SNS疲れ、エゴサは不眠の原因。ネットとのつき合い方とは(中川淳一郎)

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「NEWSポストセブン」などネットニュースの編集者であり、ベストセラーとなった『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『夢、死ね! 若者を殺す「自己実現」という嘘』(星海社新書)など数々の著書を執筆する中川淳一郎さん。眠れぬ日々を過ごした広告代理店時代の生活習慣や、現在の睡眠スタイル、さらには眠れない夜を減らすためのSNSとの上手な付き合い方などについてお話を伺いました。

 

目次

1.残業300時間! 広告代理店時代に経験した眠れない日々
2.ルーティンを厳守! 「早寝早起き+午後2時15分からお酒」で仕事が進む
3.中川家はパジャマNG!? 普段着のまま万年床でぐっすり
4.SNS疲れによる不眠を防ぐ! “ネット炎上”の回避術

 

残業300時間! 広告代理店時代に経験した眠れない日々

中川淳一郎さん
──話題となった近著『電通と博報堂は何をしているのか』(星海社新書)をはじめ、数々の著書で広告代理店時代の仕事について執筆してきた中川さん。当時は、睡眠時間を削られるほど残業に追われることがしばしばあったそうですね。
 
「物理的に仕事量が多く、常に会社にいなければならない状況だったのがキツかったですね。退職のきっかけにもなった入社4年目の2000年10月は、ちょうど某大手商社のPRチームに配属されたときで、残業は月300時間。10月16日から10月31日まで家に帰った回数はたったの4回きりでした。当時は20代の若手だったので、あらゆることをやらされていました。例えば、何かイベントをやることになった場合、まず台本を作るのですが、それをクライアントに見せると、途中で『出席者があと1人増えるかもしれない』と言われる。地方から来る出席者が増えれば、ホテルの手配もしなくてはいけない。イベントで使うインカムも追加しなければならない。こうした細かい作業や調整がイベント当日まで延々と続くので、外注先も含め、若手スタッフは疲弊していくんです」(中川さん)
 
──煩雑な作業が次々にわいてきて、帰れなくなるのが残業の原因だったんですね。
 
「たくさん寝たいなら偉くなれってことだと思います。先輩の中には『私が眠っていないんだから、お前も眠るな!』って無茶を言う人もいましたけど、飲み屋に行くと大抵テーブルに突っ伏して眠ってしまう(笑)。きっと、他の人も『眠っていない』と言いながら移動時間やトイレなどで居眠りしているはずです。だって、トイレの個室が30分も開かなかったりするじゃないですか。睡眠時間を削って無理に仕事をしていても、どこかで限界が来て糸が切れたように眠ってしまうんです」(中川さん)
 
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──そんな過酷な広告業界ですが、もともと憧れて就職したのですか?
 
「違います。そもそも電通や博報堂といった会社名って、就職活動の時期になって初めて入りたい会社として名前が挙がるものじゃないですか。中学・高校のときにソニーやトヨタ、任天堂の名前は挙がっても『将来、電通か博報堂に入りたい』って言う同級生なんて、いなかったでしょう?」(中川さん)
 
──広告代理店は事業の実態がつかみにくい部分がありますからね。
 
「私も学生時代は、広告代理店が何を生業にしている業種かなんて知りませんでした。それまで私は、各メーカーが自分たちでCMを作っていると思っていましたし。大学のサークルの飲み会に来た先輩から『いま電通とかを受けていてさ〜』と言う話を聞いて、初めてそういう会社があるんだってことが分かったぐらい。商学部だったこともあって、所属していたゼミの先輩が8人も電通と博報堂を受けていた。『なるほど、私たちのゼミはその会社を受けるものなんだ』って気持ちになって、博報堂の就職試験を受けました。実は、広告代理店に就職したのは、その程度の理由しかなかったんです」(中川さん)
 
1997年に博報堂へ入社したものの、激務に加えて有名私大出身者たちのオシャレなノリについていけず、さらには出世するのは無理だと悟り2001年に退社した中川さん。その後、無職の期間を経てフリーライターとして活動を開始します。

ルーティンを厳守! 「早寝早起き+午後2時15分からお酒」で仕事が進む

中川淳一郎さん
──博報堂退社後は、しっかり眠れるようになりましたか?
 
