金融工学はコンピューターサイエンスと結びつき、ウォール街のトレードの多くを人間ではなくコンピューターが行う時代になっています。金融の世界で主役に踊り出た、トレードを行うコンピューターのアルゴリズムを構築する「クオンツ」について、ウォール・ストリート・ジャーナルが分かりやすいムービーを作成して説明しています。

What's an Algorithm, and How Do Quants Use Them?

株式市場に参加したいのですか?



そんなあなたは、ウォールストリート(金融街)の権力者に出会うでしょう。それは「アルゴリズム」です。



アルゴリズムはコンピューターが何かを行うための「規則」であり、決定したり判断を下したりするときに役立つものです。



例えば、金融機関が個人の信用力を図る「クレジットスコア」の算出について考えてみましょう。



クレジットスコアの算出では、アルゴリズムは住宅ローン残高やクレジットカードの負債など、さまざまな個人情報から個人の格付けを行います。



また、資産運用のアドバイザーが顧客のポートフォリオを組むときには……



どの金融商品にどれだけのお金を投資するかの判断をするために、アルゴリズムを用いています。



そのアルゴリズムによる判断は、年齢から奨学金のローン残高に至るまで、個人のあらゆる情報をベースに行われます。



しかし、ウォール街のコンピューターエンジニアこそがコンピューター・アルゴリズムの最先端です。



「Quantitative」(定量的)な判断をするFirm(企業)という語から……



略して「Quants」(クオンツ)と呼ばれます。クオンツは、金融工学に裏打ちされたアルゴリズムによる分析・予想行為や、それを行う専門家を指します



クオンツは直感的な予想の代わりにアルゴリズムを用います。そして、毎日数百万回もの取引を行っています。



今や、ウォール街で行われる株式取引の27.1%がクオンツによるもの。



2013年には13.6%だったことからも、ウォール街でのクオンツの影響力の急拡大はよくわかります。



クオンツは、「人間のトレーダーならばどのような行動を採るか?」を予測するアルゴリズムを構築します。



その目的はもちろん、人間のトレーダーを打ち負かして利益を得るためです。



しかし、クオンツによるアルゴリズムが取引市場に与える影響力の大きさを懸念する声もあります。



2007年のサブプライムローン問題では、大手金融会社のクオンツファンドが多額の損失を計上したことは記憶に新しいところです。



2010年にダウ工業株30種平均が、わずか数分間で9%も急落するという「フラッシュクラッシュ」を起こしたことことは、アルゴリズムによる取引のリスクを明らかにしたものです。



アルゴリズムによる取引が拡大することは、数千もの失業を生むことでもあります。2025年までに金融業界で職を失う人は数十万人との予想もあります。



この予想が出されたのは10年前であり、その未来は2017年の「今」です。



人間を置き換える金融取引がどうなっていくのかは、アルゴリズムでさえ予想できないかもしれません。



・おまけ

クオンツに関するドキュメンタリーとして、「Quants - The Alchemists of Wall Street(クオンツ-ウォール街の錬金術師)」がYouTubeで公開され、アルゴリズムが人間の経済活動を定量化しようとする数学的モデルと、それに伴う莫大なリスクについて検証されています。

Quants - The Alchemists of Wall Street - (vpro backlight documentary - 2010) - YouTube

また、ウォール街におけるクオンツの実態については、以下の書籍で解説されています。

物理学者、ウォール街を往く。―クオンツへの転進 | エマニュエル ダーマン, Emanuel Derman, 森谷 博之, 長坂 陽子, 船見 侑生 |本 | 通販 | Amazon



ザ・クオンツ 世界経済を破壊した天才たち | スコット・パタースン, 永峯 涼 |本 | 通販 | Amazon