マサチューセッツ工科大学(MIT)が汗に反応して自動的に通気を行ってくれるという、「細菌」を利用した新しいワークアウトシャツのプロトタイプを発表しています。

Harnessing the hygroscopic and biofluorescent behaviors of genetically tractable microbial cells to design biohybrid wearables | Science Advances

http://advances.sciencemag.org/content/3/5/e1601984

MIT used bacteria to create a self-ventilating workout shirt | Popular Science

http://www.popsci.com/bacteria-on-this-wearable-allow-it-to-open-vents-automatically-when-you-sweat

MIT化学工学部およびMITメディアラボに所属する生物工学者のウェン・ワン氏は、ラテックスと細菌を組み合わせた「バイオハイブリッド衣料品」のプロトタイプを学術誌・Science Advancesで発表しました。レインジャケットにはジッパーで開閉できる通気口が設けられていることがありますが、バイオハイブリッド衣料品は人間の汗に反応する枯草菌(B. subtilis)という細菌を使うことで、着用者が汗をかくと収縮して通気口が自動的に開くという仕組みになっています。



具体的には、ラテックスレイヤーを細菌レイヤーで挟んだ構造になっており、汗が吸着しなければ細菌とラテックスのサンドイッチ状の構造はまっすぐな状態に保たれます。着用者が汗をかき始めると、細菌レイヤーが湿度に応じて弛緩するため、ラテックスレイヤーとの間にすき間ができ、衣類についている通気口へのフラップが空いた状態になるわけです。また、バイオハイブリッド衣料品に使われる細菌の生死は関係ないという特徴があり、細菌の機械的動作を利用しているため、細菌が死んでいても機能性に問題はないとのこと。



今回の研究では「自動的に通気する」という機能だけを実現したプロトタイプが開発されましたが、「洗濯ができない」という問題が残されています。ワン氏は細菌を生地に化学的に結合させたり、または生地の糸に細菌を織り込んだりするなど、生地に細菌が確実に付着するための解決策を思案しているとのこと。

将来的なアイデアでは、ワン氏は「いい匂いを放つバイオハイブリッド衣料品」の開発を考慮しています。例えば着用者が服にワインをこぼしたり、ケガをして血がついてたりした時、細菌、または酵母が汚れを食べることで、よい香りに変換するというプロセスを考えているそうです。ワン氏は「あなたがジムに行くたびに、汗をかいた人からパンのような香りが漂ってくるという状況を想像してみてください。おそらく、今あなたの隣で汗を流してランニングマシンを使っている人よりいい匂いではないでしょうか」と話しています。