える難敵だ。のらりくらりと戦いながら、突然牙を剥いてくることも大いにあり得る。ウルグアイとの一戦で大人のサッカーをレクチャーされた若き日本代表は、果たしてどのようなゲーム運びを見せてくれるだろうか。

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