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NTTドコモは22日、次世代通信規格「5G」(ファイブジー)を使ったサービスが体験できるトライアルサイトを、東京スカイツリーエリアで開始した。NTTドコモと東武鉄道が2016年11月に合意した、5Gサービス創出に向けた協業に基づく取り組みだ。5Gは2020年の商用サービス開始を目指し、各通信事業者や端末メーカーなどが現在開発を進めている。

5Gトライアルサイトでは、第1弾として、東京スカイツリー展望デッキに設置した4Kカメラ6台の180度ライブ映像を、リアルタイムで東京ソラマチ イーストヤード1Fに設置した大型液晶ディスプレイ3面に配信する。最上階から1Fまでは有線で伝送するが、1Fに届いたデータをディスプレイ近くまで5Gで伝送する形だ。

また、東武鉄道の新型特急車両「リバティ」で運転席から事前に撮影した4K映像を、5Gを経由して特急リバティ車内にある8台のタブレットで同時再生するデモンストレーションもメディア向けに実施した。

NTTドコモでは、今回の実証実験を通じて、5Gの特徴である「高速・大容量通信」「低遅延」「多数端末接続」の体験と、5Gを活用した新しいサービス、コンテンツの創出につなげていく。

○特急リバティ+5G

特急リバティでは、5Gを使った多数端末の同時接続デモンストレーションがメディア向けに行われた。特急リバティは、東武鉄道の特急列車「500系」の愛称。2017年4月21日に運行開始したばかりの新しい列車で、無料Wi-Fiやコンセント、AEDを車内に設置するなど、先進的な設備を備えている。

特急リバティの5G実証実験では、車内の8座席に配置した計8台のタブレットに、4K映像をストリーミングで同時配信した。今回のデモンストレーションでは実際に特急リバティは動かず、停止した中でのデモだったが、将来的には列車内で高精細の動画を観賞しながら移動するという、移動時間・空間の充実を目指すという。

データの配信には28GHz帯という高周波数帯(帯域幅は800MHz)を使用。5G伝送装置(基地局)に特急リバティ前方風景の4K映像を入れたサーバを搭載し、この4K映像を、特急リバティ付近に設置した5G伝送装置(移動局)に5Gを使い転送。ここから有線で車内のルータまで映像データを伝送し、ルータから車内のタブレット端末8台へ配信する。

データは18Mbpsの通信速度で送信しており、担当者は「5Gでは余裕」と話す。車内のルータと8台の端末は5GHz帯のWi-Fi(IEEE802.11ac)で接続し、各端末で実効150Mbpsほどが出ているという。今回の実験では、車内ルータと端末はWi-Fiで接続したが、5G伝送基地局から各端末を直接接続することも可能で、実際のサービス開始では「どちらの方法もあり得る」という。

○東京スカイツリー+5G

東京スカイツリー5G実証実験では、5Gを使用した8Kでのライブ配信に加え、展望デッキ フロア340に4Kカメラ6台を設置し、東京ソラマチ 1Fに置いた4Kディスプレイ3画面へ180度リアルタイム映像配信を実施。この4K映像は来場者が自由に視聴できる。

展望デッキに設置した6台の4Kカメラは外の映像を360度カバーし、4K 30fpsで記録。22日は、スカイツリーの北側180度の眺望を、東京ソラマチ 1Fに設置した4Kディスプレイ3画面に配信する。映像は展望デッキから有線で1Fまで送られ、5G伝送装置(基地局)で受信。そして5Gを使い5G伝送装置(移動局)に送られた後、有線でディスプレイ側へ送られる。

データの送信には4.5GHz帯を使用。4Kカメラ1基で30Mbpsほどが映像伝送に使用され、単純計算で6基の映像伝送で180Mbpsとなる。今回使用したシステム構成では実効2.5Gpsほどの通信速度が出せるといい、こちらも通信能力に余裕のある構成となっている。

2017年2月にスペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress(MWC) 2017」でNTTドコモは、VRヘッドセットを装着し、5G技術でアームロボットをワイヤレス操作する、というデモンストレーションを披露していた。今回、映像配信という方法をとったのは、東京スカイツリーとの連携に加え、(個人に装着するVRヘッドセットではできない)多くの来場者に楽しんでもらう意図があるという。

○5Gを活かした新サービスをどう創出していくか - 吉澤社長

「5Gトライアルサイト」発表会に登壇したNTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏は、5Gの実証実験を「単にネットワークの速さや大容量通信を確認する場ではない」とコメント。「パートナーと、どういう新しいサービスが(5Gと)融合できるか、ビジネスに進化できるかが非常に意味がある」と、ビジネス上で5Gという環境をどう活かせるかが重要だとした。

発表会が開催された5月22日は、東京スカイツリーのオープンからちょうど5年。東武鉄道 取締役社長の根津嘉澄氏は、「今日は非常にいい天気で嬉しい。5年前のオープンは土砂降りだった」と笑いを誘いつつ、「(スカイツリーエリアが)実証実験のフィールドになることは、我々が取り組んできたスカイツリータウン構想の延長線上にある。現行のリソースに先進的な技術を取り入れることで、5Gの特徴、環境を活かした新たなアプリや、今までにない多様なサービスの創出が可能となる」と期待をみせた。