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我々は教師や書籍から知識を学び、その知識を持つ人々がコンピューターに知恵を与えてきたが、人々が持つ学習能力をコンピューターで再現するのが「機械学習(Machine Learning)」である。分類としてはコンピューター自身が人と同じ知能を持つ「人工知能(Artificial Intelligence=AI)」に類するものの、昨今のようにビジネスキーワード化した理由の1つは、コンピューターの性能向上が大きい。

AI自体は1950年代から現在まで研究が続けられており、初期の研究結果を背景にした第1次ブーム。1970年代から開発が始まった専門家の意思決定能力を模倣するエキスパートシステムと、当時の通商産業省が1982年に立ち上げた第五世代コンピューターによる第2次ブーム。そして詳しくは後述するニューラルネットワークの多層化や近年のビッグデータまでを含めた第3次ブームと続いてきた。このように機械学習を実行する基幹が盤石化もしくは拡大することで、進展に拍車を掛けている。

機械学習の利用範囲は医療や金融、ゲームなど多岐にわたるが、その学習手法を分類すると、問題と解答から傾向を学習して、データの分類を予測する「教師あり学習(Supervised Learning)」や、問題から本質的な構造を抽出するクラスタリングなどに用いられる「教師なし学習(Unsupervised Learning)」、周囲情報から行うべき行動を学習する「強化学習(Reinforcement Learning)」などがあるものの、この辺りはデータサイエンティストやエンジニアが知るべきキーワードとなるため、特に気にしなくて構わない。

だが、ニューラルネットワークは認識しておくべきキーワードだ。ニューラルネットワークとは、文字どおり脳内のニューロン(神経細胞)と情報伝達を行う接触構造であるシナプスをコンピューター上に再現する機械学習技法の1つ。詳細は学習手法と同じく割愛するが、このニューラルネットワークを多層構造にしたのが「深層学習(Deep Learning)」。端的に述べれば、より多くのニューラルネットワークを用いた機械学習だ。概念自体は米物理学者のJohn Hopfield氏が1982年に提唱したHopfield Networkなどがあるものの、現在の形を作り出したのはトロント大学Computer Science学科の教授を務めながら、Googleにも席を持つGeoffrey Hinton氏である。

深層学習の利用範囲も機械学習同様に幅広いが、昨今は物体認識の場面で活用されることが多い。例えばGoogle DeepMindが開発した囲碁プログラム「AlphaGo」は、2016年1月に欧州囲碁チャンピオンの対局に全勝したことを発表済みだが、ここでも深層学習が用いられている。また、各種認知サービスをAPIレベルで提供する「Microsoft Cognitive Services」も、深層学習を用いた学習結果を用いてる。

このようにAI/深層学習は、エンジニアが注目する技術からビジネスシーンでの利活用に移行する時期に差し掛かっているからこそ、各所で話題になるのだ。

阿久津良和(Cactus)