アメリカの隙を突いた北朝鮮のミサイル発射、5月22日のドル円為替

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 北朝鮮が「この状況」で弾道ミサイルを発射した。特筆すべき「この状況」とは3点ある。ひとつは朝鮮半島近郊でアメリカの空母2隻(カールビンソン、ロナルドレーガン)が演習中であること。北朝鮮の挑発行動が軍事衝突につながる危険性は充分考えられる。もうひとつはトランプ大統領が外遊のためアメリカを離れているということ。中東和平交渉のためイスラエル、そしてパレスチナ自治区と訪問し、その後はイタリアでG7首脳会談である。留守とはいえ大統領はエアフォースワンから軍事指示を出すことはできる。さらにもうひとつは、トランプ大統領がアメリカ国内でロシアゲート疑惑により窮地に立たされているということだ。以上の3点を考慮して北朝鮮のミサイル発射が与える影響について考える必要があるだろう。

 市場の反応はどうだろうか。今週はスタートから北朝鮮のミサイル問題が発生し、リスクオフからのドル売りで1ドル110円85銭まで値を下げた。しかしその後はリスク選好のドル買いが入り、1ドル111円49銭まで戻し、先週のクローズ時よりドル高になっている。

 今、世界中の注目を集めているのは、アメリカの政権であり、政策であり、経済状況なのだろう。朝鮮半島問題よりも、ロシアゲート疑惑がどのように解決するのかに一番の関心が寄せられている。

 最悪のシナリオはトランプ大統領が弾劾され、あらゆる政策が宙に浮くことだが、上院・下院ともに共和党が勢力を持っている状態では考えにくいだろう。現実味があるのは、問題が長期化し、その他の法案・改正案などの議会審議が止まり、政策が始まらないことだ。こちらの行き詰まりは、経済の停滞を生む懸念があり、もしかすると織り込み済みになっている感のある6月の追加利上げが見送りになる可能性もある。今週はFOMC議事要旨の公表や1月から3月までのGDP改定値の発表などもあり、トランプ大統領の問題を含めて今後を占う指標になってくるだろう。

 アメリカがナーバスになっている隙を突いてくるような今回の北朝鮮のミサイル発射であったことは間違いない。