猪瀬直樹氏(2013年5月J-CASTニュース編集部撮影)

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「息の根を止めなければいけない」。猪瀬直樹・元東京都知事(70)が、「都議会のドン」と呼ばれる内田茂・都議会議員(78)に対する強烈な敵意をツイッター上で表明した。

2017年夏の都議会選挙に立候補しないと表明した内田氏は、後継者として会社員の中村彩氏(27)を擁立する予定だが、その中村氏が今回の猪瀬氏のツイートに反応した。都議選の告示日まであと1か月。猪瀬氏はかつては支援を受け、その後、知事の座を追われた自民党への敵意をむき出しにしている。

「都議会のドンは出馬しないが引退したわけではない」

猪瀬氏は17年5月21日夜、「都議会のドンは出馬しないが引退したわけではない。一人区の千代田区で自分の代わりに女性候補を立て満面の笑みを浮かべている。息の根を止めなければいけない。それをやるのは有権者一人一人だ」と敵意むき出しでツイートした。「満面の笑み」を浮かべる内田氏と、中村氏が街宣車に乗って手を振っている写真を同時に投稿している。この日の日中、中村氏は内田氏とともに、初の街頭演説を行っていた。

内田氏は17年2月、今夏6月23日告示(7月2日投開票)の都議選に立候補しない意向を表明した。7期にわたって当選してきた千代田区選挙区には、日本取引所グループの会社員である中村氏を擁立する。2人は51歳差あり、世代交代とともに、「ドン」の印象を刷新して自民都連のイメージアップを狙ったとの見方が少なくない。

この猪瀬氏の投稿からものの15分と経たないうちに当の中村氏がツイッターで反応した。

「猪瀬先生こんばんは。中村あやです。まさにその女性候補本人です」

と切り出した後、

「内田氏のことを批判するのは自由です。ただ公募で色々な方の目を通して選出され、内田先生に対しても一都民と同じ感覚を抱いていた私が、権力・圧力に屈しない政治を行うために立ち上がったので、その点はご理解いただきたく存じます」

と猪瀬氏に反論した。

内田茂を喚問しないなら、百条委員会はとんだ茶番劇」

猪瀬氏は12年12月、副知事から石原慎太郎氏の後を継いで自民党などの支援を受けて都知事選に当選。だが13年11月、医療法人徳洲会グループから政治資金報告書に記載のないまま5000万円を受領したことが発覚し、同年12月に都知事を辞任した。この間、自民都連からも強く批判を受けた経緯がある。

こうしたこともあり、猪瀬氏はその後自民党都連に対する批判を強め、16年7月に行われた先の都知事選では、内田氏への「恨み」とも取れる批判的な発言を繰り返してきた。

特に同月6日に「NEWS PICKS」上に投稿したコメントでは、「内田茂自民党都連幹事長は既得権益の権化として都議会に10数年君臨してきた」「自民党都連会長は石原伸晃(当時)だが、会長は帽子で国会議員や都議会議員の公認権は都連幹事長の内田が握っている」「問題はメディアである。都庁記者クラブは社会部で若い記者の通過場所で深堀がない。都庁の人事情報などを入手するため内田詣が慣例となっている」と内田氏を何度も名指ししながら、都議会、自民都連、メディアに対しても絶大な影響力を及ぼしていると主張した。

都知事選投開票が行われた同月31日夜、テレビ東京の選挙特番に出演した猪瀬氏は、内田氏を念頭に「(都知事の在職中は)ボス政治にぶち当たった」と発言。所属する自民党の推薦を得ずに立候補し、当選した小池百合子都知事に対して「戦争になると思う」と激励している。

最近では、築地市場の豊洲移転問題を受けて17年3月に行われた都議会百条委員会に際して同月11日未明、「都議会百条委員会が始まるようですが、初めは90年代の副知事、東京ガスなど、1週間後に石原(編注:慎太郎・元都知事)さん。もし石原さんをもてあそぶだけで終わり、『都議会のドン』内田茂を喚問しないなら、百条委員会はとんだ茶番劇ということになります」と引き合いに出していた。