映画の世界でよく登場する立体映像技術のホログラムは、ディスプレイに変わる近未来の映像装置として開発が進んでいます。Microsoft研究所が発表した、メガネ型のレンズ付き端末を通すことで、ホログラフィーを出力できる技術「Holographic Near-Eye Displays」では、高解像度でフルカラーのホログラムを出力でき、近視・遠視・乱視などの視力矯正を必要とする人でも裸眼でくっきりとしたホログラムを見ることができます。

Holographic Near-Eye Displays for Virtual and Augmented Reality - Microsoft Research

https://www.microsoft.com/en-us/research/project/holographic-near-eye-displays-virtual-augmented-reality/

メガネタイプのホログラムディスプレイ「Holographic Near-Eye Displays」がどんな端末なのかは以下のムービーで解説されています。

Holographic Near-Eye Displays for Virtual and Augmented Reality - YouTube

このメガネ型の端末が「Holographic Near-Eye Displays」。3Dプリンターで出力されたメガネは、両サイドのツルにレーザー発生装置があり、ディスプレイ上にホログラフィーを投影することができます。



ホログラムの原理自体は従来の技術と同様で、異なる深度情報を持たせた複数のSub-hologramを合成して立体視できるようにしているとのこと。



しかし、Holographic Near-Eye Displaysは広い視野を持ち、ピクセル単位で焦点を変更できる点で従来のホログラム端末とは大きく異なります。



高解像度のホログラフィーは、最大260Hzでフルカラー出力可能。また、水平方向の視野は70度を確保しています。



レーザーの情報はGPUを使って高速レンダリング処理しているとのこと。



高性能なGPUレンダリングによって、リアルタイムのホログラフィー出力が可能。3Dモデルをヌルヌル動かす様子がムービーでは確認できます。



Holographic Near-Eye Displaysはピクセル単位で焦点を変更することが可能。近視や遠視の人でも焦点距離を調整することで、メガネで矯正することなくHolographic Near-Eye Displays単体で視力を矯正することができます。



十字カーソルを合わせた部分の焦点を合わせて、他の部分を深度に応じて自然にぼかすことも可能です。



下の画像は、左が正常な視力を有する人が見た場合の画像イメージで、小さな文字でもくっきり読み取ることができます。一方、右は乱視の場合の画像イメージで、文字は水平方向・垂直方向にぼやけてしまいます。



Holographic Near-Eye Displaysは、乱視の矯正が可能。左が正常な視界、右が乱視の視界を再現したものですが……



Holographic Near-Eye Displaysのソフトウェア処理では、最も右の画像の通り、乱視の画像の乱れを正常な視力と同等レベルで修正することができます。



さらに、Holographic Near-Eye Displaysは収差を修正することも可能。左の画像は収差によって水平・垂直方向の線に歪みが生じてしまっていますが、Microsoftの技術を使えば右の通り収差による出力画像の乱れを取り除くことができます。



Holographic Near-Eye Displaysでデスクの上に龍のホログラフィーを再現したところ。



架空の壁に文字を出力したところ。拡大した文字のアルファベットの「i」は、「・」と「|」の間はわずか1ピクセルだとのこと。



ムービーにあるとおり、Holographic Near-Eye DisplaysではGPUによってレンダリングすることで、フォーカスをドット単位で自在に変更することが可能です。



さらに一般的なメガネのレンズ上に、片眼で80度の水平視野を確保しており、人間が情報をうまく処理できる範囲内にホログラムを生じさせることができます。



Holographic Near-Eye Displaysでは、NVIDIAのGeForce GTX 980Tiを使って高速レンダリングすることで、従来のホログラフィーにありがちな、ノイズ・低コントラスト・低解像度・単色という欠点を克服するホログラフィー出力に成功しています。HoloLensと違って巨大なヘッドセットではなく、メガネタイプに小型化することに成功しているHolographic Near-Eye Displaysですが、現時点ではホログラフィーの合成には外部PCを使った高速GPUが必要なため、あくまで実験段階にあるとのこと。今後、モバイル端末の性能が向上すれば、メガネをかけるだけでホログラフィーを使ったAR・MR(Mixed Reality)コンテンツを利用できる未来を期待できる技術となっています。