米スタバが見せた神対応 システム障害を逆手にイメージアップ

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スターバックスは先週、米国・カナダ全土のさまざまな店舗で決済システムが停止する技術的トラブルに見舞われた。同社はこれにより何百万ドルという損失を被った可能性がある。もしあなたが所有する店舗で決済が不能になったら、一体どうするだろうか?

スターバックスは何をすべきかはっきり理解していた。異常事態にもかかわらず、ほぼ通常通りの店舗運営を続けたのだ。同社は以下の公式声明を発表し、現状と今後の対応を説明した。

「通常業務の一環として、夜間に米国・カナダの店舗レジに技術アップデートをインストールしました。一部の店舗はまだオフライン状態ですが、営業の全面的再開に向け迅速に対応しています。店舗は復旧作業中も開店し、パートナー(従業員)は通常通り、可能な限り最高の体験を提供するようお客様に対応してまいります」

興味深いのは、休業はしないとした最後の文だ。実際に大半の店舗は営業を続けた。つまりドリンクを提供したものの、代金は受け取らなかったということだ。なぜだろう?

それは、顧客対応が時には利益よりも重要だからだ。

スターバックスは、自社の企業理念「人々の心を豊かで活力あるものにするために--ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」を実践している。同社の米国版ウェブサイトには、スターバックスの存在意義を示す次の文章がある。

「私たちは毎日、次の2つのことを願いながら職場に向かっています。友人たちと素晴らしいコーヒーを共有すること。そして世界を少しだけ良い場所にすること。これは1971年の創業当時から、今も変わらず引き継がれています」

店舗を閉鎖していれば、売り上げに数百万ドルの損失が出たことは間違いない。一方で、店舗スタッフの勤務を継続し、コーヒーなどのドリンクを無料提供しても、数百万ドルを失う可能性があった。それでもスターバックスは企業理念を守り、自社のアイデンティティーに忠実でいることを選んだ。

これは、米百貨店大手ノードストロームの伝説的な顧客対応事例と肩を並べる対応だ。

1975年、ある顧客が使用済みタイヤ一式を返品しようとしたところ、購入したタイヤ店は閉店し、代わりにノードストロームが開店していた。同社がタイヤを売ったことは一度もないものの、対応に当たった店員が返品に応じ、代金を返却した。

この対応が正しかったかどうかは別として、顧客対応への真の熱意を示しているのは確かだ。

米CBSテレビは「無料のコーヒーを提供していたスターバックス店舗で長蛇の列ができた」と報道。ツイッターやフェイスブックなどにも、コーヒーの無料提供に関する投稿が相次ぎ、一部は全国レベルのニュースで紹介された。

英語には「人生からレモンが与えられたら、レモネードを作ること」ということわざがある。すっぱいレモンのような苦難を、レモネードのような甘いものに変えようという意味だ。

スターバックスにとって、決済システムの障害はレモンだった。そして、客の喜ぶ姿や、ちょっとした宣伝効果がレモネードだった。真に顧客志向の会社がどう行動すべきかを示したスターバックスを称賛したい。