クアルコム、問題山積でも成長潜在力が揺るがない理由

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米半導体大手クアルコムの株価は2016年に大幅に上昇したものの、今年に入ってから大きく下げている。同社の利益はここ何四半期かの間、非会計原則(non-GAAP)ベースで順調に増えているものの、一方では独占禁止法違反で罰金支払いを命じられたり、特許を巡り提訴されたりしており、ライセンス事業が影響を受けている。そして、アナリストらの多くはこれらを受け、投資判断を格下げするなどしている。

複数の訴訟を起こされてはいるが、クアルコムは事業の多角化戦略を維持しており、今後もそれによって成長を続けていくと考えられる。自動運転車など新たな市場への参入を実現しており、同社が進出する市場の規模は2020年までに、1380億ドル(約15兆円)相当にまで拡大すると見込まれる。

クアルコムの長期的な成長潜在力を裏付けるものと考えられる重要な要因は、以下のとおりだ。

・5Gにおけるリーダーシップ

第5世代モバイル通信システム(5G)は標準化に向かっている。5Gへの移行を促進しているのは、通信速度の大幅な高速化と広域ネットワーク化、モバイル・トラフィックの大幅な増加、組織内におけるM2M(機器間)通信の拡大、ブロードバンド・サービスの需要の増加を支援する必要性などといった要因だ。

5G技術は2020年までには導入される見通しで、同技術を利用するモバイル加入総数は、2022年までに8900万に達する規模になると予想されている。クアルコムは欧米のほか中国や韓国、オーストラリアといった各国の通信インフラのベンダーやオペレーターなど複数の企業と各社との間で5G NR(New Radio、新しい無線)の試験を実施することを明らかにしており、5G革命をリードしていく優位な立場にあると自信を見せている。

・NXP買収で自動車業界に強み

オランダの同業NXPセミコンダクターズの買収により、クアルコムが提供する製品は大幅に多様化し、現在中核としているモバイルチップセット以外の複数の事業にも、手を広げていくことが可能になると見込まれる。買収により、クアルコムは自動車向けのチップの最大のサプライヤーとなる可能性がある。

多くの自動車企業は競争における優位性を高めるために、技術を進歩させることに注力しており、車1台当たりに利用される半導体の数は急増している。そうした中でクアルコムは、先進的なプロセッサと世界各国の主要な自動車メーカーに採用されてきたソリューションを強みに、車載インフォテインメント市場に狙いを定めてきた。

米ボストン・コンサルティング・グループの調査によると、自動運転車市場は2025年までに420億ドル規模にまで成長。全体的な自動車市場の約12〜13%を占めるようになるとの見方もある。

・PC・データセンター市場でのインテルの優勢を「破壊」?
クアルコムはPCやデータセンターなどその他の成長市場においても足場を固めようと努力を続けている。現在のところ、これらの市場ではインテルが優勢だ。だが、クアルコムはすでにマイクロソフトと提携し、同社のウィンドウズ10にモバイル・コンピューティング・プラットフォームを提供することで合意したと発表。「2017年第4四半期にクアルコムのSnapdragon(スナップドラゴン)835を搭載したウィンドウズ10のPCを発売する」との計画を明らかにしている。