マナーやモラルは一朝一夕に身につくものではない。そして、長年身に染み付いた習慣というものは良きにつけ悪しきにつけ簡単に変えられるものではない。中国ではここ10年ほどで急速に社会が変化しているが、その変化についていけないと嘆く高齢者はきっと少なくないはずだ。(イメージ写真提供:123RF)

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 マナーやモラルは一朝一夕に身につくものではない。そして、長年身に染み付いた習慣というものは良きにつけ悪しきにつけ簡単に変えられるものではない。中国ではここ10年ほどで急速に社会が変化しているが、その変化についていけないと嘆く高齢者はきっと少なくないはずだ。

 中国メディア・重慶時報は22日、高速鉄道列車に高齢男性が巻き起こしたトラブルについて伝える記事を掲載した。記事は、先日ある中国のネットユーザーが高速鉄道列車内で撮影した動画を紹介。そこには、スイカの種を食べ散らかす高齢の男性に対して、怒った女性の清掃員が座席の底部を足で蹴りながら「あんた掃除しなさいよ」と連呼する様子が映っていたという。

 記事はこの動画を見た中国のネットユーザーから「今の老人はますます耄碌(もうろく)している」、「この老人が国民全体のモラルをどれほど引き下げていることか」、「人のクズだ」など、高齢男性を激しく避難するコメントが寄せられたことを伝えている。

 この記事を呼んだユーザーによる、男性への罵倒はさらにひどい。「ブラックリストに入れて、永遠に列車に乗せるな」、「ジジイめ、死ぬ前に生き恥を晒しやがって」、「足を滑らせてすぐにあの世に言ってくれ」といったコメントが並んだ。「みんな、そんなに罵るなよ」というコメント主もいたが、「どうせこのジイさんにとっちゃ最後の高速鉄道なんだから。安らかに逝かせてやれよ」と続けている。

 スイカやヒマワリの種は、中国では列車の旅には欠かせない「おやつ」だった。歯で殻を割って中身を食べ、殻はペッと床に吹き飛ばすのは当たり前で、定期的にやって来る清掃員が各座席に散乱した殻をほうきで掃き取るのだ。しかし、この習慣は高速鉄道では通用しない。そしてマナーやモラルの改善が声高に叫ばれている今の中国社会においては、最も疎まれるべき行為として激しく非難されるのも理解できる。

 しかし、清掃員の態度も、ネットユーザーのコメントも、年長者を敬う儒教発祥の地とは到底思えないほど酷い。変化についていけない高齢者をお荷物として扱い、罵倒や蔑視の対象とする社会はモラルやマナーをわきまえた社会、「和諧社会」と呼べるのだろうか。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)