AIは言葉の壁を破ることができるのだろうか?

写真拡大

 電子書籍取次大手メディアドゥは、販売する電子書籍の文面を要約したり、自動で英文に翻訳する機能を持ったAIの開発に乗り出す。AI開発のベンチャー企業、エーアイスクエアとインターネット総合研究所の2社に約11億円を出資し、自社がインターネット上に立ち上げる電子書店に数年内に導入したい考えだという。

【こちらも】電通、AIの「コピーライター」を開発

 書籍の国内市場は縮小を続けている。電子書籍市場への移行は、ゆっくりとだがしかし確実に進行している。この技術は、そのための大きなはずみとなりうるだろうか?

 メディアドゥは、この5月下旬、エーアイスクエアとインターネット総合研究所の第三者割当増資を引き受け、両者の株式をそれぞれ約20%取得している。両社はそれぞれ、文章要約と、翻訳の技術に強みを持っている。

 用いられるのは、ディープ・ラーニング(深層学習)の技術である。単語と単語の関係、1文とほかの文の関係性を理解し、重要度合いを分析、重要な文だけを残すことで、要約を作成する。また、日本語と英語の同じ文の組み合わせをいくつも読みこませて、AIに翻訳法を学習させる。理論的には、これで翻訳の精度を高めていくことができるという。

 メディアドゥは、年内にも電子書籍のサイトを立ち上げる構想である。そこでは、その書籍の内容を自動で要約する機能が導入される。また、2018年には、その要約文を自動で英文翻訳する機能を実装。そして数年内には、電子書籍全体をAIで短時間で英訳し、海外からの集客に繋げていきたい考えだ。

 この技術が実現すれば、コスト面でも時間面でも、人間の翻訳家を凌駕するシステムが構築されることになる(翻訳精度の面では難しい部分があろうかとは思われるが)。言葉の壁というのは、出版の世界においては本当に大いなる障壁である。この、再びバベルを築かんとするが如き果敢な挑戦は、果たして成功を収められるのであろうか。