「いえ、それがそうでもなくて(笑)。フリーライターになったとはいえ、完全に無名。仕事をするにも一番下っ端で、担当編集者から便利屋扱いをされ『朝日新聞に行って写真買ってきて』と突然命令されたり、『今からオレが言った通りのコメントを取ってこい』と無理難題を言われて原稿を書き直すことも多く、結局、睡眠時間を削って仕事をしていました。眠りたいときに眠れるようになったのはフリーになってから約5年後。ネットニュースの編集者になって、自分がライターに原稿を発注する立場になってから、時間に余裕ができるようになったんです」(中川さん)
 
──とは言え、編集者も忙しい職種だと思います。仕事中に眠気に襲われることもあったのでは?
 
「仕事中にどうしようもなく眠くなるときは、我慢せずに眠るようにしています。ネットニュースの仕事で出版社に行ったとき、どうしようもなく眠いと会社の作業机の下で眠らせてもらっていたこともあります。さすがに外部の人間が机に突っ伏して寝るのは目立ち過ぎるので…。まぁ、床にいるのがバレたらそっちの方が非常識ですが」(中川さん)
 
──机の下…? どんな形で寝ているんですか?
 
「机が向かいあって並んでいるので、机の真ん中あたりに頭を突っ込んで、足を折り曲げ、隠れるようにして寝ています。そうすると通路から寝ている姿が見えないので、気兼ねなく眠れるんですよ。もちろん、男性しかいないときだけですよ。女性がいたらセクハラになりかねないので」(中川さん)

作業机の下で眠っているときの様子を再現してくれる中川さん

作業机の下で眠っているときの様子を再現してくれる中川さん

 
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──現在はどれくらい眠れているのでしょうか?
 
「いまは効率よく仕事ができているので、毎晩7〜8時間眠れています。真面目な話、会社勤めのサラリーマンがいくら残業したと言っても、そのうち数時間は仕事をしていない時間だと思うんです。私は会社員時代に、25人、8時間という長すぎる壮絶な会議を体験しましたが、部署のトップが堂々巡りの議論を繰り広げるだけで、私自身は最後まで何も発言せずに終わりました(笑)。これは稀なケースだと思いますが、こうした会社員特有のムダな時間がなくなったことで、確実に1日を有意義に過ごせるようになったと思います」(中川さん)
 
──どんなスケジュールで仕事をしているのですか?
 
「23時から深夜0時くらいには眠って、朝6時から7時の間には起きて仕事をしています。原稿がたくさんある時は22時に寝て深夜の3時に起きたりする。早朝から仕事をするとメールや電話も来ないし、穏やかな環境で落ち着いて仕事ができるんですよ。で、午後2時15分にはビールを飲む。飲まないと落ち着かないというか、仕事に集中できない(笑)。もう、10年くらい続けているルーティンです」(中川さん)
 
──午後2時15分からのビールは早いように感じますが、朝7時から仕事をしている中川さんにとっては、ちょうどいい頃合いなんでしょうね。
 
「そうですね。私は1日2食の生活なので、昼のビールは夕食までのつなぎのような意味合いもあります。夕食時にも飲みますけど、夜9時くらいには自然に眠くなってしまったら、我慢しないで眠っちゃいますね。いまだと、ビールは1日に4リットルくらい飲んでるかな。さすがに体力も落ちてきたので、もう朝まで飲むようなことはありませんが」(中川さん)
 
──けっこうたくさん飲みますね。以前は禁酒されていたそうですが…。
 
「以前お酒が原因で体調を崩したことがあったので、定期的に禁酒するようにしています。その当時は、食事はもちろん水を飲んでも胃が痛くて、何も食べなくても気持ち悪くて吐いちゃうくらい弱ってましたね。いまは、胃が弱ってお酒が飲めなくなったら20日間くらい禁酒という一定の周期を守っています。幸いなことにアル中ではないので、お酒のせいで眠れなくなるような経験はありません。お酒を解禁するときは、示し合わせたかのように友人や知り合いが飲みに誘ってくれて、イベントや記念日感覚で祝ってくれます(笑)」(中川さん)
 
早起きして効率よく仕事をこなし、午後2時15分にはビールを飲む。晩酌をしても、夜は0時までに布団に入り、8時間たっぷり眠る。このルーティンを守ることでストレスとは無縁の生活を送る中川さん。とても健康的ですが、就寝の際は一風変わったスタイルで…。

中川家はパジャマNG!? 普段着のまま万年床でぐっすり

中川淳一郎さん
──普段はどんな寝具で寝ているんですか?
 
