今時のホストはスーツではなく私服接客

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 昨年、改定された中国の関税引き上げをきっかけに、突如終焉を迎えた中国人による爆買いバブル。しかしブームは去っても、歌舞伎町では今も品薄状態となっているものがあった。ホストクラブの高級ボトルだ。ホストクラブで飲む酒といえば、ドンペリやルイ13世、ロマネコンティ…といったシャンパンやブランデーなどの高級ボトルを思い浮かべる方も多いのではないだろうか。だが、最近その高級酒が姿を消しつつあるというのだ。なぜ、高級ボトルは歌舞伎町から姿を消したのであろうか。その理由に迫ってみた。

◆爆買いブームで消えた高級ボトル

「爆買いの時、高級ブランデーが中国人の富裕層にバカ売れしました」

 そう話すのは、歌舞伎町のホストクラブに酒を卸し続けて10年になる酒屋のKさん。高級ブランデーとは、ルイ13世、リシャール、ジュビリーなどを指し、ホストクラブで飲むと60万〜100万円はする代物だ。

「ホストがメディアに多く露出していた10年前の『ホストブーム』以後、高級ブランデーはホストクラブでよく売れていました。しかし最近はホストクラブが乱立し、さらに2年前の爆買いと重なって一気に品薄になりましたね。ちょうどその後、ブランデーとシャンパンが一斉値上げしたため、ホストクラブの価格相場も随分上がったのではないでしょうか」

 定期的に行われる価格改定でリシャールやジュビリーだけでなく、ホストクラブの定番だったドンペリニヨン、ヴーヴクリコも1.5〜2倍に値上げした。また、高級ワインの代表ともいえるロマネコンティも値上げし、今ではほとんど市場に出回らなくなったという。

「元々、数の少ないロマネコンティですが、一時のホストブームで売れすぎたため、ホスト=ロマネコンティのイメージが付いたのではないでしょうか。今、ホストクラブでワインを飲む人は少ないのでは。一時はシャトー・マルゴーなど、ボルドー5大シャトーワインの基準に満たないセカンドラベルが人気だったのですが、これも中国人の爆買いの影響で品薄になり今では2倍以上の価格に高騰しています」

 ドンペリの売れ行きは、どう変わったのだろうか。

「今、ドンペリはほとんど出ません。バースデーのシャンパンタワー用としてたまにドンペリゴールドの注文は入りますが、一部の売れてるホストのみです。シャンパンタワーでしたら、モエやボランジェなどのヴィンテージシャンパンが人気です」

◆東京五輪に向けた浄化作戦も一因

 次にインタビューに答えてくれたのは、歌舞伎町のホストクラブで内勤として働くYさん。

「ここ数年で、店の内装が大きく変わりました。以前は客席をパーテーションで仕切っていたのですが、東京五輪に向けた歌舞伎町の浄化作戦により、1メートル以上のパーテーションや背もたれはすべて撤去されました。仕切りがないと会話が筒抜けになってしまうので、今までのように高額ボトルが煽りづらくなりましたね」

 原則として、ホストクラブやキャバクラは客席の見通しを妨げる1メートル以上の仕切りを設けることは禁止されている。昔はこうした内装でも多少黙認されていたというが、年々取締りは厳しくなっているようだ。

 Yさんにメニューを見せてもらう。リシャール220万、ルイ13世180万、ヴーヴクリコ9万円と、数年前の1.5〜2倍の値段になっており、今ではほとんど出なくなったというドンペリはメニューから消えていた。一体、今はどのような酒が人気なのだろうか。

「最近は暗い店内でも目立つスパークリングワインが人気ですね。値段も5万円程度とリーズナブルですし、インスタに載せたいという理由で注文するお客様も多いですよ」

 見せてくれたのは、振るとオーロラのように濁るマバムグラシアとラメ入りのプラチナムフレグランスというスパークリングワインだ。キャバクラ嬢を中心に人気に火がついたという。

「昔に比べると、ホストクラブも随分変わりましたね。酒が値上がりした分、店側も色々工夫しています。オリジナルシャンパンを作って発注代を安く抑えたり、発泡酒や缶チューハイを置いたり……、ホストクラブで缶チューハイなんて昔では考えられなかったですよ(笑)」

 コマ劇の閉館から始まり、東宝ビルのゴジラ建設、グリーンプラザ閉館だけでなく、ホストクラブも10年間で大きく変わっていた。東京五輪まであと3年、その時、ホストクラブはどうなっているのだろうか。<文・カワノアユミ>