(写真提供=SPORTS KOREA)

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「エクソダス」という言葉をご存じだろうか。

もとは旧約聖書の「出エジプト記」で描かれたイスラエル民族のエジプト脱出から始まり、最近は大量の「国外出国」「国外脱出」を語るときにしばしば使われる言葉だが、韓国でそのエクソダスが止まらない。

韓国の中小企業の“韓国離れ”が深刻化しているのだ。

なぜ中小企業までも?

韓国輸出入銀行の集計によると、韓国国内の中小企業が昨年、海外に投資した金額は60億2300万ドルに上り、集計を取り始めた1980年以降、歴代最高となった。

海外法人の設立数も昨年1年間で1594となり、2008年のリーマンショック以降、最も多い。韓国輸出入銀行関係者は「ここ3〜4年、中小企業の海外への法人設立と投資金額が継続して増加している」と話しているという。

“韓国離れ”といえば、近年韓国国内で厳しい視線を向けられている財閥たちの“韓国籍離れ”が思い浮かぶ。10大財閥の一族921人中、95人がアメリカ国籍を取得しているとの報道もあった。

また、最近は中国人観光客の“韓国離れ”が進んでいると指摘されているが、まさか今度は中小企業も韓国から離れているとは…。

大企業の“韓国エクソダス”に加えて…

韓国の中小企業が“韓国離れ”しているのは、大企業が海外進出をしている影響が最も大きいと分析されている。

大企業から中小企業への国内の受注量が持続的に減少しているわけだ。

加えて、人件費の負担と各種の規制強化などが複合的に作用したとの見方もある。

韓国メディアの取材に答えた中小企業中央会の関係者は、「韓国社会に蔓延した反企業的感情も海外移転をあおる大きな要因」と語ったそうだ。

中小企業が雇用基盤だけに失業率が懸念

こうした状況を看過できないのは、韓国国内の雇用が崩壊する可能性があるということだろう。

中小企業は韓国国内の労働者の88%(1402万人)を雇用しており、中小企業の“韓国離れ”がこのまま加速すると、失業率がさらに悪化すると予想されている。

実際に失業者数は今年2月には135万人となり、アジア通貨危機の影響で失業者が激増した1999年8月の水準に肉薄していた。一部からは「国が潰れそうだ」との声も出ているという。

大企業に続き、中小企業においても“韓国離れ”が問題視されているわけだが、こうなると他国との経済協力を検討するのが、韓国のこれまでのパターンだ。

日本との経済協力には慎重論も

その相手候補には、もちろん日本も含まれていると考えるのが自然だろう。

日本の経団連の榊原定征会長は韓国の新政権に対して、「未来志向で良好な関係を発展できるよう期待している」との声明を発表。「経済交流を進め、両国の緊密化、関係の発展に貢献していきたい」ともしていた。

ただ、「日韓経済協力にはメリットがない」と語る韓国識者もおり、複雑な日韓関係のなかでの経済協力は一筋縄ではいかないとの見方も強い。

(参考記事:元ヒュンダイ自動車CEOが語る、日韓経済協力のメリットとデメリット

いずれにしても、韓顧客や大企業に続き、中小企業の“エクソダス=大量離脱”が深刻化している韓国。中小企業が同国の雇用基盤となっている現状があるだけに、早期解決が求められているのではないだろうか。

(文=慎 武宏)