CDCのウェブサイトではクリプトスポリジウムについて詳しく説明している

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米国の疾病対策センター(CDC)が、水に親しむ季節の本格化を前に、プールや親水施設などでの寄生虫による感染症に注意を呼びかけている。

この寄生虫はヒトの体内に入ると下痢などを引き起すが、発症した人が治りきらないうちにプールなどに入り集団発生の原因になっているらしい。CDCによると2016年の発生件数が2年前の2倍に拡大した。

クリプトスポリジウム 日本でも過去に集団感染

CDCが17年5月18日に出した、週間の感染症情報によると、この寄生虫はクリプトスポリジウム。日本の国立感染症研究所(NIID)のウェブサイトによると、わが国でも1990年代に神奈川県と埼玉県で集団感染が発生している。

CDCは16年、クリプトスポリジウムによるプールや親水施設での集団感染の報告を32件受けた。被害人数は不明だが、14年は16件で、発生件数は2年で2倍になっている。米国ではクリプトスポリジウム症について州に患者数などの報告義務がなく全体の詳しい数は分かっていない。

NIIDのウェブサイトによると、クリプトスポリジウムはウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ネズミなどの腸管寄生原虫として知られており、1976年にヒトでの感染が初めて報告された。80年代に入り後天性免疫不全症候群(AIDS)での致死性下痢症の病原体として注目され、その後、健常者では水様下痢症の原因となることが明らかになった。

クリプトスポリジウムに感染すると、下痢のほか、吐き気やおう吐、胃けいれん、脱水などの症状が2〜3週間続くという。

NIIDはクリプトスポリジウム症について「散発例よりも、むしろ水道水や食品を介した集団発生が重要」としており、プールなどでの集団発生は想定外といえそうだ。1996年に埼玉県で8800人が被害を受けた集団感染では町営水道が汚染源だった。

水飲み込みは危険、下痢症あればプールだめ

CDCではプールでの感染を防ぐためにまず、水を飲みこまないように求めている。子どもを連れて行くときには保護者は十分に注意し、プール内やプールサイトで子どもに水をすくえるような玩具を与えないにすべきとしている。

保護者に対してはさらに、プールなどで過ごす際には子どもたちに1時間おきにトイレ休憩をとらせることや、おむつのチェックは必ずしかるべき場所で行い、プールに接する場所では決してしないよう求めている。

CDCがプールにクリプトスポリジウムが持ち込まれるのを懸念しているのは、プールで殺菌に使われる塩素がクリプトスポリジウムに効果がないため。「下痢症状がある人はプールで泳がないよう、子どもにその症状があるなら泳がせないよう」と注意している。

米国全体の状況は分かっていないが、16年夏、アリゾナ州は352人のクリプトスポリジウムによる発症者を確認。11〜15年は最高で62人だったので、この年は急増だった。またオハイオ州では16年を通じて1940人の発症を確認したが、その前年までの4年間は最高で571人だった。

CDCでは患者数の増加が、実際に増加しているのか、クリプトスポリジウムが知られるようになったためか、あるいは、診断方法が向上したためなのかは不明としている。