By Kate Haskell

暴露サイト・Wikileaksに多くの機密文書を暴露させた罪に問われているチェルシー・マニング氏に関連して、知らずにうちにWikileaksに協力したと見なされ、職場だった政府機関研究所を解雇された男性が存在しました。この件がきっかけで男性はアイスランドへの移住を決め、果ては海賊党の創設に尽力したという破天荒な人生について、その本人であるジェイソン・スコット・カッツ氏がMotherboardに語っています。

The Man Who Made the Mistake of Trying to Help Wikileaks - Motherboard

https://motherboard.vice.com/en_us/article/jason-katz-wikileaks



2009年に28歳だったカッツ氏は、政府関連機関でシステム管理者として勤務していました。当時はマニング氏の暴露が起きる数カ月前のことであり、一般的にWikileaksの存在すら知られていない頃だったのですが、カッツ氏は職場のチャットルームで「政府の機密性と透明性について、Wikileaksの創設者であるジュリアン・アサンジを支持する」と話す同僚とチャットでやり取りしていたそうです。その同僚がある日、チャットルームで「パスワードで保護されたファイルを開きたい」と手助けを求め、カッツ氏はパスワードのかかった「b.zip」というZIPファイルをダウンロードしたとのこと。

チャットルームの参加者は全員が仮名を使っており、その同僚はカッツ氏だけに対して助けを求めたわけではなかったようです。カッツ氏もその同僚の本名などは知らず、Wikileaksと直接的につながりがあったかどうかもわからないとのこと。カッツ氏によるとファイルの解読を試みたのは「ハッカー精神をくすぐられた」からだったそうですが、その時ダウンロードしたパスワードクラッキングツールを使っても、ファイルを開くことはできずに終わったとのことです。

その数カ月後、Wikileaksは「巻き添え殺人」と題した動画を公開。これはマニング氏が暴露した最初の機密資料で、動画には2007年に米軍のヘリコプターがイラクで攻撃を行い、現地の子ども2人が負傷、その父親と現地に居合わせたロイターの記者2人が殺されるというショッキングなシーンが収められていました。この動画はカッツ氏がダウンロードしたファイルから流出したものではなかったそうですが、Wikileaksの暴露が始まるにあたって、カッツ氏はダウンロードしたファイルの中身を気にもかけなかったと話しています。



By Christine und Hagen Graf

米軍から大量の機密文書を流出させたとして、後にマニング氏は逮捕されたのですが、軍事裁判の中で政府側の証人から「ジェイソン・カッツという人物がWikileaksを助けるため、特定のファイルのパスワードを解読しようと試みた」という証言が出たとのこと。これによりカッツ氏にWikileaks暴露事件の捜査の矛先が向くことになり、捜査官はカッツ氏の職場のパソコンからダウンロードされたファイルとパスワードクラッキングツールを発見。カッツ氏は逮捕されることはなかったものの、「不適切なコンピューターの使用」を理由に政府機関を解雇されることとなりました。

その後、カッツ氏は2010年9月からニューヨークのヘッジファンド会社・Tower Research Capitalにシステム管理者として転職しました。2011年に入り、仕事に飽きてしまったカッツ氏が転職情報を見ていると、アイスランドのスタートアップ・Videntifierの求職情報が目に留まります。仕事内容は指紋認証システムなどの開発で、かねてよりアイスランドに興味を持っていたカッツ氏は、これを「自由な旅行のチャンス」と考え、面接を受けにアイスランドに向かい、2011年2月に採用が決定したとのこと。

アメリカに戻ったカッツ氏は、Tower Research Capitalに退職する旨を告げ、アイスランド渡航まで数カ月間は勤務可能であると伝えました。すると退職宣言から2週間ほどで、職場にFBIが現れたとのこと。FBIは2010年7月の軍事裁判からカッツ氏を監視していたものと見られており、2010年当時、Wikileaksがアイスランドを拠点にしていたことから、カッツ氏のアイスランド渡航に対して疑惑の目を向けたようです。カッツ氏はWikileaksの暴露についてFBIから取り調べを受けることになり、自宅とガールフレンドの家族宅まで家宅捜索を受けたとのこと。



By André Gustavo Stumpf

さらにカッツ氏は起訴陪審での証言を求められましたが、弁護士を立てて拒否したとのこと。取り調べ後にTower Research Capitalに戻ったカッツ氏は、会社から解雇を言い渡されています。早々に職を失ったカッツ氏は、アイスランド移住の手続きを進めることに決めましたが、アイスランドへのビザの申請ではFBIのバックグラウンドチェックを通す必要があったとのこと。無罪を主張するカッツ氏は疑惑の中でFBIに指紋を郵送し、晴れて数カ月後にビザの申請ができるようになったそうです。

最終的にカッツ氏がアイスランドに移住したのは2012年2月の頃でしたが、その8カ月後にカッツ氏はアイスランドの政治家、WikiLeaksの元協力者Birgitta Jónsdóttir氏、およびWikiLeaksの支持者などと手を組み、海賊党の設立に尽力したとのことです。「私は自分の行動を後悔していません。なぜならこれらの出来事が私を興味深い旅行に連れ立ってくれたからです。もし過去をやり直しても同じことをするでしょう。もし同じことをしなければ、アイスランドに海賊党は設立されなかったでしょう」とカッツ氏は話しています。