逆転ゴールを決めた堂安律【写真:Getty Images】

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英国人が見たU-20南アフリカ戦

 U-20日本代表は21日、韓国で開催されているU-20ワールドカップのグループステージ第1戦でU-20南アフリカ代表と対戦して2-1で勝利。この試合中、イングランド人ライターのショーン・キャロル氏に随時話を聞いた。

「このような大会に出場するのは成長につながる」「注目は岩崎」

――先発メンバーが発表されました。どんな印象ですか?
「良いメンバーね。中山と冨安がセンターバックのコンビを組むみたいだからベースは強そう。そして、攻撃的な選手も揃っている。三好と堂安はよく岩崎と小川のアタックに参加すると思う」

――日本がU-20W杯に出場するのは2007年カナダ大会以来10年ぶりで、非常に久しぶりです。
「そうですね。このような大会に出場するのは成長につながる。選手は結果よりそれぞれのいい点と課題をしっかり確認できれば良いと思う」

――ちなみにイングランドでこの大会はどの程度注目されているのでしょうか?
「今回はちょっと期待されてますね。普段はプレミアリーグの選手は少ないけど、今回はいろんなクラブが出場許可を出しているからトップレベルの選手も出ているみたい」

――ショーンさんが注目する日本の選手は誰ですか?
「岩崎は面白いと思う。今年のサンガでは良いインパクトを残せている。ベテランの選手はたくさんいるけど、彼は自信を持って責任あるプレーをしています! 僕はプレミアリーグの選手よりJ2の選手の方が詳しいかもしれない(笑)」

――注目の初戦がキックオフ。しかし日本は前半7分、相手FWがDFラインを抜け出したところから失点してしまいました。
「やっぱりオフサイドじゃなかったね」

――今大会はビデオ判定(VAR)が採用されているようなので、正確な判定が下されることになります。
「そうだね。イングランド戦でも使われていて、アルゼンチン選手の退場はVARの判定からだった」

――日本はアジア予選で無失点でしたが、早々に失点してしまいました。
「アジアのサッカーとのスタイルは全然違う。南アフリカは非常にダイレクト。日本はアジアとの試合でこのような選手と戦うことはないね」

若い時にいろんな相手と試合を経験しないと」「チームの連係はスムーズじゃない」

――日本のユース世代は世界大会でいつもアフリカのチームに苦戦を強いられていますね…。
「A代表もそうじゃない? コートジボワール戦(2014年W杯)は忘れられない…。だからこそ、このような大会は重要になる。サッカーは技術やパスサッカーだけじゃなくて、色んな相手がいる。できるだけ若い時にそれを経験しないといけない」

――失点してしまいましたが、日本は岩崎と小川の2トップを中心に反撃を試みています。
「そうだね。失点に対して考え過ぎない方が良いと思う。南アフリカのスタイルはもう分かっているけど、下がり過ぎたら攻撃できない。できるだけ攻めていかないと」

――日本は左SBの舩木と左SHの三好のコンビが積極的にチャンスを演出していますね。舩木のクロスから小川から惜しいヘディングシュートもありました。
「そうですね。チャンスを作ってますが、もしそのようなフィニッシュがもっとあれば…」

――南アフリカは日本よりも身長は低いですが、スピードとフィジカルを駆使してプレーしています。
「日本のポジショニングもあまり良くないけどね。攻撃の時も、特にディフェンスの時も。南アフリカのチャンス(37分にゴール至近距離からシュートを打たれるも枠外に外れたシーン)は決定的だったけど助かった。逆に日本がフィニッシュまでいけているのも南アフリカに助けられているけどね」

――右SBの初瀬亮と右SHの堂安律はともにG大阪のコンビですが、あまり機能していないようですね。
「思ったより機能していない。チーム全体として連係はあまりスムーズじゃない。味方がどこに走るのか、どこにパスするのかを分からないみたい」

「小川のゴールはタイミングが完璧」「久保は自然に成長できれば」

――前半は南アフリカにリードを許して終了しました。前半の印象はどうでしたか?
「典型的な“日本のパフォーマンス”だね。大体ポゼッションはできるけど、大事な時に判断力と決定力がちょっと足りない」

