ロードバイクのメンテナンスの基礎知識を伝授するコーナー。今回は、「シフトワイヤーの交換(シマノ11速)」のやり方についてレクチャーしていきます。シマノ9000系デュラエース、6800系アルテグラ、5900系105など11速化されたコンポーネントでは、シフトワイヤーの取り付けに別途ノウハウが必要です。

 

【使用する工具】

アーレンキー

 

プライヤー

 

ワイヤーカッター

 

ケーブル固定位置判別工具

 

【シフターからワイヤーを抜く】

シマノの11速コンポーネントでシフトワイヤーを交換する場合、作業のプロセス自体に大きな違いはないが、シフター側のワイヤーを通す場所が異なるため、作業の内容が多少異なってくる。また、フロントディレイラー側のワイヤー固定方法に別途ノウハウが必要で、これはタワー型と呼ばれる9000系デュラエース、6800系アルテグラ、5900系105などの11速用フロントディレイラーを対象としたもの。4700系ティアグラやR3000系ソラなど、一部9速と10速用フロントディレイラーも含まれる。なお、R9100系の新型デュラエースは該当しない。

 

1.グリップラバーをめくって、ブラケットの外側側面からワイヤーを引き抜く。

 

【新しいインナーを通す】

2.新しいインナーワイヤーを1.と逆の手順でブラケット側面に通す。

 

3.以下は間違った例。ブラケットの側面にワイヤーのタイコが飛び出している状態はNG。

 

ワイヤーのタイコが斜め下方向からブラケット内に収まっているのが正解。

 

【ケーブルガイドに沿わせる】

4.ブラケット内側側面からインナーワイヤーを引き出しケーブルガイドに沿わせる。

 

5.カバーで覆えばシフター側のインナーワイヤー取り付け作業は完了。

 

【新しいアウターを通す】

まずシフター側についてだが、従来型ではインナーワイヤーのタイコを受ける位置がシフターの下部だったが、 11 速では側面に変更されている。アウターワイヤーに取り付けるアウターカップも形状が異なるため、ワイヤーキットに同梱されている突起の付いたものに差し替える必要がある。

 

6.新しいアウターワイヤーにはアウターカップが取り付けられているがこれは使用しない。新しいキットに同梱される突起のついたものに交換する。

 

【レバー側のボルトを外す】

7.ブラケットの溝に合わせてアウターカップをスライドさせながらアウターワイヤーをセットする。

 

【コンバーターの向きを判別する】

フロントディレイラーについては、フレームのワイヤールーティングが大きく影響してくるため、車体に応じてセットアップの方法が変わってくるので注意。ワイヤーを通す方向に合わせてフロントディレイラーのコンバーターにそれぞれ取り付ける向きが指定されている。このワイヤールーティングの確認作業にはシマノが別売で用意している専用のケーブル固定位置判別工具が必要となる。

 

フレームにフロントディレイラーをセットした状態でフロントディレイラーにケーブル固定位置判別工具をあてがいながら、インナーワイヤーをケーブル固定位置判別工具上部の凹部に合わせる。ケーブル固定位置判別工具に描かれた中央線に対して、インナーワイヤー左右どちら側に振られているかで、コンバーターを取り付ける向きが変わってくる。

 

コンバーターの向きもケーブル固定位置判別工具に図が描かれているが、下部の図が9000系デュラエース用で、その他は上部の図に該当する。コンバーターの向きが決まったら、以降は従来の作業工程と大きな変わりはない。

 

8.フロントディレイラーにケーブル固定位置判別工具を合わせる。裏面上の凸部をフロントディレイラーの上部ボルト穴、金属の凸部をフロントディレイラーの中央の穴に固定。

 

9.インナーワイヤーを下から上に引きながら、ケーブル固定位置判別工具の表面上部の溝に合わせる。

 

10.デフォルトの向きと異なっていたら、コンバーターを入れ替える。裏側から細めのアーレンキーで押せば、コンバーターは簡単に取り出せる。

 

【ディレイラーにワイヤーを固定する】

11.フロントディレイラーのケーブル取り付け溝を確認しながらインナーワイヤーを固定する。

 

【こちらもチェック】

ディレイラーのワイヤー固定位置

11速用のディレイラーはフロント、リアともにインナーワイヤーを固定する位置を間違えないように視覚的な工夫がなされている。フロントディレイラーには「CABLE IN」の文字と矢印が、リアディレイラーにはボルト穴付近の角にマークが記されている。

フロントディレイラー

 

 

リアディレイラー

 

ケーブル固定位置判別工具の使い方

9000系デュラエース、6800系アルテグラ、5900系105などの11速用フロントディレイラーにはコンバーターが取り付けられている。フレームのワイヤールーティングに合わせて、このコンバーターを指定の向きにセットしなくてはならない。コンバーターの向きを判別するには、別途シマノのケーブル固定位置判別工具を使用する。直感的に使える代物ではないので、インナーワイヤーの交換作業に取り掛かる前に、このケーブル固定位置判別工具の使い方を覚えておきたい。

↑これがケーブル固定位置判別工具。中央分離線、左右を示す矢印のほか、コンバーターの向きを示す図が描かれている。下図が9000系デュラエース用。上図は6800系アルテグラや5900系105用

 

↑ケーブル固定位置判別工具の裏面にある上の凸部をフロントディレイラーの上部ボルト穴、金属の凸部をフロントディレイラーの中央の穴に固定する

 

↑インナーワイヤーを下から上に引き、ケーブル固定位置判別工具の表面上部の溝に合わせる。中央分離線に対して、左右のどちらにワイヤーが掛かるか確認する

 

 

↑右側に掛かっていればコンバーターは上写真、左側に掛かっていれば下写真の向きにセットする