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昭和大学は、生体内の亜鉛が健康的な皮膚コラーゲン維持に重要であることを、マウスを用いた研究で明らかにしたと発表した。

同研究は、徳島文理大学薬学部の深田俊幸教授、昭和大学歯学部の美島健二教授、理化学研究所らの研究グループによるもので、同成果は米国および欧州皮膚科学会雑誌「Journal of Investigative Dermatology」電子版に米国東部時間5月22日付で掲載された。

亜鉛は、生命活動に必要な微量元素のひとつで、毎日の食事から摂取されている。生体内における亜鉛は、皮膚・骨・筋肉に多く存在することが知られており、何らかの原因によって生体内の亜鉛量が一定値を下回る「亜鉛欠乏状態」になると、皮膚疾患・味覚異常・生殖機能低下・免疫不全などの症状が現れることが知られている。従って、生体内の亜鉛は常に適切なレベルで調節されている必要があり、それを担う生体内の分子が亜鉛トランスポーターと呼ばれる亜鉛の輸送体である。亜鉛トランスポーターによって運ばれる亜鉛は、シグナル因子(亜鉛シグナル)として細胞内情報の伝達制御に重要な役割を果たし、様々な生理応答を調節していると考えられているが、亜鉛が皮膚を形成する細胞においてどのような役割をもっているのか、特に「皮膚のコラーゲン産生や維持に亜鉛がどのように関わっているのか」については、その詳しいメカニズムは明らかにされていなかった。

同研究グループは、皮膚における役割が不明であった亜鉛トランスポーターZIP7が、線維芽細胞に存在することを見出し、I型コラーゲン遺伝子が発現する線維芽細胞でZip7遺伝子が欠損するマウスを作製した。皮膚の特徴を解析した結果、Zip7遺伝子を欠損したマウスでは皮膚の薄弱化が生じ、コラーゲン線維の顕著な減少が認められ、皮下脂肪の減少・骨密度の低下・歯牙の形成異常・軟骨組織の異常も確認されたという。これらの組織を形成する細胞はいずれも間葉系幹細胞から分化するため、間葉系幹細胞におけるZIP7の遺伝子を不活化させたところ、細胞増殖が抑制され、線維芽細胞や骨芽細胞への分化誘導が著しく阻害されたことから、ZIP7は間葉系幹細胞の増殖や分化に関係していることが示唆されたということだ。

次に、間葉系幹細胞の増殖と分化に、ZIP7がどのようなメカニズムで関係しているかを検証した結果、ZIP7の欠損により小胞体ストレスに応答する遺伝子の増加と、細胞の増殖と分化に関連する遺伝子の減少が認められた。つまり、ZIP7の欠損によって、小胞体ストレスを介する細胞死(アポトーシス)が亢進していることが示されたという。さらに、小胞体でのタンパク質の品質管理に関わるPDIを解析すると、ZIP7の欠損によって小胞体内に亜鉛が過剰に蓄積していること、この過剰な亜鉛がPDIを凝集させてその活性を抑えていることが確認された。これらの結果から、ZIP7は小胞体内の亜鉛量を調節し、PDIの活性を適正化することで、小胞体ストレス応答の上昇を制限していることが明らかになった。

今回の成果は、亜鉛トランスポーターZIP7が皮膚のコラーゲン維持に必要であることを示している。今後、ZIP7の機能を詳細に調べることで、加齢による皮膚の変化や皮膚がん、アトピー性皮膚炎といった皮膚に関連する病気において、ZIP7が有用な治療ターゲットとなることが期待されるということだ。