――A代表と同じですね…。
「その問題です。若いときにそうなってしまえば、大人になったらそのスタイルは変えられない…」

――前半で印象に残った選手は誰でしたか?
「三好は良かったね。動きも良いし、2トップによくパスも出していた」

――日本は後半開始すぐに岩崎のクロスから最後は小川が詰めて同点に追い付きました! 転がったボールはわずかにゴールラインを越えていましたね。
「ギリギリだったね。(笑) でもこれは自信になると思う。タイミングは完璧」

――改めて、後半の注目はどこになるでしょうか?
「後半の注目はディフェンスの安定感。より固くなれば攻撃の選手はもっと前に行けると思う」

――58分、内山監督は久保建英を投入しました。
「楽しみにしてます」

――イングランドでは15歳の選手が注目されることはあるのでしょうか?
「まぁ、たまにあるね。ルーニーはそうだったし、その前はジョー・コールが期待されていた。もちろん久保は非常にポテンシャルは高いけど、プレッシャーをかけすぎない方がいいと思う。自然に成長できればいいね」

「久保は本当に冷静だった」「逆転勝ちは本当に褒めるべきこと」

――センターバックの冨安はこの試合で体を張った守備を見せています。福岡では井原監督のもとで多くの試合に出場していますね。
「それはとても大事。かつてセンターバックだった監督のもとで成長できている。井原監督から信頼されれば自信にもなる」

――日本、逆転ゴール! 堂安と久保のワンツーから最後は堂安が見事なシュートを決めました。
「良かったね。久保は本当に冷静だった」

――勝利に向けてここから日本は守備が大事になりそうです。
「本当にそう。でも下がらない方が良い。これからも攻めなきゃ」

――南アフリカはロングボールを放ってきました。
「センターバックの2人(冨安と中山)はよく体を張ってる」

――日本は守備で集中できてますね。
「でも、まだ終わってないよ!」

――最後まで南アフリカの猛攻を凌ぎきり、日本は逆転勝利を収めました!
「良かったね! 逆転勝ちは本当に褒めるべきこと」

――U-20日本代表の印象はどうでしたか?
「前に言いましたが典型的な日本スタイルね。足元は上手いし、よく走ってる。でも決定力はまだまだだね。南アフリカよりも強い相手になると厳しいかも」

「堂安は早く海外に行った方がいい」「ウルグアイ戦は自信が必要」

――ショーンさんが選ぶこの試合のMVPは誰でしょうか?
「久保のインパクトは本当に勝ちのきっかけになったと思うけど、小川は前線で良い仕事をした」

――久保はどんな印象ですか?
「久保は本当にプラスアルファね。ボールを持っているときは怖いくらいに冷静」

――堂安には以前から海外移籍の噂がありますね。この年齢で海外にいくべきか、Jリーグでプレーするべきなのか、どちらがいいと思いますか?
「出来るだけ早く海外に行った方がいい。より強い環境で成長した方が価値がある」

――この世代で苦手なアフリカのチームに勝利できたことは大きな意味があるのでしょうか?
「どうだろうね…。もちろんある程度は意味があるけど、そう考えない方が良いと思う。どのチームにも普通に勝てるという自信が重要です。大陸や歴史は関係なく、そのような意識で戦った方が良いと思う」

――U-20からA代表にステップアップするためには何が必要ですか?
「自信です。考え過ぎず、どのレベルでも自分のストロングポイントを出せるようにプレーしなきゃ。もし“俺がこのレベルでプレー出来るのだろうか?”と思ってしまったら、ビハインドからスタートしてるのと同じこと」

――次の相手は南米のウルグアイです。どんなことが大事になりそうでしょうか?
「次の試合でも選手は個々の役割をしっかりやらないといけない。緊張せず、自信を持ってプレーしなきゃ」

――ありがとうございました! 次戦もよろしくお願いします。

▽語り手:ショーン・キャロル
1985年イングランド生まれ。2009年に来日。「デイリーヨミウリ」「Jリーグ公式ウェブサイト」などにも寄稿。高校サッカー、Jリーグ、日本代表など幅広く取材している。過去にはスカパーのJリーグ番組出演も。

text by 編集部