「万年床で寝ています。布団は4年間、畳の上に敷きっぱなしなんです」(中川さん)
 
──敷きっぱなしですか! 夏場は湿気がすごそうですね。
 
「気になったことはないですね。寝付きが悪い人は快適な寝具を使ったほうがよいのかもしれないけど、私の場合、布団に入ったらすぐに意識がなくなるほど寝付きがよいので、あまり関係ないんです。もっと言えば、いまの家に住む前は寝室がなかったし、当時は4年ほどこたつで寝ていたけど、それでも特に寝づらいってことはなかったですから」(中川さん)
 
──寝付きがよいそうですが、これまで不眠に悩まされたことはないのでしょうか?
 
「昔から布団に入るとすぐに眠れます。仕事中はずっと集中しているから、脳が疲れ切っているんでしょうね。布団に入って悶々と悩んだり、考え事をしたりという経験はほとんどありません。そういえば、フリーになりたてのころ、東大の駒場寮に住んでいた時期があって、東大生たちがどんな場所でもすぐに眠るのには驚きました。頭を使うほど、よく眠れるのかもしれません」(中川さん)
 
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──就寝前に行っているルーティンなどありますか?
 
「眠る前にはいつも3DSのゲーム『三国志』をやっています。よく眠る前にゲームをすると睡眠の質が下がるって聞きますけど、私にとってはむしろ睡眠の導入になっている部分もあるんです。例えば、ゲーム中で森や山を移動しなければならないシーンがあるんですが、うまく移動が進まずにイライラすることが結構ある。そんな展開になると、諦めてゲームを閉じて寝ちゃうんです。『明日の自分ならきっとゲームを進めてくれる』と期待して、問題を放り投げちゃう。すると、ゲームを閉じることが一つのスイッチとなって、頭のモヤモヤをスッキリさせてくれるので、意外なほど気持ちよく眠れるんです」(中川さん)
 
──面白い入眠法ですね。ちなみに、就寝時はどんな格好で寝ますか?
 
「寝るときも普段外出するときと同じ服装(取材時の服装は白シャツ+黒いパンツ)です。パジャマは着たことがないですね。夏は日常着る服が、Tシャツと短パンになりますが、起きたらその格好のまま仕事に行けます。普段着で寝ているからといって、とくに寝苦しさや圧迫感を感じたことはないですし、着替える手間も何を着るか考える時間もかからないので、非常に効率的です」(中川さん)
 
──なぜその就寝スタイルが定着したのですか?
 
「実は母の教えなんです。就寝中に火事や地震が起きたときにパジャマ姿で外に出たら恥ずかしいから、『いざというとき、そのまま外へ飛び出せるような恰好』で寝ろと。ただ、パジャマが嫌いなわけではないので、パジャマのよさがわかったら、スタイルを変えるかもしれません。万年床だって面倒くさいからそのままにしているだけ。ホテルに泊まると『ベッドってなんて気持ちいいんだ!』『あぁ、このマットレス、固くて最高!』と思うこともあるし、いつか思い切ってベッドを買うかもしれませんね」(中川さん)

中川淳一郎さん

取材のときに試しにパジャマを着ていただきましたが、やはり普段着で寝るほうが落ち着くそうです

 
普段着のまま布団に入るとは驚きですが、災害時の体裁を気にするお母様の教えを守っているという律儀さ。最後に、現代人特有のSNS疲れによる不眠について、ネットの最前線に立っている中川さんからアドバイスをいただきます。

SNS疲れによる不眠を防ぐ! “ネット炎上”の回避術

中川淳一郎さん
──ネット上でのコミュニケーションについて数々の著書でも触れていますが、現代人はSNSでのやり取りや、ブログでのコメントを気にして眠れなくなっちゃう人も多いですよね。
 
「ストレスの要因って、ほとんどが人間同士のトラブルなんです。とくに現代はSNSで24時間人とつながっているから、常にストレスが発生する可能性がある。以前はリアルな人間関係がメインで、ストレスのかからないオフの時間も多かったけど、いまは意識的にオフの時間を作らないといけない。そこで手っ取り早い方法が、ネット上でひとつの人格を作り上げること。例えばフェイスブックで絶対に“いいね!”をしない人、とかね」(中川さん)
 
──“いいね!”をしないことで、ストレスを回避できるものなのですか?
 
