レコーディングギリギリまで向き合い、考え抜いたというNakamuraEmi。新曲に寄せた想いとは(撮影・冨田味我)

 シンガーソングライターのNakamuraEmiの新曲「Don’t」が5月24日に、TVアニメ『笑ゥせぇるすまんNEW』主題歌シングルに収録されリリース。この楽曲は、TVアニメ『笑ゥせぇるすまんNEW』(TOKYO MX)のオープニングテーマ。登場キャラクター・喪黒福造の決めゼリフである「ドーン!」は今作のキーワードになっている。アニメと自身の世界観に相違があるのではないかとスタッフが一度は断ったこの話。改めて脚本を読んだ時に意外にも繋がる点があるとし、原作者・藤子不二雄(A)氏と自身が言いたいことを重ね歌にした。レコーディングギリギリまで向き合い、考え抜いた同曲を彼女は「その時期は苦しかったけど曲が出来て感動した」と表現している。同曲はどのようにして生まれたのか。そして、今後の活動においてどのような役割を果たすのか。昨年のオフィスオーガスタ主催イベントやメジャー2ndアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4』を交え、話を聞いた。

歌に対する想いを100%でも200%に

NakamuraEmi

――まずは昨年出演された『Augusta Camp 2016』(オフィスオーガスタ主催イベント)についてお聞かせ下さい。ライブハウス等とは異なり、様々な客層がいるなかでのステージ。しかも杏子さんや山崎まさよしさん、スキマスイッチさん、秦 基博さんなど先輩方も出演する大舞台。あそこでのパフォーマンスで得られた感触はありましたか?

 その2カ月くらい前から色んな夏フェスに出させて頂いていたので、自分を知らない人達の前でライブをするという事には“免疫”がついていました。でも改めて事務所の一員として出させて頂くという事の緊張感は大きかったですね。

――プレッシャーはありましたか?

 大先輩方のライブでしたからね。10周年を迎える秦 基博さんと長澤知之さんの記念もあったので、その中で自分が1人で出させて頂くコーナーを作ってもらったので、そういう緊張の方が大きかったです。なかなか事務所の先輩方とご一緒したり、お話をする機会はないので、そういう面でも緊張しました。貴重な経験をさせて頂きました。

――緊張を感じさせないパフォーマンスでした。

 でも近しい方には緊張をしていた事はバレていました(笑)。

――自分の中で変わった事はありましたか?

 野外ライブなどをどんどん経験させて頂くと思いますが、少しでも邪念が入ると…。広い所でその場所にいる人達に聴いてもらう事は、自分の中の1本の筋が通っていないと観てもらえないと思いました。自分の集中力と、自分の歌に対する想いを100%でも200%にしないと、色んなものがある広い場所だと届かないと感じたんです。

 ライブハウスではなく、野外でやる難しさを感じていたのでギターのカワムラさんも“集中”という事に対して話し合ったりしました。

――楽曲「メジャーデビュー」のスタジオセッション映像で、カワムラヒロシさんとお2人でのパフォーマンスがありますが、そこからも凄まじい集中力を感じました。

 全てが一発録りだったので、失敗が出来ないというところもありました。あの時の“集中”は楽曲を大きく左右するものだなと思いました。

――収録後の様子から、いかに集中力を使っていたかという事が伝わってきました。

 ライブ中も、1曲1曲が終わった後の「ふぅ〜」という感じが凄くありますね。脱力感と言いますか。

――やはりライブ後はグッタリ?

