動画配信サービス「Hulu」日本版のリニューアルは、様々な点で注目を集めている。
・Webサービスのリニューアルでは禁じ手ともいえるドメインの変更(Hulu.jp→happyon.jp)
・アプリの再インストール
・著作権保護技術として「HDCP」の導入
特に、「HDCP」の導入では、一部のディスプレイで再生できなくなるトラブルも発生している。

そして、今、盛り上がっているのが「リニューアルしたHuluがSilverlightを採用した」というもの。
見出しが衝撃的過ぎてSNSでの拡散も一気に広がったが、結論をいうと、Silverlight採用の話は一部の再生環境に限られるので、大勢に影響が出ることではないようだ。

とはいえ、そもそもSilverlightとは何か?

今回、SilverlightがどうHuluの再生に影響しているのかまとめておこう。

◎Silverlightとは?
Silverlightは、MicrosoftがAdobe Flashに変わるリッチコンテンツプラットフォーム技術として開発したものだ。

2007年に公開されたSilverlight 1.0は、JavaScriptに対応し、スクリプトだけで動的なコンテンツが作成できると期待された。そしてSilverlightプラグインを追加したブラウザであれば、コンパイルなしに実行できた。

その後、バージョンアップとともに.NETフレームワークをベースとするフレームワークに移行。
ブラウザ内だけではなく、デスクトップアプリとして動作するアプリケーションが実現できる技術として注目された。

残念ながらSliverlughtアプリケーションが広まることはなかったが、Web上で高精細な動画を扱うことができるSilverlightは、動画配信サービスを中心に普及していった。
一時は普及率60%という数字も発表されたが、現在、Firefox、Google Chromeは42以降、Operaは20以降、Microsoft EdgeはSilverlightが利用不可になっている。Android、iOSの主要ブラウザでもそうだ。

そして、Silverlight5は、2021年10月12日にメインストリームサポートが終了することがアナウンスされている。

◎配信サービスのPC側の環境としてのSilverlight
現在でも動画配信サービスを中心にSilverlightは、まだ使われている(主に、PC上のブラウザで再生する場合だが)。
dTV、DMM.com、GYAO!プレミアム、Netflix、Amazon、それにHuluなどなど。

どういうことかというと、具体的には、動画の著作権を保護する「DRM」(デジタル著作権管理)に対応するためだ。

Webで動画を扱うようになった頃、前述のようにリッチコンテンツとして、Flash PlayerやSilverlightを使って再生していた。そうしたブラウザプラグインには、DRMで保護されたコンテンツを扱うコンポーネントが用意されており、そのおかげもあって商用の配信サービスが普及したといえる。

それが、HTML5の登場で変わったのだ。

HTML5では、内部的にDRMを処理できるからだ。
そのため、HTML5に完全対応するブラウザではSilverlightプラグインなしで動画が配信できるようになっているのだ。

つまり、ユーザー側の再生環境次第、PCで再生する場合には使用するブラウザ次第で、Silverlightが必要になってくるということ。

今回のHuluの場合は、リニューアル前はSilverlightを使っていなかった。
それが、リニューアル後は、環境によってSilverlightが必要になってしまった。

つまり、利用環境、使い勝手が、リニューアル前よりも後退してしまったのではないか、と話題になったのだ。

ちなみに、Hulu側がSilverlightの使用を具体的に示しているのは、
・Windows 7のIE11を使用している場合
だ。

とはいえ、
最近のモダンなブラウザはHTML5に対応しているし、Silverlightが2021年までのサポートであることからも、徐々にSilverlightが使用されなくなる環境に移行する流れになっていると思われる。


大内孝子