「そう。『こっちの友達には“いいね!”しているクセに、私の投稿には全然してくれない』みたいな些細なことで相手に気をもませない、あるいは『“いいね!”をしなかったけど嫌な印象を持たれていないかな…』と自己嫌悪に陥らないためにも、絶対に“いいね!”しないと確固たる意志を持つ。これはひとつの防衛策になるんですよ。『あの人はそういう人だからしょうがない』と認知されるようになればOK。私も“いいね!”をしないと決めています。友達申請も自分からは絶対にしない」(中川さん)
 
──中川さんはツイッター上でかなり荒々しいキャラクターですが、それもネット上の人格ということですか?
 
「はい、それもイメージ作りです。乱暴な人だと思われると、ケンカ腰の人があまり来ないんですよ。変なリプライがきても、『うるせぇ、バカ!』って返すだけだから。大事なことはネット上の人格がブレないことです。私とは逆に“褒め殺しに徹するキャラクター”でもいいわけです。最近だと、芸能界では不倫のニュースがあふれていますが、叩かれる人と叩かれない人がいるでしょう? 不倫をしても炎上しない人は、普段のイメージとのギャップが少ない人です。ギャップが大きいほど叩かれてしまうんです。
ネット上の見ず知らずの人に攻撃されたり、炎上に発展したりしないためにも、SNSで誰彼構わず親切にすることはなるべく避けた方がよいでしょう」(中川さん)
 
──炎上にデリケートになっているからか、必要以上に神経を使ってSNS疲れを引き起こしている人も多いですよね。
 
「直接顔を合わせる場合は相手が仕事のパートナーになる可能性があるので、丁寧に接するに越したことはないでしょう。でも、ネット上で知り合う不特定多数の匿名の人たちに親切にしたところで、お金をくれることはほぼありません。あと、私が考えるツイッター上で最悪の言葉のひとつに『FF(フォローフォロワー)外から失礼します』というのがあります。『フォローしていないのに意見を言うのは失礼だ』みたいな空気で、礼儀正しいと思ってやっているんだろうけど、無意味ですよね。そういう人をあえてブロックするというキャラクターになってもよいと思いますよ」(中川さん)
 
──わざわざエゴサーチをして、気を落とす人もいます。
 
「自分の悪口を書かれていたら、そりゃ落ち込みますよ。だからエゴサーチをするなら、検索窓に名前+スペースで、“面白い”とか“最高”とか“美人”とかポジティブなワードを入れて、いい情報だけを見るといいですよ。これなら嫌な気分にならないので、おすすめです」(中川さん)
 
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ツイッター上では乱暴者のイメージが定着する一方、SNS疲れを回避し、ストレスフリーな快眠生活を送る中川さん。ユーモアたっぷりのお話には、仕事やSNSで「自分スタイル」を貫き、眠れぬ夜を減らすためのヒントが詰まっていました。

【眠りの黄金法則】

“早寝早起き+お酒”のルーティンでストレスフリーに快眠仕事中に眠くなったら、我慢せずにすぐに仮眠をとる家事や地震などの緊急事態を想定して、普段着のまま眠る

【ウィークデーの平均睡眠時間】

7時間〜8時間

【睡眠タイプ】

ネット上でひとつの人格をつくり、SNS上で無駄なストレスをためないタイプ
中川さんのフミナー度は『25%』、今はフミナー度は低いレベルです。bnr_list_check

 

中川淳一郎さん
中川淳一郎さん1973年東京都生まれ。立川市出身。1997年、博報堂に入社してPR業務に携わる。2001年に退社後は『日経エンタテインメント!』のライターや『テレビブロス』のフリー編集者を経てネットニュースの編集者に。2009年に話題となった『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)を始めとして著書多数。近著に『電通と博報堂は何をしているのか』(星海社新書)。ツイッターアカウント:@unkotaberuno


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