サプライズ招集の“秘密兵器”加藤、ハリルが1年間追跡 プレースタイルは「少し蛍に似ている」

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ブルガリアで4度視察 「アグレッシブで良い組み立ても持っている」と評価

「皆さんがあまり知らないであろう加藤という選手も入れた」

 日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督は25日、6月7日に行われる国際親善試合シリア戦(東京スタジアム)と13日のワールドカップ・アジア最終予選イラク戦(イラン・PASスタジアム)に向けた日本代表メンバー発表会見で、ついに“秘密兵器”の招集に踏み切った。

 その名は加藤恒平。ブルガリア1部のPFCベロエ・スタラ・ザゴラでプレーする28歳は以前からハリル監督が熱視線を送っていた。昨年9月の代表発表会見時には招集こそされなかったものの、「ブルガリアの加藤選手も見てきました」と名指しして言及するほどだった。

「ほぼ1年間をかけて追跡している。ブルガリアでの試合を4試合ほど現地で見た。ビデオでも見ている。4回ほど現地で見て、ダイレクトに見ている。彼はボールを奪う人という役割だ。それから、しっかり組み立てもできる。このような若い選手を本当にテストしてみたい」

 ハリル監督は加藤のプレースタイルについて、「少し(山口)蛍に似ている」とした上で、「アグレッシブで良い組み立ても持っている。攻撃でも良いパスを出せる。ただ、少し2列目かなという感じもする。守備の修正役も担える選手だ。良いパスを持っているので、もう少し攻撃的にいける可能性もある。蛍よりもパワーはない。予測とアグレッシブさのレベルがかなり高い」と攻守のバランスに優れていると分析している。同じポジションには高萩洋次郎(FC東京)、小林祐希(ヘーレンフェーン)、柴崎岳(テネリフェ)といったライバルが多いなかで、新たな選択肢として見出された。

マイナーリーグを渡り歩いた“雑草の星”

 加藤は大学時代にアルゼンチン留学を経験。ビザが下りず、ろくに公式戦でプレーできないという苦しい環境だったが、勝利にこだわるチームメートに感化されてハングリー精神を養った。帰国後には町田ゼルビア(当時J2→JFL)でのプレーを経てから、モンテネグロ、ポーランド、そしてブルガリアとあまり馴染みのない海外リーグを渡り歩いてキャリアを積んだ。

 9月の代表発表後には「選ばれないと意味がない」と野心をむき出しにしていた男は、ついに日本代表まで上り詰めた。ハリルジャパンの「秘密兵器」が、ロシア・ワールドカップに向けたキーマンとして急浮上するのか、そのプレーに注目が集まる。

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images