社会問題を一枚に収めた - 「恐怖の家族写真」中国の将来が一目瞭然

写真拡大

 最近、中国のインターネット上で論争を呼んだ、ある家族の集合写真。高齢の家族に囲まれたひとりの若者が映っている。急速に進む少子高齢化社会で、将来、年老いた家族を数人も養っていかなければならない青年の不安やプレッシャーを、一枚に収めたものだ。画像は何度も転載され、コメント欄には共産党の「一人っ子政策」についての批判が相次いだ。

写真投稿者「一人っ子政策を最も順守してきた家族だ」

 5月15日に、短文投稿サイト・微博ユーザーの「逸事拾遺」が投稿した写真には、一人の20代の青年が最前列中央に立ち、後ろに50代と思われる両親と、祖父2人と祖母1人、曾祖父母2人が写っている。

 同ユーザーは、この写真を「江蘇省如東県で『一人っ子政策』を最も順守してきた家族だ」と政策批判ともとれるコメントをつけて投稿した。

 写真に写っている両親やおじいさんらは少し微笑んでいるが、青年は無表情だ。ネットユーザーらは、将来1人で7人の高齢者を養わなければならないことに重荷を感じているのではないかとの声が挙がった。

 青年の置かれている立場を、他人事とは思えないという若者たちが意見を残している。「(将来が)非常に怖い」「写真を見るだけで、(自分も)すごく負担を感じた」。また、これまで実施された「一人っ子政策」を非難した人も多くいた。

 いっぽう17日、微博に、自分は写真に映る青年だと名乗るネットユーザーが現れ、当時の状況を説明した。「写真は3、4年前に、カメラマンから親孝行のテーマで写真を撮りたいと告げられて撮ったもの。他の兄弟や親戚は映っていないが、近くにいた」「一人っ子政策とは無関係だ」と、ネットに浮かんだ懸念について払しょくしようとした。

 これについて、ネットユーザーらは、青年は地方政府から圧力をかけられていると推測している。家族を収めた写真が「一人っ子政策」を批判する意図があったかどうかにかかわらず、近い将来に迫る社会問題を映し出したとの意見が多数、コメント欄に寄せられた。

少子高齢化への対策遅れ 古くからの観念も負い目に

 中国当局が1978年から実施してきた一人っ子政策によって、現在10代、20代、30代の若い世代には兄弟がいない。急速に進む高齢化で、中国では老齢化対策、年金制度の完全化、老齢者介護支援サービスが追いついていない。また「年老いた親の面倒を子が見る」との伝統的な考え方が根強いため、多くの人は一人で、自分の両親と祖父母、さらに曾祖父母を加えると、最多で6人の高齢者を養っていかなければならない。

 中国当局は2016年1月に、「一人っ子政策」を廃止し、国民に2人目の子を産むことを許可した。しかし、都市部での生活コストが高すぎて、子供2人は育てられないとの理由で、2人目の子供の出産を拒む家族は多い。

 現在、中国では60歳以上の人口は2億3000万人を超えた。また、国家統計局の最新統計によると、過去1年間で60歳以上の国民人数は新たに886万人増えた。毎日約2万4000人が増加したという計算になる。

 国内ポータルサイト「捜狐網」によると、この話題になった家族写真は、2014年に国営新華社通信が報じた高齢化に関する記事に掲載されたもので、同年7月23日に撮影されたものだという。記事によると、中央に映っていた青年は20歳の大学生で、名前は劉心雨さん。「劉君は将来、潜在的な高齢者扶養圧力に直面するだろう」と同紙は書いている。

(翻訳編集・張哲)