ダスティン・ホフマンとノア・バームバック監督 - 第70回カンヌ国際映画祭にて
 - Gisela Schober / Getty Images

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 現地時間21日、第70回カンヌ国際映画祭でコンペティション部門に出品されているノア・バームバック監督の映画『ザ・マイヤーウィッツ・ストーリーズ(ニュー・アンド・セレクテッド)(原題) / The Meyerowitz Stories (New and Selected)』の会見が行われ、カンヌで物議を醸しているNetflix問題についてバームバック監督とダスティン・ホフマンがジョークを飛ばした。

 『ザ・マイヤーウィッツ・ストーリーズ(ニュー・アンド・セレクテッド)(原題)』は、『フランシス・ハ』『ヤング・アダルト・ニューヨーク』のバームバック監督が描く家族の物語。芸術家の父(ダスティン)の大きすぎる存在に翻弄され、自分の価値を見いだせずにいた腹違いの子供たち(アダム・サンドラー、ベン・スティラーら)の姿がコミカルで、最後には爽やかな感動をもたらす秀作だ。カンヌのコンペティション部門に初めて出品されたNetflix映画二作品のうちの一作で、フランスでの劇場公開は予定されていない。

 審査員長を務めるペドロ・アルモドバル監督が「大きなスクリーン(映画館)で上映されない映画はどんな賞も受賞すべきでないと考える」と発言したことについて聞かれると、ダスティンは「わたしはとても大きなスクリーンを持っている」とジョーク。バームバック監督も「(本作は少なくとも)ダスティン・ホフマンのリビングルームで上映されるだろうね。だから大丈夫」とそれに乗っかって笑いを誘った。

 しかし、すぐに真面目な口調に変えたバームバック監督は「僕はこの映画をインディペンデントのお金で、スーパー16で撮影して作った。この映画も、これまでの僕の全ての映画もそうだが、大きなスクリーンで上映されるのを期待して作ってきた」と本音を明かす。「映画館での映画鑑賞はユニークで並外れた経験だから、なくなったりしないと思う」と続けると、ポストプロダクションの段階で本作を獲得したNetflixについて「彼らはすごくサポートしてくれたし、感謝している」とコメントした。

 また、自分をどういう人間だと思うか、どんな人間になりたいか、そして実際はどんな人間なのか、ということのギャップに興味があり、それを映画で掘り下げてきたというバームバック監督は、本作では「成功とはどういうことか、についても描いている」と語る。「マシュー(ベン)は自分のことを負け犬だと思っている。ビジネスマンとして大金を稼いでいるけど、父のようなアーティストではないから。ダニー(アダム)も自分を負け犬だと思っている。主夫として娘を立派に育て上げたけど、アーティストではないから。でも二人の父のハロルド(ダスティン)もアートでうまくいっていないから、自分を負け犬だと思っている」。本当の価値に気づけずに苦悩する登場人物たちの姿に、誰しも共感せずにはいられないだろう。(編集部・市川遥)

第70回カンヌ国際映画祭は現地時間28日まで開催