米国の市場調査会社、eマーケターがこのほどまとめた、拡張現実(AR:augmented reality)と仮想現実(VR:virtual reality)の利用実態に関するリポートによると、今年(2017年)の米国における拡張現実の利用者数は4000万人に上り、昨年から30.2%増加する見通し。

[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]

FBやスナップチャットがARの利用を促進

 拡張現実の利用者の伸びは、主にフォトメッセージングサービスのスナップチャット(Snapchat)や、SNSのフェイスブックなどで提供されている、写真/動画加工のエフェクトによってもたらされると同社は見ている。

 例えば、スナップチャットでは、自撮り写真/動画にアニメのような効果を施せる「レンズ」と呼ぶエフェクトを提供している。フェイスブックはそのモバイルアプリで、写真や動画が24時間で消える「ストーリー」を提供しているが、ここで同様の加工エフェクトを提供している。

 拡張現実は目の前の現実の風景にデジタル情報を重ね合わせて表示する技術。メガネ型の情報端末や、昨年大ヒットしたモバイルゲーム「ポケモンGO」などが、これを利用していることで知られるが、eマーケターはソーシャルメディアで最近導入が進んでいるこうした写真/動画加工エフェクトによるコンテンツも拡張現実の範疇に入るとしている。

 そして、今年、何らかの拡張現実コンテンツを1カ月に1度以上利用する米国人は4000万人となり、同国人口の12.3%を占める。この数は2019年には5440万人を超え、同国人口の16.4%を占めるようになる。さらに、2019年には米国インターネット利用者のほぼ5人に1人が拡張現実を利用すると、eマーケターは予測している。

VRもソーシャルメディアが牽引

 一方、今年、仮想現実コンテンツを1カ月に1度以上利用する米国人は2240万人で、昨年から109.5%増加する見通し。仮想現実の利用者は拡張現実と比べて少ないものの、こちらの市場もソーシャルメディアによって牽引されるとeマーケターは見ている。

 仮想現実は、利用者が目の前にある実際の場面から離れ、完全にデジタル世界の中に身を置くという技術。これを実現するものとしては、フェイスブック傘下のオキュラスVRやソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)などが販売するヘッドマウントディスプレーがあるが、eマーケターは、この市場はむしろ、フェイスブックや、動画共有サービスのユーチューブで提供される360度動画/写真によって牽引されるとしている。

販売伸び悩むVR用ディスプレー

 今年、ゲーム用の仮想現実ヘッドマウントディスプレーを利用する米国人利用者は、昨年から98.7%増加する見通し。しかしそれでも、米国人口に占める比率はわずか2.9%にとどまるとeマーケターは推計している。

 米ウォールストリート・ジャーナルによると、こうした仮想現実ヘッドマウントディスプレーは、販売が伸び悩んでいる。

 スライブ・アナリティクスという別の調査会社が今年3月に行い、eマーケターがまとめた米国インターネット利用者を対象にしたアンケート調査リポートによると、仮想現実ヘッドマウントディスプレーに興味がないという人の最大の理由は、「高すぎる価格」。とりわけ18〜34歳の若年層で、こう答えた人の割合が高いという。

筆者:小久保 重信