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フェラーリ812スーパーファスト・インタビュー

フェラーリ812スーパーファスト・ローンチの際にフェラーリ極東中東エリア統括CEOを務めるディーター・クネヒテル(写真左)と、フェラーリ・ジャパン&コリア代表取締役社長のリノ・デパオリ(写真右)の両名にインタビューする機会に恵まれた。そこで812スーパーファストと今後のフェラーリ社の方向性、これからのモデルについて訊いてみた。

text & photo:Kazuhide Ueno(上野和秀) photo:編集部Q1:まずフェラーリ812スーパーファストの価格と、日本でのデリバリー時期を教えて下さい。

リノ・デパオリ(以下RD):価格は3910万円(税込み)で、本年末を予定しています。

Q2:車名にスーパーファストの名を採用した理由を教えて下さい。昔の500スーパーアメリカ・スーパーファストでは高性能で速く、豪華なGTを意味していましたが、その名を812に復活させた理由を教えて下さい。

RD:‘60年代に500スーパーファストというモデルがありましたが、フェラーリにとって12気筒という伝統に則っていますので、今回の812スーパーファストにその名を付けるのは合理的かと思います。もちろん技術的に前を向いて行かなければならないのですが、時には過去も振り返るのも必要かと思います。

また812のパフォーマンスを見ると、このスーパーファストの名を与えるのは理にかなっています。このように自然な流れでサブネームが付けられたと考えます。

Q3:812の想定されるオーナー・プロファイルは?

DK:812スーパーファストはフェラーリ史上最速のモデルですので、コアなフェラリスティが頭に浮かびます。純粋にスポーツカーが大好きな方のほか、常に最高でトップエンドのものを望まれる方、トップレベルのデザイン、パフォーマンスを求める方達です。

既存のフェラーリを所有しているお客様だけではなく、他ブランドのクルマを所有する方が目を向けていると思います。オーナー像としては45才以上の男性かと思います。年収などは皆様のご想像にお任せします。

自然吸気V12ユニットは生き残る?

Q4:12気筒の大排気量エンジンに拘る理由をお聞かせください。また、12気筒モデルは、これからも自然吸気(NA)エンジンを使用する方針ですか?

DK:フェラーリは常に12気筒のモデルを作り続けてきました。最初のモデルとなる125Sから70年間受け継がれ、最新の812スーパーファストまでその伝統を堅持しています。

わたくし共のブランドにとって12気筒エンジンは重要な存在です。自然吸気エンジンについては、そのような計画を持っています。お客様からの期待も高いからです。

Q5:カタログモデルの12気筒べルリネッタは現在フロントエンジン・レイアウトですが、今後ミドシップ・モデル投入の可能性はありますか?

DK:向こう数年の間はそのような動きはありません。将来に向けた様々な計画やシナリオを検討しなくてはなりませんが、今の時点ではありません。

Q6:フェラーリ70周年記念イベントの一環として日本では10月にツアーが行われるかと思いますが、広くフェラーリ・オーナーを対象とした記念イベントの開催予定はありますか?

RD:日本はとても重要なマーケットで、今年はエキサイティングな年です。オーナーやファンも参加できるイベントを考えています。

Q7:昨年フェラーリは8000台を生産しました。今年もファースト・クオーターで2000台を記録していますので、8000台以上は濃厚です。以前のトップはプレミアム・ブランドのバリューを保つために年間総生産台数を7000台に制限していました。生産台数とプレミアム・ブランドのバリューに対してどのようにお考えでしょうか?

DK:これはとても重要な質問です。フェラーリにとってエクスクルーシビティの企業理念にブレは一切ありません。エクスクルーシビティのアプローチはそのまま残っています。わたくし共にとって確固たる数字はありません。上限はここで、このラインを超えてはならないということはなく、多少の柔軟性は加味しています。というのは、わたくし共はこのマーケットの中で成長したいという想いがあるからです。

3番目に伸びはこちらが設定するものではなく、市場を見て自然に決まるものです。ですからマーケット中から一歩引いたくらいの台数かと考えています。

EV、自動運転 フェラーリはどう考えているの?

