たぴみる『発見者はワタシ』

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 2017年の春アニメも5月に入り、ストーリーは中盤へと突入。主題歌のアニソンも、様々な切り口から話題になるものも多く存在しており、リアルサウンドでもこれまで【『カブキブ!』『ひなこのーと』『世界の闇図鑑』……『けもフレ』主題歌に続くアニソンは? http://realsound.jp/2017/04/post-12055.html】や【『つぐもも』『恋愛暴君』『ひなこのーと』……今期アニメ注目OPテーマを徹底分析 http://realsound.jp/2017/05/post-12294.html】といった形で紹介してきた。

 今回は、先日の第一弾【米津玄師、夏代孝明、神聖かまってちゃん…2017年春アニメ主題歌で注目のネット発アーティスト】に続き、インターネットを出自とし、今期のアニメ主題歌を担当するアーティストと、その楽曲について紹介。前回は男性アーティストの楽曲を中心に展開したが、後編では女性アーティスト4組をピックアップしたい。

・ClariS「ヒトリゴト」(『エロマンガ先生』オープニングテーマ)

 『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』でおなじみ、伏見つかさ(原作)とかんざきひろ(イラスト)によるライトノベルのアニメ化作品『エロマンガ先生』。アニメーションをA-1 Picturesが担当するということで、いくら面白くともタイトルで見ない人がいるのでは、と思いきやあれよあれよと話題に。ClariSのオープニングテーマ「ヒトリゴト」も、アニメのコミカルでキュートな世界観を見事に助長した楽曲だ。これまでロック・ポップ調の楽曲が多かった彼女たちだが、今回は四つ打ちのビートに合わせてスカ調のホーンセクションとギターカッティングが心地よい、新たな扉を開いたといえる。これまで顔出しをせずに活動していたが、今回のMVでは本人たちらしきシルエットが登場。『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』のオープニングテーマ「irony」でデビューした経緯も踏まえ、今回の起用は特別なものであるからこそ、楽曲・MVともにここまで冒険に出たのだろう。

・DAOKO「拝啓グッバイさようなら」(『神撃のバハムート VIRGIN SOUL』エンディングテーマ)

 前作『もしも僕らがGAMEの主役で / ダイスキ with TeddyLoid / BANG!』で様々な振り幅を見せたDAOKOの新曲は、元Superflyのコンポーザーであり、現在は音楽プロデューサーとして活躍する多保孝一、BNSI(株式会社バンダイナムコスタジオ)所属のゲームサウンドデザイナー/コンポーザーとして『アイドルマスター』シリーズなどで名曲を生み出してきたTAKU INOUEとの共作。20歳を迎えたことも作用してか、これまでのようなエッジの立ったリリックは少し影を潜めつつ、柔らかな印象のワードを多用しているからか、ポップスとしての強いパワーを持った楽曲。人気スマホゲームを原作としたアニメ『神撃のバハムート VIRGIN SOUL』のエンディングテーマということもあり、同世代やさらに若いファンを多く獲得することになりそうだ。クリエイティブ・ディレクター川村元気氏×映像ディレクター関和亮監督によるMVも必見。

・たぴみる「発見者はワタシ」(『ゼロから始める魔法の書』オープニングテーマ)

 異種間の交流をテーマにしたファンタジーもののライトノベルを原作に持つアニメ『ゼロから始める魔法の書』のオープニングテーマを飾るのは、同曲をもってメジャーデビューとなる新人アニソンシンガー・たぴみる。楽曲は『ラブライブ!サンシャイン!!』などでもおなじみ石倉誉之氏が手がけており、ファンタジーであることの異世界感と、オープニングにピッタリのアッパーで元気な面を強調する楽曲に仕上がった。公開済みのMVも完成度が高く、監督はBUMP OF CHICKENをはじめ、数々のMVやCM、ライブの演出を手がけている東市篤憲(A4A)が、演出は縷縷夢兎デザイナーの東 佳苗が、脚本は大学生映画監督として注目を集める松本花奈が担当。ここ数年、アニソンシンガーの新人は多く登場しているが、ここまで作り込まれた世界観と高いクリエイティブを持つ歌い手は珍しい。動画投稿者としての一面も持ち合わせる彼女が、シーンでどこまで存在感を発揮できるのか、これからが楽しみだ。

・鹿乃「day by day」(『ソード・オラトリア ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外伝』エンディングテーマ)

 2010年からニコニコ動画で歌い手として活躍し、2015年にデビューを飾った鹿乃の新曲「day by day」は、同名ライトノベルを原作に持つアニメ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の外伝である『ソード・オラトリア ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外伝』のエンディングテーマ。作曲と編曲を担当したのは、アニメシーンで高い評価を受けている若手音楽作家・田中秀和(MONACA)。ともすれば“変態的”といえる曲調や楽器の使い方に定評がある彼だが、今回は鹿乃のキュートな声を前面に押し出したポップ・バラードに。聴けば聴くほどアレンジの妙を感じ取れるスルメ曲と言えるだろう。ちなみにカップリングとしてやしきんの手がけた「29-Q」が収録されているが、こちらは少し懐かしいアキバ系電波ソング風の一曲だ。

 次のステージへ踏み出したことを表現する作品の目立つ今クールのアニメ主題歌。そのなかでも今回ピックアップした女性アーティストの作品は、アニメ以外の映像をはじめとしたクリエイティブとも密接に関わりながら、自身の世界観を見事に表現している。アニソンシンガーを目指す女性アーティストも多くなり、シーンの代謝も活発になってきた昨今、どこまでこの勢いは続くのか。彼女たち注目の若手アーティストに懸かっているといっても過言ではない。(向原康太)