画像

写真拡大

 デジタル上でのコミュニケーションは、企業のマーケティングやブランディングを明らかに変革し、速度と深度を増している。電通デジタルの有園雄一氏が業界のキーパーソンや注目企業を訪ね、デジタルが可能にする近未来のマーケティングやブランディングについてディスカッションする本連載。今回は、世界最大規模のテクノロジーの見本市であるCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)での今年のトピックスを軸に、先端技術が変えていくメディア環境とマーケティングに与える影響について、電通の森直樹氏と議論した。

■「技術が人々の生活を変える」と強くメッセージ
電通 CDC エクスペリエンス・デザイン部 部長 クリエーティブディレクター 森 直樹氏(写真左)
zonari 代表執行役社長/電通デジタル 客員エグゼクティブコンサルタント 有園雄一氏(写真右)

有園:私が森さんにお会いしたのは数年前ですが、現在は電通のクリエイティブの花形ともいえるCDC(コミュニケーションデザインセンター)の、エクスペリエンス・デザイン部を率いていらっしゃるんですね。どんなことを推進する部なんですか?

森:エクスペリエンスという言葉がついているように、クライアント企業にとっての顧客がどんな体験をするといいのかを考え、サービスのプラットフォームやキャンペーンとしてエクゼキューション(実行/実装)するところまでを手掛けています。テクノロジーとデザインによって、長期的な視点で取り組む案件が多いですね。最近だと、JCBのデジタル接点をリニューアルして、アプリもローンチしました。

 今回はCES 2017の話を中心にということですが、新しいテクノロジーが人の生活をどう変えていくかは、まさに業務に密接なテーマなんです。

有園:本当ですね。CESにはもう6〜7年にわたって参加されているそうですが、昨年、主催団体が名称を変えましたよね? これによる変化などはあったのでしょうか。

森:CEA(コンシューマー・エレクトロニクス・アソシエーション)から、CTA(コンシューマー・テクノロジー・アソシエーション)に変わりました。これは確かに強烈なメッセージで、要は「家電ではなくテクノロジーが人々のライフスタイルに影響を与える、それに関するトレードショーだ」と打ち出したわけです。

 ただ、実態としては少し前からもう家電の域を超えていたので、それに合わせて団体がこうした動きをとった、ということですね。

■CES 2017の真の主役「Amazon Alexa」

有園:確かに、ここ数年、とても家電に留まってはいませんでしたね。

森:5年前くらいはスマートテレビが主役でしたが、翌年に基調講演で「これからはモバイルだ」と打ち出された。そこからはスマホを中心にテレビなどの家電、ウェアラブルデバイス、またドローンやVRなどの新興テクノロジーが出てきて。去年のキーワードは、IoTでした。家電や車が展示されていても、もうそれは意味が違っていて、あるテクノロジーを中心にしたプラットフォーム上の存在として提示されている。サムスンの展示スペースなのに、そこにつながる他メーカーの照明や車が置かれていたりしました。モノそのものではなく、エコシステムが主役になっている。IoTが広がってからは、そんな傾向がけっこう顕著だと感じています。

有園:そんな流れの中、今年のCESでは、なんといってもAmazonの音声認識AI「Alexa(アレクサ)」が話題をさらいました。

森:Amazon自体はブースを出展していないのに、裏の主役というか、真の主役というか。CESでは、各社から何百ものアレクサ搭載製品が発表されていました。

 アレクサは2014年に発表されていますが、この1年で急激に盛り上がりました。既に発売されているアレクサ搭載デバイスの「Amazon Echo」や、ミニサイズの「Echo Dot」「Amazon Tap」も、アメリカでは一般家庭にけっこう売れていて、コネクテッドホームの中心を担っています。「アレクサ、電気消して」みたいな命令に応えてくれる。

高島 知子[著]、小倉 亜沙子[写]、有園 雄一[聞]