英マンチェスターアリーナ周辺で、事件に巻き込まれた人々と言葉を交わす警察官(2017年5月23日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】(更新)子どもや若者らを含む22人が犠牲となった英中部マンチェスター(Manchester)のコンサート会場で起きた22日夜の爆発事件──10代の若者であふれるポップ歌手のコンサートを狙った自爆攻撃は、2005年の同時爆破事件以降に同国で起きた事件としては最悪の規模となった。

 以下にこれまでに分かったことをまとめた。

■何が起きたのか

 22日午後10時33分(日本時間23日午前6時33分)、マンチェスター・アリーナ(Manchester Arena)で行われていた、10代前後の若者に人気の米歌手アリアナ・グランデ(Ariana Grande)さんのコンサートの最中に爆発があったとの通報が警察当局にあった。

 目撃者らは当時の様子について「爆弾のような大きな音」がして、パニックになった若者や子どもらが一斉に施設外に逃げ出したと説明。また、外で待機していた親たちが必死に自分の子どもを捜していたことも明らかにしている。

 爆発が起きたのは、収容人数2万1000人の施設と市電のビクトリア(Victoria)駅とを結ぶエリア。警察は「スタジアムの出入り口付近」と説明したが、スタジアム側は施設外の公共区域だったとしている。テリーザ・メイ(Theresa May)首相は、複数あるアリーナの出入口近くで爆発が起きたとした。駅は市内中心部北端にある交通の要所。23日も閉鎖されたままだった。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は24日、事件で使用された爆発物の残骸の写真を公開した。この写真から、最大限の被害を与えることを目的に、ねじやくぎなどの金属片が同梱されていたことが明らかになった。

 写真に捉えられていた爆発物の残骸はまた、遠隔起爆装置の存在も示唆していた。容疑者、あるいは犯行グループが、手動の起爆装置が計画通りに作動しないことを想定し、緊急時に使用するバックアップ装置を用意していたものと考えられる。

■実行犯

 大マンチェスター警察(Greater Manchester Police)のイアン・ホプキンス(Ian Hopkins)署長は23日、実行犯の身元をサルマン・アベディ(Salman Abedi)容疑者と発表。所持していた「即席爆発装置(IED)」を爆発させ死亡したと述べた。

 報道によると、アベディ容疑者の両親は、リビアのムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)元大佐の独裁政権から逃れて来たリビア人で、アベディ容疑者は4人の子どものうちの3番目としてマンチェスターで生まれたとされる。

 英国のアンバー・ラッド(Amber Rudd)内相は24日、アベディ容疑者については情報機関が把握していたことを明らかにし、また単独での犯行ではない「可能性」を指摘した。ホプキンス署長も、単独の犯行でないとの見解を示している。

 警察当局は23日、事件に関与した疑いで23歳の男を逮捕。24日にも、マンチェスター市内および周辺地域で女1人を含む5人を新たに逮捕した。23日の家宅捜査では、現場で制御爆破を行ったことも明らかにしている。

 同日、アベディ容疑者の弟と父親の身柄がリビア治安当局によって拘束された。匿名で取材に応じた容疑者の親族によると、弟のハシム・アベディ(Hashem Abedi)も英国生まれだという。

 当局によると、弟は爆破計画について知っていたとされ、また兄弟ともにイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」のメンバーだという。

 フランスのジェラール・コロン(Gerard Collomb)内相は、英情報機関から提供された情報として、アベディ容疑者がリビアを訪れた後に過激思想に傾倒したことを明らかにし、シリアに渡航歴した可能性もあるとした。

 ISは、事件の犯行声明をソーシャルメディアを通じて発表している。「カリフの戦士1人が群集の間に爆弾を仕掛けた」と述べ、攻撃はさらに続くと脅迫した。

■犠牲者

 これまでに分かっている最年少の犠牲者は、8歳の少女サフィー・ローズ・ルソス(Saffie Rose Roussos)さん。サフィー・ローズさんは、20代の姉、そして母親と一緒にコンサートに出かけたと報じられている。

 メイ首相は死者22人負傷者59人の中に「多くの子どもと若者」が含まれていると述べ、「恐ろしく、不快で卑劣な行為」「罪のない無防備な子どもたちと若者らを故意に狙ったもの」として爆弾攻撃を非難した。

■今後の警戒態勢

 英国のテロに対する警戒レベルは23日、これまでの「深刻(severe)」から「危機的(critical)」に引き上げられた。これは5段階の最上位となる。

 英国では、ウェンブリー・スタジアム(Wembley Stadium)で28日に行われるFA杯決勝選をはじめ、大規模のイベントが今後数週間内に複数予定されており、それぞれの会場では警戒態勢が強まると予想される。

■英国に対する攻撃

 今回の事件は、過去2か月足らずの間に起きた2件目の攻撃事象となった。

 3月22日の事件では、ロンドン(London)のウェストミンスター橋(Westminster Bridge)で、男が車で歩行者を次々とはねた後、国会議事堂前の入り口付近で警察官を刃物で刺した。この事件では5人が死亡、50人以上が負傷した。実行犯とされた英国籍のハリド・マスード(Khalid Masood)容疑者(52)は、その後、警察に射殺された。

 英国で最悪の犠牲者を出したのは、2005年7月7日に起きた同時爆破事件だ。国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)に影響された英国人4人がロンドンの交通機関に対して自爆攻撃を仕掛け、52人が死亡、700人が負傷した。
【翻訳編集】AFPBB News