「あまり知られていませんが、メロンにはGABA(γ-アミノ酪酸)という天然アミノ酸がかなり多く含まれていることがわかっています。GABAは植物や動物、人間の体内に存在し、興奮を静めてリラクゼーション効果をもたらしたり、血圧の上昇を抑える効果があるのです」

そう教えてくれたのは、温室メロンGABAの関係について研究している静岡県農林技術研究所 品質・商品開発科の豊泉友康さん。ストレスを軽減するといわれているGABA。チョコレートなどで、その効果がうたわれている商品を見たことがある人も多いのでは?GABAは、脳や脊髄で働く、抑制性の神経伝達物質。本来なら体内で適正量が作られるものだが、ストレスや加齢により体内のGABAの量が減る傾向がある。

「体内で作られるGABAは、興奮系の神経伝達物質の過剰分泌を抑える働きをします。つまり、ストレスなどでGABAが不足すると精神的な緊張が続き、体の不調につながります。最近では、食品から取ることで得られるリラクゼーション効果も注目されているんです」(豊泉さん・以下同)

GABAが発芽玄米やトマトなどに多く含まれているのは有名だが、じつは生鮮食品のなかでは含有量がもっとも多いのがメロン。生鮮ではないが、発芽玄米に含まれるGABAは100グラム当たり約13ミリグラムで、メロンはなんと約72ミリグラム(変動があるため数値は目安)。1回の目安摂取量は300ミリグラムとされているので、メロンを4分の1個(約100グラム)食べれば、十分なGABAを体内に取り入れることができる。

「体内に十分なGABAがあれば、神経の高ぶりやストレスによる免疫力低下が抑えられ、ストレスを軽減させることができるんです」

また、GABAには血圧の上昇を抑える効果もある。消化管から体内に吸収され、血中に入ったGABAは、細動脈を収縮させる作用のあるノルアドレナリンを抑制する。細動脈が緩和され、結果として血圧の上昇を抑えてくれるのだ。

「さらに、GABAは低温に強く、熱に対しても比較的安定した成分です。100度で60分間熱してもほとんど分解しないので、加熱しても冷凍しても失われません」

食生活の変化や塩分の取りすぎにより、近年不足しがちなミネラルとして重要視されるカリウム。特にこれからの季節は、汗をかくとカリウムが欠乏しがちになる。

「メロンはカリウムの含有量も多いです。カリウムは体内に蓄積した余分なナトリウムを体外に排出する作用があり、体内の水分バランスを整える役割を担っています。利尿作用があり、体内の循環をよくしますし、むくみの予防にもいいですね」

尿とともに体にこもった熱も排出してくれるため、ほてりやのぼせにも効果的。メロンは約88%が水分ということもあり、喉の渇きも癒してくれる。まさに夏バテ予防にピッタリのフルーツなのだ。

また、赤肉メロンには抗酸化作用のあるカロテノイドのひとつ、β-カロテンが多く含まれている。赤肉メロンの含有量は100グラムあたり3,600マイクログラムと多い(緑肉メロンには100グラム当たり140マイクログラム)。夏バテ予防になるといわれるすいか(830マイクログラム)4倍以上も含まれている。

「β-カロテンは、体の中で必要に応じてビタミンAとなって働く成分です。ビタミンAは、皮膚や粘膜の健康を維持したり、夜間の視力の維持を助けてくれる栄養素。細胞を攻撃する活性酸素を除去する抗酸化作用が強いので、アンチエイジング効果も期待されています」

メロンに含まれているビタミンCやビタミンBの一種である葉酸も、美肌やアンチエイジングに有効な栄養素だ。ビタミンCは皮膚や粘膜の健康維持に必要なコラーゲン生成を促す。葉酸は造血効果や細胞分裂を助ける効果もあり、肌のターンオーバーを促してくれる。肌の細胞が活性化すれば、ピチピチのお肌をキープできる。

今が旬のおいしいメロン。たくさん食べて、心身ともにデトックスしよう!