連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第6週「夏の思い出はメロン色」第43回 5月22日(月)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:渡辺哲也  


43話はこんな話


お盆が近づき、乙女たちは、海水浴に行こうと盛り上がる。

楽しい海水浴、その前に


不穏な音楽と、ぼーっとした表情の実(沢村一樹)が映る。
「生きていたんですね、実さん」と増田明美のナレーション。
 なんだか雰囲気が違う・・・と気にさせながら、お父さんのターンは終了。
 あんなに純朴で働き者で家族思いのお父さん、心がなくなったような今の表情はなぜなのか・・・。
 別人(そっくりさん)だったらどうしよう。

解説の重要性


1965年、夏。
子供の好きなものとして、「巨人、大鵬、たまご焼き」という言葉ができたというお話。
大鵬は横綱力士。
巨人が勝つと、解説目当で、トランジスタラジオが売れるそう。
解説とは、いまでいうコメンタリー。やはり視聴者は、解説が好きなのだ。

○ツボった台詞
「間違ってる」
「しかも間違ってる」
松下主任(奥田洋平)の、とぼけた澄子(松本穂香)の認識へのツッコミ。

乙女たちの近況


東京に来てもうすぐ4ヶ月。
時子(佐久間由衣)は劇団の稽古に参加するようになった。
豊子(藤野涼子)は通信制の学校で優秀な成績をとった。
幸子(小島藤子)は門限やぶり。「寮長ではなく不良長です。すみませんダジャレです」(みね子)。
良子(八木優希)は夏バテ気味。
澄子は1番ここでの暮らしを楽しんでいる。

みね子は、時々、お父さんをみかけたという商店街を歩いてみていたが、実を見つけることはできない。
雑踏に立ち尽くしたみね子の表情は、お父さんのように、ぼーっとしている。
東京の人にはなりきれず、茨城は遠く、
「私はなんなんだろうと思うことがあります」と立ち位置がわからないみね子。
イメージシーンに切り替わり、茨城の田んぼにぼーっと立ち、やがて、にっこり笑う。そして、消えていくみね子・・・シュールだ。
ぼーっとした顔が真実で、笑顔は作り物なのか。
だとしたら、お父さんも作り物の笑顔を失って、立ち位置がわからなくなってしまったのか。
月曜から、考えさせられる場面だった。

乙女たちと愛子さん


8月になって、お盆休みどうするの、という話で、みんな帰らず、1日だけそろって海水浴に行くことにする。
水着を買おうとはしゃぐ乙女たち。

○ツボった台詞
「私、自分が壊れそうだ」(藤子)
こういう子があるとき、がらっと変わるんだよなあ・・・。藤子の今後に期待。
勉強好きで身なりをそんなに構ってないが、じつはかなりかわいいし。

だが、愛子(和久井映見)に気を使う乙女たち。
お盆は亡くなった人を偲ぶ日であると、「ひよっこ」はちゃんと伝える。
この時代(60年代)は、まだ、そういう感覚が残っていたということなのだろうか。

その後、愛子の名台詞、連打。

「あなたたち戦後生まれの人は違うんだから、せいいっぱい楽しみなさい。
それが亡くなった方々へのいい供養になるよ。
そんな楽しい世の中になったんだなって」

「わたしは泣くの、たくさん思い出してずっと泣くの。
涙出なくなるくらい泣くの。
それでね たくさん食べるの。
食べられなかった頃のことを思い出してたくさん食べてやるのよ」

なんといってもこれ。
愛子「とんかつでしょ、ラーメン、オムライス、チャーハン、カレーライス、それにとんかつ、あとコロッケ、メンチカツ、ハムカツ、あと、とんかつ」
みね子「とんかつ好きなんですね」
愛子「ん? 何度も言った、わたし?」
みね子「はい、3回」
愛子「あらやだ」

一瞬和久井映見が、まちがって、2回、とんかつと言ってしまい、でもカットにならないから、そのまま台詞を続けたのかと思ったら、3度目のとんかつで確信犯の台詞とわかる。
真面目な話をしたあとに、必ず、少し空気をゆるめる岡田脚本。いい話をすることに対しての羞恥心が感じられてホッとする。ドヤ顔で決め台詞は、おなかいっぱいです。

海水浴に「ちょっと誘ってみて 断るから」と言って、儀礼的に誘われたら、「うん、行く!」と言いだし、乙女たちを固まらせる愛子。
会社の若い社員とお局はどうしたって交わらないものなのか。
そんなとき、自分を追い込まず、愛子さんのように、状況を紛らわせるといいかも。でも、この人、どれだけ自覚的なのか、それともほんとうに天然なのか、読めない!
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