マーリンズ・イチロー【写真;Getty Images】

写真拡大

ブーイング続けた敵地ファンに変化、イチローとの“因縁”米紙特集

 23日(日本時間24日)の敵地アスレチックス戦で久しぶりのスタメン出場を果たしたマーリンズのイチロー外野手。43歳のベテランは5月6日(同7日)メッツ戦以来、15試合ぶりの先発出場で1安打2打点と結果を残した。オークランド・コロシアムの遠征に帯同したイチローについて、敵地メディアはアスレチックスファンとの関係について特集し、同スタジアムで生まれた伝説の補殺も振り返っている。

 アスレチック-マーリンズ2連戦のタイミングで地元紙「マーキュリー・ニュース」電子版は「イチローアスレチックスのファンのもとを訪れる最後の機会となるのか?」との見出しで特集記事を掲載。2001年にマリナーズでメジャー1年目を迎えた日本人打者が最初に当地を訪れた同年4月10日からの3連戦で起こった出来事について改めて紹介した。

 イチローは3連戦の第2戦でファンを驚嘆させる伝説のプレーを見せた。ライトの守備に就いていた“ルーキー”は8回1死一塁の場面で右前安打を捕球すると、三塁へダイレクトのストライク送球を披露。矢のようなボールで三塁を狙ったテレンス・ロングを仕留めた。このプレーは全米の度肝を抜き、試合を中継していた地元テレビの実況が「なんてことだ! イチローがレーザービームでストライク送球だ!」と絶叫したほどだった。

「低空のミサイル」で「名前を球史に刻んだ」

 16年前の出来事について地元紙は「イチローはブーイングを受けた。野次られ、物も投げつけられた」と振り返り、「(ブーイングは)彼を全く動揺させなかった。ロングが進塁を試みることは完璧に合理的だったが、イチローはマリナーズの三塁手、デビッド・ベルに低空のミサイルを投げ込み、その名前を球史に刻んだ」と名シーンを紹介した。

 その後もアスレチックスのファンは日本人外野手に対してブーイングを浴びせ続けたが、時間の経過とともに変化してきているようで、イチロー自身、記事の中で以前よりもその声が減っていると実感していると語っている。

 また記事では「マーリンズに移籍する前からアスレチックスファンは渋々ながら未来の殿堂入り選手をリスペクトするようになっていった」ともレポートしている。

 メジャー17年目を迎え、最年長野手となったイチローはこの日、今季初めてオークランド・コロシアムでプレー。再びアスレチックスファンの前で輝きを放った。鉄人“イチロー”の現役継続の動向を、敵地メディアも気にかけている様子だ。