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東北大学は5月22日、室温で動作する、高感度・高分解能の強磁性トンネル接合(MTJ)生体磁場センサの高出力化に成功したと発表した。高出力が期待できる新材料および新素子構造を適用することにより、従来のMTJセンサと比較して、1500倍の出力向上を実現しているという。

同成果は、東北大学大学院工学研究科応用物理学専攻 安藤康夫教授らのグループによるもので、5月22日〜23日に行われる「Biomagnetic Sendai 2017」の本会議およびそのサテライトミーティングにおいて論文発表される。

MTJ素子は、厚さ数nm以下の絶縁体あるいはトンネル障壁を2枚の強磁性体の電極で挟んだ構造をしており、心磁計、脳磁計への応用が期待されている。MTJ素子を利用したセンサは室温動作が可能であり、密着型で小型化できるという点がメリット。加えて、MTJ素子の出力は素子の大きさに依存しない、すなわち微細に加工しても感度が劣化することがないため、センサ素子を体表面に密着させ、素子の占有密度を向上させることで、空間分解能を向上させることが可能となる。

同研究グループはこれまでに、低ノイズのMTJ素子と低ノイズ回路を開発することにより、MTJセンサで測定したデータを数百回積算することで、心臓磁場の検出に成功していた。しかしながら、心磁場をリアルタイムで計測する、または、より微小な脳磁場を検出するためにはセンサの感度が大幅に不足していることが課題となっていた。

今回の研究では、新材料開発、集積化技術の向上、磁束収束構造の適用により、従来センサ素子の1500倍に及ぶセンサ出力上昇を達成。これまでに開発を終えている低ノイズアンプと同素子を組み合わせることにより、約15倍の感度向上が期待できる。これは、心磁図測定に際してデータを繰り返し積算する必要がなく、リアルタイムで計測することが可能な感度となる。

また、同技術を用いることで、超低磁場室温核磁気共鳴(NMR)の観測にも成功した。現段階ではプロトンの磁気共鳴信号の観測のみであるが、同研究グループは、今後、MTJセンサを使用した画期的な磁気共鳴画像診断法(MRI)の実現へとつながる可能性があると説明している。