飛行機に乗っていると、耳が詰まった感じになったり、痛くなったりすることがあります。その症状はなぜ起こるのでしょうか。また、乗務員はそれにどう対処しているのでしょうか。

原因は鼻にあり?

 飛行機に乗っていると、耳が詰まった感じになったり、さらには痛みを感じたりすることがあります。なぜなのか、そのメカニズムや対処法をJAL(日本航空)に聞きました。


耳が詰まったり、痛くなったりする症状は、おもに上昇、下降時に多いという。写真はイメージ(2016年3月、恵 知仁撮影)。

――飛行機に乗っているとき、どうして耳が痛くなることがあるのでしょうか?

 おもに上昇、下降時に起こります。これは、機内の気圧が変化したために、鼓膜の奥にある中耳の空気が膨張、収縮しようとするからです。

 中耳は耳管という細い管で鼻とつながっており、気圧が変化したときに耳管が鼻のほうで開くことにより、体外と中耳の圧が等しくなります。ところが、かぜやアレルギー性鼻炎で鼻の粘膜が腫れると耳管が開かなくなり、耳が詰まった感じになったり痛くなったりし、場合によっては中耳が炎症を起こしてしまうこともあります。

――予防する方法はありますか?

 飛行機に搭乗する前にかぜやアレルギー性鼻炎の治療を受けておきましょう。くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状がある場合は、市販の点鼻薬を搭乗前、下降前に使用してください。

――痛くなったら、どのようにしたらよいのでしょうか?

 つばを飲みこんだり、あくびをしたり、飴をなめてみてください。それでも効果がない場合は、バルサルバ法、いわゆる「耳抜き」をやってみてください。

 バルサルバ法のやり方は、まず鼻をかみ、息を軽く吸い込んでから鼻をつまみます。口を閉じて、吸い込んだ息を耳のほうへ送り込むようにし、最後につばを飲みこみます。耳のほうへ息を送り込む際は、強くやりすぎないよう注意してください。

耳の痛み、乗務員はどう対処?

――耳の痛みを訴える乗客にはどう対処していますか?

 飴をお配りしたうえで、つばを飲み込むなど、詰まりや痛みを解消するためのアドバイスを差し上げることがあります。特にご不安な様子の方には、安心していただくために「着陸後には回復することが多い」旨をお声がけすることもあります。

――乗務員は痛くならないのでしょうか?

 風邪ぎみであったり、花粉症であったりすると耳が痛くなることもあります。そうならないよう、乗務員はふだんから健康管理に気を配っています。搭乗前にも健康状態を確認し、異常があれば乗務から外れることもあります。

――もしも乗務員が耳の痛みを感じた場合、どのようにしているのでしょうか?

 お客さまにご案内しているように、乗務員もつばを飲み込む、またバルサルバ法で対応するケースが多いようです。

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 飛行機の乗務員も、なにか特別なことをしているわけではないようです。

【図】耳の構造


中耳は耳管を通じて鼻とつながっている。いわゆる「耳抜き」は、鼻側から耳管に空気を通し、その詰まりを解消する方法(画像:pixta)。