 終わった瞬間はオフになります。その後、ホテルに帰ってからが凄いですね。糸が切れて何も出来ないという。

――あとライブでMCが終わる事に「よしっ!」と確認している姿も。

 MCが苦手なので(笑)。慣れないんですよ。ライブの中で「これだけは伝えなくちゃ」というのが自分の中ではあるんですけど、いつもそれを忘れて後で後悔するんです。忘れないように書いておくんですけど、それを言い終わった後に「よしっ!」ですね。独り言事が出ちゃってます(笑)。

――喋るということに対して渋谷のラジオ『渋谷のナイト』でのパーソナリティはいかがでしたか。

 もう“てんてこまい”です。この1年半でたくさんラジオに出させて頂いてから、パーソナリティさんの凄さやラジオの面白さを肌で感じました。だから5分でいいから何かのコーナーを持てたら嬉しいなという目標があります。

 5月にラジオに出させて頂いた時は、ゆるい番組だから何をやってもいいと思っていたんです。みんなお酒を飲んだり鍋をやったりしてたくらいのゆるさだったし。でもその2時間半の番組の中で自分が喋ったり、みんなを楽しませるという事は凄く勉強になったし、楽しかったです。

――その経験も楽曲に活きそうですか?

 そうですね。ラジオへの思いはどんどん高まっているので、そういう曲、言葉の断片は今ノートにあったりします。

――ラジオでインスピレーションを感じる事はありますか?

 あります。色んな方がメールを番組に送りますよね? それを聞いていて「みんな、こういう事で悩んだりするんだ」とか「私もそうだったな」とか思うんです。その人に会わずに悩みが聞けるって凄いと思うんです。パーソナリティさんの喋る事プラス、リスナーさんからの言葉で色々もらう事がたくさんあるんです。

――レギュラーでやって欲しいですね。

 出来たら出来たで大変な事になりそうです(笑)。

――毎回カワムラさんを呼ぶ事になったり?

 そうですね。突っ込みがいないと成り立たないかもしれないですね。ライブのMCにしてもそうだし。カワムラさんが死んだらどうしようって思いますよ。

――信頼出来るギタリスト、プロデューサーですものね。

 そうなんです。大きな存在に出会えたなと感じています。

自分らしさを貫くという事は絶対に変えてはいけない

(C)藤子スタジオ/笑ゥせぇるすまんNEW製作委員会

――3月に出されたメジャー2ndアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4』の反応はいかがでしたか?

 前回よりも幅広い方々に聴いてもらえている気が凄くします。ライブ会場の年齢層も幅広くなってきています。今までは女性の方が多かったのですが、男性の方が来てくれるようになったり、家族で来て下さる方々も多くて嬉しいです。業界の方も聴いてくれていて、色んな所で名前を知って頂けているので、たくさんの方々に聴いて頂けているのだなと感じています。

――「メジャーデビュー」を最後に持ってきていたのがまた。

 自分の中でも凄く大きな曲だったので「これは絶対最後にしよう」と決めていました。メジャーデビューをして、こうやって取材をして頂く事も初めてだったし、とにかく初めてだらけの1年で、初めましての人達からもらった刺激というのは、普通の社会人をしていたらなかなかない事だと思うんです。色んな人種の方々に出会えたという事が凄く大きかったです。

 そういう人達からもらった言葉や考え方で、今回書く曲も変わってきました。色んな人の力が入って書けた曲たちなので、少し間口が広がった分、聴いてくれる方々も広がったのかなと。もっと広げられるように頑張りたいなと思っています。

――一言一言が重いと言いますか、「メジャーデビュー」は自分の考えを改めさせてくれる格言みたいな感じがあります。歌詞にある<ぶれんじゃねーぞ>は、業種関係なくすごく重要な事だと思いました。

 この曲はデビューをする前は全然違う歌詞だったんですけど、デビューをして半年後に今の曲に全部書き換えられたというのは、最初は不安だらけだったけど、今のチームの皆さんや、そういう方々が出会わせてくれるメディアの方やお客様というのは、凄く温かい方ばかりで。

 だから出来た曲だし、メジャーの力というのは、自分を好いていない方にも届けられちゃう力があり、そういう方々から頂く言葉もあるので、「これじゃ駄目なんだ」って思っちゃったらどんどん変わっていってしまうと思います。広く聴いて頂くからこそ「嫌いだ」という意見もくるんです。でも、その中でも自分らしさを貫くという事は絶対に変えてはいけないと思って<ぶれんじゃねーぞ>という言葉が出てきました。

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