【U-20日本代表コラム】適応能力の高さを見せた守備の要・冨安健洋の伸び代

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▽5大会ぶりにU-20W杯に出場を果たしたU-20日本代表。東京オリンピック世代ということ、そして2世代を超えて招集されたFW久保建英(FC東京 U-18)の招集もあり、これまで以上にも大きな期待が寄せられている中、初戦となったU-20南アフリカ代表戦を1-2で制した。

▽長年に渡り、この世代でのアジア予選を勝ち抜くことができなかった日本だったが、昨年行われたAFC U-19選手権を無失点、無敗で初制覇。2007年以来の本大会出場を決めた。

▽予選を無失点で終えていた日本だったが、南アフリカ戦では先手を奪われる。7分、一瞬の隙を突かれると、マージマンが最終ラインのズレを生かして裏に抜け、そのままゴールを奪い切った。思わぬ先制点を許してしまった日本。「予測以上の個々のスピードがあった」と試合後に内山篤監督が語ったように、想定を超える瞬発力の前に、ディフェンスラインを突破されてしまった。

▽前半は最終ライン裏へのロングボールに苦労し、全体をコンパクトに保ちたい日本としては、厄介な相手となった。ラインを高く設定しても、長い距離のスプリントで勝つことができず、ボックス付近まで簡単にボールを運ばれていた。

▽チャンスこそ多く作られていた日本だったが、徐々に南アフリカのスピードにも慣れが見えてくる。ロングフィードに対するカバーリング、サイドバックの絞りなどが時間の経過とともに改善され、南アフリカに攻め込まれるものの、1ゴールに抑えた。

▽この試合で特筆すべきは、センターバックでDF中山雄太(柏レイソル)とコンビを組んだDF冨安健洋(アビスパ福岡)の2人だ。冨安は試合が進むごとにレベルアップしている印象さえ受けた。内山監督も「修正能力が非常に高い」と評価したように、失点以降は南アフリカのエースであるシング相手にも臆することなく対応。ゴールを許さず、封じ込めることに成功した。

▽確かに、これまでのアジアでの戦いとは違い、裏を取られるシーンが多かった。エコパスタジアムで行われたU-20ホンジュラス代表との親善試合での失敗も生きたように思う。日本でプレーしているだけでは感じにくい足の伸びや、出足の早さ、瞬発力…前半の南アフリカは日本を大きく上回っていた。

▽後半の中盤にも南アフリカに押し込まれる時間帯が続いた。右サイドバックのDF初瀬亮(ガンバ大阪)が積極的に攻め上がる一方で、南アフリカは裏のスペースにロングボールを蹴り、アフリカユース選手権で得点王にも輝いたエースのシングを走らせた。しかし、冨安は前半とは違いしっかりとこれに対応。身体の寄せ方や、相手との間合い、スペースのケアなどが改善されていた。

▽冨安は「試合の中で相手のスピードにも慣れて対応できる部分はあった」と語っており、前半はバタつく印象があった相手の攻撃への対応も、後半は安定感を見せていた。南アフリカのロングボールに関しては、J1に比べてロングボールが多いJ2で戦っている経験も生きたかもしれない。

▽さらに、守備だけでなく繋ぐ意識もしっかりと持ち、ビルドアップにも貢献。相手に囲まれながらも、蹴り出す場面は少なかった。後半は、ボランチとしてもプレーできる冨安の良さを随所に見ることができた。

▽初戦の勝利は、U-20日本代表のチームとってはもちろん、各選手にとっても大きな経験となったはずだ。そして、未知数の南アフリカのスピードにしっかりと適応できた冨安にとっても大きな経験となったはず。「もっと早く対応できれば良かった」とさらなる成長を口にしたことを考えても、未来は明るい。

▽この先は、ウルグアイ、イタリアとさらにレベルが高い相手との対戦が待っている。初戦での逆転勝利も去ることながら、世界との対戦で大きな伸び代を見せてくれた冨安。今大会中にどれだけ大きく成長するのかワクワクが止まらない。

《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》