今年10周年を迎えるAZU。ターニングポイントになったのは“塾長”とのシングル曲だった

 シンガーのAZUが5月31日に、10周年記念シングルコレクション『SINGLE BEST + 〜10th Anniversary〜』をリリースする。東海のヒップホップシーンから生まれ、“東海の歌姫”とも言われた彼女。2007年5月30日に「CHERISH」でメジャーデビューし、今年10周年を迎える。本作は、これまでリリースしたシングル曲を収録。昨年、配信限定リリースした「again」や、今作のために書き下ろした新曲「Thank you」を初収録している。インタビューでは収録曲を通して軌跡を振り返った。ターニングポイントにあげたのは、セルフプロデュースのきっかけを作った、SEAMOとの4枚目シングル「時間よ止まれ feat. SEAMO」だった。また、初ツアー時に前兆を感じたポリープも彼女の音楽人生に大きな影響も与えた。彼女にとってこの10年間はどのようなものだったのか。

もう恥ずかしくて聴けない

――今月で10周年を迎えました。

 あっという間でした。「もう10年なの?」という感覚です。まだ2年目くらいの気持ちでけっこうフレッシュです(笑)。色々と過去を振り返っている感じはありますね。5周年の時は「いくぞ!」というふうにイケイケな感じでしたが、10周年は「もう10年なんだ…」と昔を思い出す作業をしています。

――今作のマスタリングをする工程で過去を振り返っていたみたいですね。

 もう恥ずかしくて聴けないという思いもありましたけど(笑)。

――録り直したいと思ったりも。

 昔の曲は一回も歌い直した事が無いので録り直したいですね。ファンの方々からしたら当時の歌い方が感覚に残っているので、それを歌い直してしまったら違う曲の印象になってしまうと思うんです。だから、現在は出来てもリマスタリングくらいなのですが。

 今聴くとやっぱり声も今と違うし、歌い方もすっごい下手だと思うんです。「よくこんなんでCDを出させてもらったな!」と自分では思っちゃうくらいで。今回のマスタリングの時にみんなに「もう感謝だわ」と言ってました。

――マスタリングにはいつも立ち合うのですか?

 そうですね。ミックス、マスタリングまで立ち合うんです。

――けっこう長い時間がかかる工程ですよね?

 でも友達が遊びに来てくれて、ずっと恋愛トークをしてたりします。「ちょっと音量下げてもらえます?」とか言ったりして(笑)。和気あいあいとやってるんです。現場はみんな仲が良くてファミリー感があります。

――ミックスの時などは音像に注文を出したりしますか?

 エンジニアさんが一緒の方の事が多いから、ツボを分かってもらえているのでそんなに気になる部分は無いんです。レコーディングでも撮影でも、何をやっても早いんです。

これが駄目だったら私は音楽をやめてもいい

AZU

――10周年『SINGLE BEST + 〜10th Anniversary〜』は20曲収録というボリュームですが、特に印象に残っている曲は?

 4曲目の「時間よ止まれ feat. SEAMO」からセルフプロデュースになっていくんですけど、その前の3曲までは当時のプロデューサーさんが主体にやっていた時期です。そこまでは作家さんが入って、直されて、歌って、というところがありました。ジャケット写真にしてもPVにしても自分が主体でやれなかった事が、その3曲までだったんです。一応意見は言うけどそれが上手く表現されないという“悩み期”でしょうかね。

――葛藤があったわけですね。

 その後に「時間よ止まれ feat. SEAMO」を出した時にSEAMOさんが「もっとAZUの色を出した方がいいんじゃない? もっとAZUのやりたいようにやらせてあげてよ」とスタッフの方に言ってくれまして。それまでは「こうやりたいんですけど」という意見をしても「ううん…」という感じで。でもこの楽曲を出した時からは、自分の意見にスタッフの方も同意して頂けるようになってきました。それまではスタッフさんの意向で、大御所のメイクさんや監督さんを迎え入れてくれたりしたんですけど、「私はそういうのあまり向いていないのかも」とずっと思っていました。

――SEAMOさんの鶴の一声ですね。

 とにかく“もやもや時期”でしたね。それでSEAMOさんの一言で自分のプロデュースという流れに変わったので、転機になった曲です。

――次のターニングポイントは?

