連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第6週「椰子の実たちの夢」第42回 5月20日(土)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:福岡利武


42話はこんな話


奥茨城村では、お母さんたちの“女子会”が行われた。

土曜日は特別な時間


「ひよっこ」の土曜日は、いつも少しだけ雰囲気が違う。
42話の母たちの女子トークや、6話の稲刈り、18話のバスの車掌(松尾諭)の仕事の誇り、36話の食堂ではじめてのビーコロ(ビーフコロッケ)など、なんだかほっこりする話が多い。1週間のまとめのように、たとえ月から金まで観ていなくても、独立して楽しめるようなつくりになっている。
そのせいか、朝ドラは土曜日の視聴率が低いと認識されていたが、「ひよっこ」は逆に、土曜日だけ20%台になる逆転現象も起きている。
お休みのひとが多い土曜日の朝は、特別な時間。ドラマも特別な時間を描く工夫が、新たな視聴習慣を生んでいるのかもしれない。

「革命おこしたんだねえ」


三男(泉澤祐希)の母きよ(柴田理恵)、時子(佐久間由衣)の母・君子(羽田美智子)、みね子(有村架純)の母・美代子(木村佳乃)が、集まった。
その様子に、「あれはなんなんですかね 必要なんですよね 女子にとっては」。引いてしまう人の「気持ちもわからないではないですよね」と増田明美のナレーションがかぶる。

仕事があるにもかかわらず、(何があっても)「私は行く」ときっぱりしてきたきよ。
それを「革命だねえ」と盛り上がる母3人。
こういう、ささやかな「革命」の積み重ねが、女性を変えてきたのかもしれない。

土曜日に視聴率をあげる、それも朝ドラのささやかな革命かもしれない。

落ちんるんだ、亭主は


おしゃべりのなかで亭主の話が出てくると、きよは、夫が行方不明中の美代子のことを気して、亭主の話をするとき、どういうふうに気を使ったらいいかね? と気にする。
だが、美代子は、気い使われるのはいやだと笑顔で返す。
そのまま、気にせず、君子が、亭主が、落とし穴に落ちた話をして、「落ちたのが、亭主で良かったよ」「落ちるんだ、亭主は」「肥溜めにも落ちるんだ」と3人は大笑い。
ここでも、ささやかな、夫(男)下げが起こる。
朝ドラではよく、女性が高いとこに登ったり、川か海に落ちたりするが、「ひよっこ」では、男が落ちる話、女がして、笑い飛ばした。
しかも、「亭主」である。名前で呼ばないのだ。ちなみに、君子の亭主は正二(遠山俊也)。
例えば、野田秀樹の戯曲「赤鬼」や「THE BEE」は、男役には名前がついているが、女性は、「あの女」や「妻」など、固有の名前が出てこない。これには、男性が優位な時代があったこと、いまだって完全に同等ではないこともある、そういう現実を思わせるが、「ひよっこ」は、女性だって男を「亭主」くくりにすることがあるることを描く。ただ、「亭主」とは、家の主。名前では呼ばないけれど、家の主人であることからは逃れることはできない皮肉も感じてしまう。
発売中の、「みんなの朝ドラ」では、朝ドラがどのように歴史の中で女性の男性の違いを描いてきたかも考察しています。


「みね子じゃなくて猫みたい」


愛情たっぷりに子供たちの話をする母3人。
例えば、みね子は「猫」みたいと思われてるような子だったらしい。
亭主のことより、娘のことを思って涙ぐむ美代子。
「お母ちゃんみたいになりたい」って言ってたと君子が言うものだから、感極まってしまう。
遠くで働く子どもたちのことを想像するだけで胸がきゅーとなって、子供が悲しい思いをするのいやだよ、と大泣きしはじめ、泣きながらご飯を頬張る母3人。

この母たちの女子会だけで10分間を使った。すごい。

みね子じゃなくて猫みたいなだあ


1965年夏。
長らく(10分間)待たせた主人公の場面は、汗ばむ女工さん姿がちょっと色っぽい、ある意味サービスシーン。
工場での生活も慣れ、みね子はしっかりしてきた。
「あんたはもう少し向上心をもちなさい」と澄子(松本穂香)に注意するほどだ。
その後、衝撃のモノローグ!

「おとうさん、ごめんなさい、私、お父さんのことを考える時間が減ってきた気がします」

東京へ来て変わっていくみね子。
ひとは何かしら手放しながら、前へと進んでいく。
おとうさんに関して手がかりがないのだから仕方ない・・・とその矢先、忘れるなとばかり、実(沢村一樹)が! この間、みね子が探し歩いていた商店街を歩いているではないか。
これはみね子の見た幻か。それとも・・・。

でも、予告は、陽気な青春編ぽい。どうなる「ひよっこ」!
(木俣冬/「みんなの朝ドラ」発売中)