1982年に公開された映画「ブレードランナー」の続編「ブレードランナー 2049」が2017年10月27日に公開となります。前作の監督であるリドリー・スコットが製作総指揮を担当し、前作の主人公であるデッカードもハリソン・フォードが演じて再登場することが決まっていますが、音楽はヴァンゲリスではなく、ヨハン・ヨハンソンが担当することになっています。そこで、「ブレードランナー」でのヴァンゲリスによる音楽がどれだけ素晴らしかったのかを、YouTubeで「Nerdwriter」の名で活躍しているEvan Puschakさんが熱く語っています。

Listening To Blade Runner - YouTube

ヴァンゲリスはギリシャの音楽家で、「ブレードランナー」のほかにも多くの映画音楽を手がけていて、「炎のランナー」ではアカデミー賞オリジナル作曲賞を受賞しています。「ブレードランナー 2049」ではヴァンゲリスではなくなるというのは前述の通りですが、Puschakさんは「そんなものは想像できない」とコメント。その理由は「『ブレードランナー』の音楽は、音楽を超えているから」だとのこと。つまり「ブレードランナー」の音楽は作品に不可欠な存在で、他のものと入れ替えてはなり立たないものだという主張です。

Puschakさんが感じているのは、「ブレードランナー」では音楽が作品に「後から追加されたもの」や「添えられたもの」ではなく、「サウンドデザイン」「ダイアログ(セリフ)」とともに、作品のDNAに焼き付けられたものだということ。この3つが統合されている点が、「ブレードランナー」が他のSF映画とは大きく異なっているところだとのこと。



バーナード・ハーマンが1951年公開の「地球の静止する日」でテルミンを使ってから「ブレードランナー」まで約30年ありますが、この間、SFといえば電子音楽でした。



ハーマンの他には、1956年公開の「禁断の惑星」で音楽を担当したルイス&ベベ・バロンなどが知られています。このころ、異星人の惑星を表現するときには「曲げたり歪めたりしたような電子音」でイメージを喚起していました、



そんな中で、「ブレードランナー」は、「禁断の惑星」のメロディックな音楽と「スター・ウォーズ」の壮大な交響楽との中間を行く存在となりました。



「ブレードランナー」の音の特徴として、Puschakさんは「反響(リバーブ)」を挙げています。



デジタルリバーブ草創期の名機であるElektro-Mess-Technik製の「EMT 250」が生まれたのは1976年で、「ブレードランナー」公開のわずか6年前のことでしたが、ヴァンゲリスはこの手の音作りの名手でした。



また、ヴァンゲリスは「ブレードランナー」の音楽を制作するにあたって、ヤマハのシンセサイザー「CS80」を利用しました。



CS80は「生きた呼吸をする歌手」と表現する人もいる名機で、ヴァンゲリスが自身のキャリアの中で最も重要なシンセサイザーだと呼ぶほどに関わりの深いシンセサイザーでもあり、Wikipedia英語版の「CS80」の記事には「ヴァンゲリス」の項目が設けられています。CS80はキーがときに敏感で、「アコースティック」的な音すら生みだしたそうですが、この点がまさに「ブレードランナー」の音作りに合致していたとのこと。



しかし、ヴァンゲリスのいいところを挙げつつも、Puschakさんは「ブレードランナー 2049」で音楽を担当するヨハン・ヨハンソンに期待を寄せているようです。ヨハンソンは「ブレードランナー 2049」の監督であるドゥニ・ヴィルヌーヴとは2013年公開の「プリズナーズ」以来、「ボーダーライン」(2015)、「メッセージ」(2016)と仕事を共にしており、これが4度目のタッグ。Puschakさんは「もし自分がヨハンソンの立場なら、ヴァンゲリスを完全にコピーしたくなる衝動に抵抗するだろう」とコメントしていて、その上で、ヨハンソンが「ブレードランナー」をどう解釈して音楽を作ってくるのかという点を楽しみにしているようです。

続編作品にはどうしても大きな期待がかかるもので、それだけに不安要素が見つかると必要以上に気になってしまうものですが、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」でJ・J・エイブラムス監督が見事にファンの期待に応える作品を生み出したように、「ブレードランナー 2049」もヴィルヌーヴ監督とヨハンソンによるタッグで良いものが生まれることを期待したいところです。

映画『ブレードランナー 2049』新予告編 - YouTube