カンヌの街と黒沢清監督、松田龍平、長谷川博己

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 現地時間21日、第70回カンヌ国際映画祭ある視点部門に出品されている映画『散歩する侵略者』の公式上映が行われ、タキシード姿で黒沢清監督、長谷川博己と共に登壇した松田龍平が「緊張しています。メルシー(ありがとう)。黒沢さんと長谷川さんの三人で、ここで皆さんとお会いできたことを幸せに思っています」とあいさつして拍手喝采を浴びた。2年前の同部門でも監督賞(『岸辺の旅』)を受賞するなどカンヌではおなじみの黒沢監督と、松田&長谷川は今回が初タッグ。松田は『御法度』以来17年ぶり、長谷川は初のカンヌ参加となった。

 本作は、劇作家・演出家の前川知大が結成した劇団イキウメの舞台を映画化したエンターテインメント作。数日ぶりに妻(長澤まさみ)のもとへと戻ってくるも「侵略者」に体を乗っ取られていた夫(松田)、そしてもう二人の「侵略者」(高杉真宙、恒松祐里)に独占取材を申し込むジャーナリスト(長谷川)の姿を描く。

 上映前に登壇した黒沢監督は「これから観ていただくのは、日本の典型的な娯楽映画だと思っております。笑いもあり、涙もあり、サスペンスもあり、そういう楽しい作品に仕上がっています」と映画を紹介。「ただ、その中にある個性のようなものをカンヌ映画祭が目ざとく発見して、選んでくれたんだなと思います。映画は、俳優やスタッフ、あるいは時代がたった1回だけ出会って、その時限りで作られる芸術です。ですから、そうした個性を発見されるのが映画にとって、一番名誉なことだと僕は考えているんです」と映画祭に感謝した。上映中、観客は食い入るようにスクリーンを見つめ、上映後のスタンディングオベーションでは「ブラボー!」の声が飛び交うなど反応は上々だった。

 上映後に取材に応じた松田は「お客さんの反応を感じながら観るということはなかなかないので、頭の中がぐるぐるしちゃって……。妙な高揚感というか心地の良さがあって、終わった後に『映画ってやっぱりいいな』と思いました」と素晴らしい時間を振り返る。主演する連続ドラマ「小さな巨人」(TBS系)の撮影の合間を縫って1日だけの参加となった長谷川も「本当に来られてよかったなーと。素晴らしい経験をさせていただきました。ありがとうございますと、感謝するしかないです。天気もいいし、最高ですね! 早く一杯やりたいです」と笑顔を見せた。

 上映前のスピーチについては「英語でしゃべってみようとか考えたんですけど、あいさつ程度だと思っていたら黒沢さんがいいお話をされていたので、緊張して、『ファンタスティック!』で終わらせようとしている自分が恥ずかしくて(笑)」と松田。心のままに言うことにしたのが先のスピーチだったという。またこの場に来たいかとの問いには「来たいに決まっているじゃないですか(笑)。連れて来てもらっている身なので、それに恥じない仕事をしないとなと」と即答し、長谷川も「僕もそう思いました。もっとしっかりやらないとなって、あらためて思いました」と応じていた。ある視点部門の受賞結果は27日に発表される。(編集部・市川遥)

映画『散歩する侵略者』は9月9日より全国公開
第70回カンヌ国際映画祭は現地時間28日まで開催