対中国の軸になれるか、協力関係を強化する日本とインド 海外メディアはどう見る?

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 今月14日から15日にかけて、中国主導の「一帯一路」サミットが開催された。面白いことに、中国が成果を強調するこの会合をきっかけとして、日本とインドがにわかに協力関係を強化している。この動きは、アメリカやロシアのメディアを巻き込んで注目の的になっているが、背景が少々複雑だ。政治、経済、安全保障など、利害関係は多方面に及ぶ。一帯一路サミットは、なぜ日本に対するインドの関心を深めたのだろうか? また、インドとの関係をアメリカやロシアのメディアはどのように見ているのだろうか? 入り組んだ関係性を紐解いてみよう。

◆新たなシルクロード
 サミットの狙いは、中国を中心とした巨大な経済圏の構築を働きかけることだ。その規模の大きさは、「新たなシルクロード」という愛称にも表れている。サミットにはアメリカやロシアなどが参加した。大国アメリカの「親中化」で、アジア圏における中国の影響力(あるいは脅威)は一段階アップしたと見ることができる。南アジアに属するインドも同様の危機感を抱いており、これが日印関係強化の背景だ。インドとの親密化は日本ではあまり大きく取り上げられていないが、この動きを海外メディアはどう見ているのだろうか。

 アメリカのフォーリン・ポリシー誌は、日本とインドの連携強化に否定的な記事を掲載している。日印両国へのアメリカの影響力の弱体化を懸念する内容だ。ただし、トランプ政権は議会による重要ポストの指名を控えており、あまり独裁的な動きはできないと見られており、中国への柔軟姿勢を維持しつつも、今後は日印関係をサポートするとの見方だ。

◆経済面の影響は?
 インドのエコノミック・タイムズ紙は、独自の経済的な切り口で日本との結びつきの強化を歓迎している。5月16日付の記事に掲載された同紙のオピニオンでは、中国の商業主義の進め方を批判した上で、日本とインドの協力は「公益をもたらす開発につながる可能性がある」としている。インド内外を問わず、日本とインドはインフラ整備を中心として経済協力を行ってきた。これは日本とインドが推進する経済圏構想の一環で、アジア環太平洋地域からアフリカへ至る経済回廊を構築したい狙いがある。例としては東アフリカでのインフラ建設や、スリランカ東部の海港の拡張などだ。同紙によると、中には中国主導で設計され頓挫しかけていた計画を立て直した実績もあるとのことで、日本の設計技術への信頼は厚いようだ。

 一方、アメリカのナショナル・インタレスト誌も、原子力の技術協力など経済協力に少し触れている。東芝のウエスチングハウス買収問題などがあり、米国内でもおそらく日本の原子力事業への関心は高いのだろう。記事の論調としては、アメリカの利益云々という視点ではなく、中国の好戦的な姿勢を挙げて日本とインドがアメリカの存在なしに対処できるかを問題提起する内容だ。ただし日本側にも一定の評価はしており、日本独自に中国との秩序を保てるだろうと結論付けている。

◆軍事演習と安全保障
 日本とインドの協力内容には、軍事演習の共同開催も含まれている。インドとしては、日本の所有する捜索救難機を購入したり、軍事機器の現地生産能力を学んだりする計画もあり、ロシアのメディアであるスプートニクは、こういった軍事面にフォーカスした記事を展開している。日本に対するロシアの軍事技術の優位性を強調しているのが印象的だ。安倍首相が憲法改正に意欲を示していることを紹介した上で、いずれにせよ憲法があるため軍事行動が制限されていることを指摘。また、日本にロシアのような大規模な軍用機器の企業がないことも挙げるなど、ロシアの軍事産業の優位性を強調している。

 日印関係の協力については、国ごとに報道姿勢の違いが色濃く出ている。憲法改正や安全保障については、国内の動向も含めて見通しが不安定だ。しかし、少なくとも経済協力の分野で、インドという協力国を見出したことは意義が大きい。近い将来、急成長する同国との共同事業が紙面を賑わすようになるのかもしれない。

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