この痛恨の黒星を経て、若きヴェルディにどんな変化が生まれるのか。要注目だ。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

写真拡大 (全2枚)

[J2リーグ15節]東京V 1-2 京都/5月21日/味スタ
 
 手痛い黒星を喫した。

 前半と後半でチームが様変わりしてしまう。シーズン開幕直後の数試合で覗かせていた悪癖が、まるで再発したかのようだ。
 
 4位・東京ヴェルディが16位・京都サンガを味の素スタジアムに迎えた一戦。守備組織の構築からゲームプランを練るホームチームにとって、相手の強力2トップをいかに封じ込むかが、最重要テーマだった。FWにコンバートされている185センチの田中マルクス闘莉王と、ベルギー出身で192センチのケヴィン・オリスが形成するダブルハイタワーだ。
 
 スカウティングを担うコーチのイバン・パランコは、「位置関係が縦になったり横になったり、ターゲットを絞らせないコンビ。右のサイドバック(石櫃洋祐)のアーリークロスを上げさせないように警戒しつつ、(2トップに)競り負けてもセカンドボールは確実に拾う。そんな守備練習を反復した」と明かしてくれた。
 
 前半、東京Vはイメージ通りに彼らを抑えた。
 
 3バックの両脇を固める井林章、平智広が臆せずエアバトルを挑み、基準点のオリスの自由を奪う。やや下がり目に位置していた闘莉王の動きはボランチの内田達也がケアし、縦志向の強い京都のチームアタックをほぼ無力化した。
 
 ボール支配で圧倒するなか、40分に先制点をもぎ取る。平のロングフィードを中央で受けたドウグラス・ヴィエイラが難なくゴールに蹴り込んだのだ。願ってもない展開であり、東京Vにとっては勝利の定石パターンだ。
 
 ハーフタイム、内田はこう考えていたという。
 
「後半の頭から、京都ががっつり来るのは間違いない。みんなが分かってた。そこで前ががかりになってくれれば、こっちのカウンターがハマる。早いうちに2点目を取って楽に勝てると、僕なんかはイメージしてたんですが……」
 
 敵のラッシュに、ずるずるとラインの後退を余儀なくされる。余裕がなくなった3バックは落ち着いたビルドアップができず、前線への放り込みを繰り返すばかりで、各ライン間にギャップが生まれた。やがて、前半から目立っていた不用意なファウルでみずからを窮地に追い込むのだ。
 67分、FKから石櫃に鋭いクロスを送られ、フリーの本多勇喜に難なく同点ヘッドを決められてしまう。ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督は「もっとも警戒していたFKからやられた」と悔やみ、内田は「あれだけファウルをするなと言われていたのに、簡単にFKを与えてしまった。冷静に対処すればなんの問題もなかったのに」と唇を噛んだ。
 
 その失点シーン。巨漢2トップにばかり意識が集中し、あっさり本多のマークを外しているのが分かる。京都にしてみれば、してやったりのゴールシーンだ。
 
 さらに80分、カウンターからオリスに25メートルのグラウンダーショットをねじ込まれる。このシーンも、ボールを落とした闘莉王の動きに守備陣が釣られ、オリスへのチェックが一歩遅れたのが原因である。終わってみれば2失点とも、あれだけ警戒していた2トップにまんまと仕事をされたわけだ。
 
 終盤は猛攻に出たもののチャンスらしいチャンスを掴めず、不甲斐ない逆転負け。選手たちは絶え間ない活力を求められるなか、連戦が続き、京都戦の後半についにスタミナと集中力が途切れ、自慢の堅守も崩れた。チームとしての修正力が躍進の原動力だったことを考えれば、看過できない負け試合と言える。
 
 長いシーズンのなかの単なる一敗と開き直るのか。それとも、選手個々があらためて足下を見つめる良い機会とするのか。

 いずれにせよ、順風満帆だった航海に、小さくない波風が立ち始めている。
 
取材・文:川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)