世界初の全自動衣類折りたたみ機「ランドロイド」(「セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ HP」より)

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●進行する家事の自動化

 一般に家事といえば、炊事・洗濯・掃除。その昔はすべて手作業であったが、今日、炊事においては電子レンジをはじめとする調理用家電や食器洗い機が広く普及し、炊事にかかる時間は大きく短縮している。洗濯は基本的に全自動だし、乾燥機も手が届く値段となり、洗濯にかかる手間はだいぶ軽くなった。最近では、掃除に関しても、人工知能を搭載し室内を移動しながら床を掃除するロボットが各家庭に普及しつつあり、いわゆる「家事」と呼ばれるものにかかる時間は、テクノロジーの進化とともに劇的に短縮している。

 一方で、家事のなかで、これまでどうしても自動化が進まなかったのが、乾いた洗濯物を「たたんで収納する」という作業。洗濯物は一般に、サイズ、素材、形状がさまざまで、折りたたみ方も複数あるうえ、作業中に要所要所で人間の判断が必要となり、それがゆえにこれまでなかなか自動化が進まなかった。

●洗濯物をたたんでくれるロボット「ランドロイド」

 しかし、いよいよその聖域に挑戦するテクノロジーが登場した。セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズが、パナソニック、大和ハウスと共同開発した「ランドロイド」だ。ずばり、世界初の洗濯物をたたんでくれるロボットである。

 2005年に開発を開始してから足掛け10年以上の年月をかけ、17年5月末にいよいよ販売開始となる。今回は、そのランドロイドにスポットライトを当ててみることにした。

●最新技術が結集した画期的商品

 ランドロイドは、画像解析、ロボティクス、人工知能の技術を融合した世界初の全自動衣類折りたたみ機。具体的には、衣類1枚ずつに対して、つかむ→広げる→折りたたむ→仕分ける→収納する、という流れで対応する。乾燥した衣類を機械本体に投入するだけで、本体が衣類を画像解析して、各衣類に最適な方法を選び折りたたんでくれるという。

 洗濯物をたたむ作業のすべてを自動で行えるだけでなく、衣類の種類ごとや持ち主別に仕分けをすることもできるという。使えば使うほど本体に搭載した人工知能が学習し、データベースも高精度化していくため、「カイゼン」ができるロボットでもある。

●主婦の労働時間をさらに短縮

 セブン・ドリーマーズの説明によると、主婦が人生のなかで洗濯物の折りたたみに使う時間は9,000時間だそうで(計算の根拠は不明)、その時間を解放する、というのがふれこみだ。

 現段階では、洗濯物を1枚たたむのに10分ほどの時間を要する。実際には寝る前に洗濯ものを投入して、朝起きる頃にはたたみ上がっているといった使い方になりそうだ。また、ハードウェアは完成しているものの、ソフトウェアは開発最終段階のベータ版の段階。今後、定期的なソフトウェアのアップデートにより、常に最新の状態で利用できるようになるという。

 本体サイズは大型冷蔵庫くらいあり、マンションに置くにはやや大きすぎる感もあるが、デザイン性も高く、インテリアの一つとして考えれば、悪くはないだろう。

 気になるお値段であるが、現在公表されている情報では、5月の売り出し価格は185万円。ただし、あくまでもリリース時の値段であり、今後普及すれば当然より安く、よりコンパクト、より高性能になるのは間違いない。

●費用対効果をどう考えるか

 セブン・ドリーマーズの発表によると、将来的には洗濯乾燥機とのセットで30万円くらいまで下げる予定とのこと。

 これを筆者なりに計算してみる。たとえば主婦が洗濯ものの折りたたみに、3日に一回30分(1日平均10分)使うと仮定すると、1年で3,650分、時間にして約60時間。たとえば主婦の時給を1,000円としても、6万円/年の価値になり、5年で元が取れる試算となる。所帯が大きく、1日20分折りたたみに時間をかけている主婦の場合は、2.5年で投資回収だ。

 今後、人の価値は高く、モノの価値は低くなる社会において、この試算をみる限り、これが実現した世界観は決して違和感のあるものではないだろう。

●ランドロイドから考えさせられること

 ランドロイドが実現した背景を、冒頭では「画像解析、ロボティクス、人工知能の融合」と表現しているが、それぞれを人間にたとえると、画像解析は「眼」、ロボティクスは「手足」、人工知能は「脳」と考えられる。とくに、「脳」の機能をつかさどる人工知能の進化が、ここでもイノベーションを加速していることがわかる。

 つまり、人工知能の進化により、ここでもまた「人間しかできなかった作業をロボットが代替する」という流れが起こっているのだ。

 ただし、人工知能の発達を、いわゆる「人間の仕事を奪う」ものとして警戒する論調が強いなかで、「主婦の時間を解放する」という目的で人工知能を表現しているのが興味深い。人工知能脅威論よりも、人工知能との共存論を訴えているのである。

 人間が一生に使える時間は有限である。その有限な時間を有効に、かつ人間らしく使うために人工知能を活用する考え方には希望を感じる。ランドロイドのリリースにより、人工知能と人間の関わり方を改めて考えさせられた。
(文=星野達也/ノーリツプレシジョン株式会社 代表取締役社長、ナインシグマ・ジャパン顧問)