どんなクルマでもチューニングすれば、もっともっと魅力的なクルマになる! それがOPTIONの原点。今回紹介している谷田部テストは、まさにそれを地で行く異色面白グルマが集まっています。それでは、[前編]と合わせてどうぞ!

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軽量ボディのREパワーはスンナリ速い

RE13Bスターレット by HRD

最高速=210.83km/h/ゼロヨン=15秒11

 

FR車のボディに、強力なロータリーエンジンを積む。これが、最も作りやすい激烈マシンだ。FRファミリアのRE版はけっこう多いが、スターレットも軽量FR車としてベストな素材である。13Bロータリーは、ウェーバーチューン。惜しいのは、リヤサスの強化が足りず、スタンディングスタートでジャダーが発生してしまう。ゼロヨンが15秒台というのは、スタート時に高回転でクラッチミートできなかったのが原因だ。しかし、いったん走り出すとその加速性は軽量ボディだけに、凄まじい。外観は大改造されていないので、ボンネットの中味を知らないと、驚いてしまう。が、エンジンチューン自体は今一歩という感じで、9000rpm近くまで回るというような、RE本来の出来ではない。最高速トライも、5速6600rpmでサチュレートしてしまった。スターレットと13Bの組み合わせなら、もう少しスピードアップしても良さそうだ。

ゼロヨンに徹底した軽量マシン

2T-G改2Lスターレット by エッセンシャル

ゼロヨン=13秒57

一見、TS風のスターレットだが、実はドラッグ専用マシン。エンジンは2T-G改のフルチューン。排気量は1940cc。キャブはウェーバー48φのツイン。排気系はタコ足、ストレートマフラーを装着している。もちろん、吸気ポートやヘッドは研磨されており、圧縮比も10.8と高くしている。カムはIN320度/EX304度。TRDの18RG用大径バルブを組む。レブリミットは9000rpmだ。

ボディはかなり軽量化され、700kg弱。内装は剥ぎ取られ、FRPのバケットシートがひとつ。助手席には、エンジンルームから追いやられたラジエターが装着してある。簡素なメーターパネルには、1万1000rpmまでのタコメーターと水温、油温、油圧計があるのみ。これが必要最小限なのだ。オーバーフェンダーはオリジナルのFRP製で、かなりの迫力だ。足まわりはショックをTRDのカローラ用、コイルをTRDのセリカ用で強化、パワーを確実に路面に伝えるため、M&Hのドラッグスリックを後輪に装着している。

大型タービンとエンジンチューンがマッチせず

シルビアRSターボ by トライアル

最高速=235.29km/h

ナニワチューンといえば、L型でも伝統的なキャブ仕様が主流で、ターボは珍しい。しかも、ソレックス+ギャレットT05という激烈マシン。このT05ターボはとにかく超大型サイズで、レース用にしか使用されないほど。市販車のボンネット内に収めるのも、大変な作業なのだ。超大型サイズのため、特徴的にも高回転タイプだ。1速で7000rpm以上回して2速へシフトアップすると、回転がダウンし一旦止まるような感じがして、5000rpm以上になってからノーズを上げながら急加速していく。低中速のタイムラグが大きいのは仕方ない。

注目の高速域だが、5速でもスムーズに6500rpmくらいは回るが、それ以上は頭打ちになる感じで6600rpmしかのびない。これは、ノーマルのカムという点が大きな要因だろう。ブースト圧は1.05kg/cm2で、ピタッと安定している。チューナーによると、ノーマルカムでは1.3kg/cm2まで上げても、それほど変化しないという。マキシマムスピードの235.29km/hもやむをえない。ゼロヨンのほうは、1発めのスタートでクラッチが痛み、タイム計測は不可能に終わった。T05タービンの実力からいけば、パワーは限界なくあがると思われるが、高回転タービンに合ったハイカムの選定やソレックスキャブのマッチングは、これからの課題といえ、今回のテストデータを元に本格的なチューニングに入るというから楽しみだ。

 

CRキャブの気難しさがたまらない

ホンダN500 by 稲葉自動車

最高速=139.53km/h

70年代前半のKハイパワー狂騒の火付け役になったのが、ホンダN360だ。当然ながら、ミニカーレースでも常勝マシンで、ホンダワークスのRSCまで登場したほどだった。今回テストしたN360に搭載されたエンジンも、ミニカーレース全盛時期にチューニングされた、500ccのフルチューン版。圧縮比が高く、セルスターターもやっと回るほど。さらに、レース用サイドポートのCRキャブは気難しく、まさにレーシングカーである。アイドリングもカブリを防ぐため、2000rpm近くにセットされ、ストレート・エキゾーストからのサウンドは、3Lターボより大きいほどだ。クランクまで軽量されたエンジンのフケはさすがで、7000~8000rpmまでポンポンとハネ上がる。

ミッションは完全なレース用クロス5速が組み込まれているので、スタートで引っ張る以外は、すぐに5速にホールドされる。サスペンションも完全なレース用が組まれているため、バンク進入時も実に安定している。5速でも1万rpm近くにピーク設定されたミッションだが、プラグの設定ミスか、8000rpm近くでバラつく。アクセルを全開にしても8000rpm近くでタコメーターの針が大きく振ってしまうので、気持ちアクセルを閉めバラつきのない回転で安定させて、計測地点を通過する。フロントスポイラーとリヤスポイラーの効果は大で、ストレート走行も楽だ。

最高速は139.53km/h。ミニカーレース全盛時代の、富士逆回り4.3kmのラップからみて、第1コーナー直前では150km/h以上は出ていたと予想され、目標達成はならなかった。

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最高速やゼロヨンは、ZやGT-Rだけのものではありません。まさに、チューニングの面白さがこの記事にはたくさん詰まっていました。やっぱり、チューニングは魅力的ですね!

[OPTION 1983年8月号より]

(Play Back The OPTION by 永光やすの)

13Bロータリーのスターレット、ホンダN500、シルビアRSターボも走った![83年の谷田部テスト後編](http://clicccar.com/2017/05/23/468174/)