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株式投資というと、「値上がり益ねらい」と思い込んでいる人が多い。少し、発想を転換していただきたい。今の日本株には、値上がりはあまり期待できないが、安定的に高い配当利回りが期待できる銘柄が増えている。

昔の日本株は、確かに、配当ではなく、値上がりを狙って買うものだった。1993年ころ、東証一部の平均配当利回りは1%もなかった。当時、長期金利(新発10年国債利回り)が5%近くあったことを考えると、株の利回りは低すぎて、話にならなかった。

ところが、その後、長期金利が下がり続ける中で、日本株の利回りは上昇し続けた。(1) 株価が下落したことと、(2) 日本企業が株主への利益配分を増やすようになったことが、利回り上昇の要因である。

ところで、皆様は、1993年ころ長期金利が5%もあったことを覚えているだろうか。そこで10年新発国債を買えば、10年間で税引き前50%の確定利回りが得られた。すばらしいリターンだ。それでも、当時、5%の利回りに魅力を感じた投資家はあまりいなかった。なぜか?

今では信じられないことかもしれないが、当時は、まだインフレ期待が高く、5%程度の利回りでは、十分にインフレをカバーすることができないと考えられていた。インフレに弱い債券投資より、インフレに強い、不動産投資や株投資に魅力を感じる人が多かった。

後から振り返ると、そこは、日本がデフレ社会に突入する入り口だった。値上がり益をねらって動くものを追いかけるより、じっくり長期国債で利回りをねらった投資をすべきであった。

それでは、これからの10年はどうか。長期国債の利回りがあまりにも低くなってしまったため、国債の投資魅力は低くなった。そこで、注目されるのが、日本株の利回りの高さだ。配当利回りから日本株を見直していい時代に入ってきた。

利回りの高いものに投資というと、まず、外貨建て債券への投資を思い浮かべる人が多い。海外の金利は日本よりも高い。ただ、円高になると投資元本が目減りするので注意が必要だ。為替リスクを負わずに投資できる日本株の高配当利回りものにも分散投資した方がいいだろう。

株の配当利回りは、確定利回りでない。業績が悪化して減配になれば、利回りが低下する。株価が大きく下がる可能性もある。銘柄選択にあたっては、単に予想配当利回りが高い銘柄を選ぶのではなく、長期的に保有して減配になりにくい銘柄を選ぶことが大切だ。

全ての上場銘柄から予想配当利回りが高い銘柄を抽出すると、上位には、予想配当利回り6%以上の銘柄もある。一見魅力的だが、ここは注意が必要だ。予想配当利回りが高すぎる銘柄には、減配リスクの高いものが多い。私の目で見て、減配リスクが低い有望銘柄は、予想配当利回りで2〜4%の辺りに多数ある。

それでは、減配リスクの低い銘柄を選ぶための、4条件を具体的に見てみよう。

■ 減配になりにくい高配当利回り株を選ぶための4条件

(1) 業種:不況に強い業種に属する

(2) 規模:売上高や時価総額が大きい

(3) 財務:借金が少ない

(4) 収益力:経常利益率が高い

4条件すべてを満たす必要はない。上の条件のうち上位2つ(1)(2)を充たせば、投資の候補銘柄としては十分である。不況の影響をうけにくい代表業種は、情報通信・電鉄・医薬品・食品・サービス・小売業(日用品)などだ。

ここから、時価総額7,000億円以上で、配当利回りが比較的高めの銘柄を探すと、以下のような銘柄がある:日本たばこ産業(予想配当利回り3.1%:5月22日時点)、NTTドコモ(同3.7%)、KDDI(同2.9%)ローソン(同2.7%)、武田薬品工業(同3.1%)第一三共(同2.9%)などだ。

景気敏感株ではあるが、比較的、利益が安定的なものを選ぶならば、以下のようなものもある:三井住友FG(4.0%)、みずほFG(予想配当利回り3.8%:5月22日時点)、ブリヂストン(同2.9%)などだ。

好配当利回り銘柄への投資では、特定の銘柄に集中投資すべきではない。どんな銘柄にも、固有のリスクがあり、減配リスクが低くても、減配になって株価が下がるリスクはある。1銘柄に集中投資するのは避けた方が良い。減配になりにくい性質を持った銘柄で、なるべくたくさんの銘柄に分散投資すべきである。

景気変動の影響を受けにくい業種(ディフェンシブ株)が優先されるが、分散投資するならば、景気敏感株から選ぶことも可能と思う。景気敏感株ばかりをたくさん買うと、景気悪化局面であわてて売らなければならなくなるので、要注意だ。

予想配当利回り2〜4%の大型株に分散投資し、5年・10年と保有し続けることが、派手さはなくとも、着実に資産を増やしていく近道かもしれない。好配当利回り株の買い方であるが、一気に大量に買うのではなく、時間をかけて分散投資する方が良い。大量に買った途端に日経平均が大きく下がるリスクも考慮する必要がある。リスクの高い時代であるから、銘柄の選び方にも、買い方にも慎重さが求められる。

○執筆者プロフィール : 窪田 真之

楽天証券経済研究所 チーフ・ストラテジスト。日本証券アナリスト協会検定会員。米国CFA協会認定アナリスト。著書『超入門! 株式投資力トレーニング』(日本経済新聞出版社)など。1984年、慶應義塾大学経済学部卒業。日本株ファンドマネージャー歴25年。運用するファンドは、ベンチマークである東証株価指数を大幅に上回る運用実績を残し、敏腕ファンドマネージャーとして多くのメディア出演をこなしてきた。2014年2月から現職。長年のファンドマネージャーとしての実績を活かした企業分析やマーケット動向について、「3分でわかる! 今日の投資戦略」を毎営業日配信中。

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