Q8:自動運転と電気自動車(EV)に対するフェラーリの考えをお聞かせください。また、SUVを作る計画はありますか。

DK:良く聞かれる質問です。どのメーカーも業界全体のトレンドとしてコメントを求められます。フェラーリでは自動運転と電気自動車をお客様が求めていないということから、現在具体的な計画はありません。電気を使う自動車に関してのリサーチは必要ですので研究は続けています。

フェラーリはSUVに関する計画はありません。わたくし共フェラーリのDNAにマッチしていないのです。そのような意味からSUVの計画はありません。現在フェラーリは軽量化というテーマに取り組んでいます。速く、より効率的にするため、材料の軽量化に取り組んでいます。

Q9:フェラーリにとって日本のマーケットはどのような位置づけですか? また担当されているエリアに中東なども含まれますが、日本は他のエリアと較べてどのような違いがありますか?

DK:フェラーリにとって日本は非常に重要な市場です。販売台数や成長率はもちろんのこと、ヘリテージの部分も忘れられません。今後ともフェラーリにとって日本は可能性のあるマーケットとして認識しています。強力なお客様が存在するという強固なベースがあり、長期にわたってわたくし共の製品を愛顧するお客様がいらっしゃいます。

他の市場との比較ですが、市場によってカルチャー的に違いがあります。しかし、すべての市場で共通する点があります。それはフェラーリに対するパッションです。

なぜ日本がフェラーリにとって特別かといいますと、1966年に販売を開始して以来50年に渡り展開しております。お客様がレースに対する情熱を持ち、ヨーロッパのテクノロジーに対して理解が深く、フェラーリのDNAが日本で受け継がれていることです。

そのような強固な基盤をもとに、これからも日本市場で成長してゆけるものと考えています。

深彫り フェラーリはなぜ日本で好調?

Q10:フェラーリは日本のマーケットでなぜ好調に推移しているのでしょうか?

RD:2016年は日本において記録的な年でした。そこにはふたつの理由があるかと思います。さきほどディーターが申したように日本では50年の歴史があり、その中に忠実なお客様が存在します。812スーパーファストはそれらの要求に応えて投入したものです。

もうひとつは商品のレンジがマッチし、なかでもカリフォルニアTは好評でした。このほかGTCルッソ/GTCルッソTも好調でした。お客様との長い付き合いに加え、商品が若い方にも受け入れられ、新たなお客様を獲得して成功したのではないかと思っています。

Q11:顧客がなぜ若い方に広がったとお考えですか?

RD:商品の多様性ということがあるかと思います。お客様にとってのエクスペリエンスという点もあります。若い層に対して成功した理由としては、わたくし共のコミュニケーション戦略によるものと思っています。

たとえばソーシャル・メディアでのプラットフォームという点で、そこでブランドを展開しています。InstagramやTwitter、Facebookを日本語で展開しています。Ferrari.comでは世界6ヵ国語で展開していますが、その中に日本語もあります。

また70周年を記念した特別サイトも設け、こちらも日本語で展開しています。これらのデジタル戦略がカギになっているかと考えます。

Q12:好調とは言えない日本の経済状況の中で拡大した理由をお気かせ下さい。

RD:わたしは日本に来て3年になりますが、日本のマクロ経済に目を向けると、フェラーリが属するセグメントは記録を更新する好調な動きを見せています。そのセグメントはスーパースポーツとラグジュアリーGTで、フェラーリ以外のブランドも好調です。

その中でわたくし共の商品戦略の展開があります。先に申し上げましたように忠実なカスタマーの存在があり、そこに新モデルを投入することによって、新しいお客様を獲得できます。エクスクルーシブ性を保ちつつ成長する戦略が機能しているのです。