キャプテンとして、不振にあえぐチームを立て直すことができるか。目の前に立ちはだかる壁を「自力で乗り越えたい」と強い決意を口にした。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1リーグ12節]鹿島 0-3 川崎/5月19日(金)/カシマ
 
 DFとして、不甲斐なさを痛感していた。
 
 8節の磐田戦で3失点し、「もう絶対に3失点はしない」と強く心に誓ったはずだったが、ホームに川崎を迎えた一戦で再び、3つのゴールを許す。0-3の完敗。前節・神戸戦も1-2で敗れており、今季初の連敗を喫した。
 
 本音を言えば、ひとりで落ち込んでいたかった。だが、神戸戦に続き、左腕に腕章を巻いてピッチに立った昌子源に、それはできなかった。
 
「試合が終わった後、下を向く選手がすごく多かったように思った。それで、一人ひとりに『切り替えようや』って声をかけて、タッチして。それでみんなが顔を上げてくれたり、少しでもプラスに働いてくれれば、と」
 
 試合に負けた後、キャプテンとして何をすべきか。とにかく、チームとしてテンションが下がり、敗戦を引きずるのは避けたかった。
 
「こういう時こそ、ネガティブになるんじゃなくて。かといって、あからさまにポジティブになるのもちょっとおかしいけど、ネガティブのままだと、自らをもっと苦しくさせると思うから」
 
 次の試合は4日後に迫っている。ACLの決勝トーナメント1回戦のファーストレグ、敵地での広州恒大戦だ。「下を向いて広州に行けば、負けるのが目に見えている」と、危機感を募らせてもいた。
 
「負けた後に、なにすぐ切り替えとんねんって言われるかもしれないけど、でも切り替えるしかないから」
 
 自分のことより、チームのこと、チームの勝利を考えて行動する。「負けた時にどういう振る舞いをするかは、見られる立場になったと思う」と真剣な表情を見せ、「キャプテンマークを巻いたからって、調子に乗りやがってと思われるかもしれないけど」と報道陣の笑いを誘う昌子には、リーダーとしての強い覚悟がある。
 
「自分がキャプテンマークを巻いて、2連敗。これで、キャプテンはもう嫌ですとか、自分がキャプテンをやったら負けると考えたりとか。それは自分自身を弱くすると思う。
 
 自分のやっていることは間違いじゃない。(小笠原)満男さんや、ソガさん(曽ケ端準)の背中を見て、学んできたこと。誰かが違う方向に行こうとしたら引き戻すし、誰かが下を向いていたら『引きずるな、顔をあげろ』と言ってあげたい」
 
 敗因や失点について、「誰かのせいにするのは、すごい簡単。それって正直、かなりカッコ悪い」というスタンスだ。チーム全体で問題点を共有し、修正していこうとする。
 
 チームをまとめる難しさに直面しているが、そこから逃げるつもりはない。「試練を与えられていると思う。突きつけられた高い壁を、自力で乗り越えていかないと」と言葉に力を込める。
 
 もっとも、キャプテンの大役を任されていなくても、同じ行動を取っていたはずだ。
 
「自分は怪我も治って、こうして試合に出させてもらっている。チームを支えないといけない立場にある以上、声を出し続けていきたい」
 
 チームの調子が良ければ、流れに身を任せておけばいい。だが、苦境に立たされた時、事態を好転させるには相当なパワーが必要となる。チームメイトに厳しいことを言わなくてはならない時もあるかもしれないし、メンタル的に強くなくてはならない。
 
 フットボーラーとしての真価が問われている今、「切り替えられたかどうかは、試合でしか証明できない」と勝利を目指す広州恒大戦で、昌子がどんなプレーを見せるのか楽しみでならない。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)