 5曲目の「いますぐに・・・」です。「時間よ止まれ feat. SEAMO」を出した後に喉のポリープが見つかって、その手術をした時に作った曲です。「時間よ止まれ feat. SEAMO」はアニメのタイアップの機会を頂いていて、色んな人に自分を知ってもらった曲なのですが、同時にポリープも見つかって2カ月くらいはライブも出来ないし喋れないし、しばらくはお休みをしなければならない時期でした。「ちゃんと声が元にもどるのかな? 4枚しかシングル出してないし、SEAMOさんとやったばっかりなのに…」とか、色々と凄く不安になりました。そのお休みの期間の時に書いた曲が「いますぐに・・・」だったんです。

――その後、喉は大丈夫だったんですか?

 すごく綺麗に治って再発もしてません。「いますぐに・・・」を作った時にスタッフさんから「なんかピンと来ないね」と言われて、もう一つあった曲の方が良いという意見が多くて。でも私は「いますぐに・・・」の方を推していました。「どうしてもやりたい。これが駄目だったら私は音楽をやめてもいい」というくらいの気持ちを当時のボスに伝えました。そうしたら「じゃあやってみようか」という事で「いますぐに・・・」を出したら、この曲が一番ヒットしました。

――更に名前が知られるようになった曲なんですね。

 「いますぐに・・・」と「I WILL」あたりが、AZUの名前を知ってもらえる曲になったと思います。「I WILL」はCMなどでもプロモーションして頂いたので、けっこう知って頂けた方がいるんじゃないかと思います。

――「I WILL」は喉のポリープ手術後の曲ですよね?

 そうです。完全復活一発目の曲です。「いますぐに・・・」はポリープ手術の直後だったので、まだちょっと完全ではなくて…。休み休み歌ったのを覚えています。

――ポリープの前兆はあったのでしょうか?

 ありました。一回目のツアーの時にやっちゃったんです。大阪に行く前の日に、緊張もあったのか風邪をひいて喉を潰してしまって。それで名古屋公演の本番前に病院に行ったら「ポリープがありますね。血豆ができてる」と言われまして。

 薬をもらって様子をみる事にしたんですけど、そこからインストアライブやらラジオのお仕事やらがあって、声を出さなければなければいけなくて。「一週間は喋らないで」とお医者さんに言われたんですけど、結局喉が休まらない状態でした。それで駄目になってしまい「切らなければ」という判断が下されたんです。

――現在、喉はかなり気をつけている?

 凄く気を付けていますね。月に一回は病院に行って喉を診てもらいますし、お酒を飲んだら次の日は空けたりします。ライブ3日前は、お酒は控えるようにしています。

――お酒好きなんですね。最近はBARも開業されましたね。

 そうなんです。お酒も好きだし、10周年で何か違う事をやりたいなと思っていたんです。ファンの方々との距離感がけっこう近いので、10年の恩返しじゃないですけど「みんなが集まってワイワイできる場所があったらいいな」とずっと思っていました。

――BARにはAZUさんいるんですか?

 いますよ。月曜日と木曜日が休みなんですけど、それ以外の日はいます。

――お客さんは女性の方が多い?

 ミュージシャンの友達も来たりして、半々くらいです。ファンの方は6:4くらいの比率で女性の方が多いです。

――違う事をやりたいという事で、BARを開くというのもなかなか珍しいですね。

 しかもまだ現役なのに(笑)。

――お店の開業は引退後という事が多いですよね。

 そうそう。だいたいは終わって「どうしようかな」という時にBARとかをやりますよね(笑)。

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